阪神快走の裏で難航するセ・リーグのMVP 個人記録は低調、史上初の「新人王との2冠」も
#阪神タイガース
阪神の18年ぶりの優勝で大いに沸くプロ野球。優勝チームが決まり、残りのシーズンの興味は個人タイトル争いに移るが、何とも難しいのがMVPだ。今年は投手部門、打者部門ともに個人記録は過去に例を見ないほど低調で、歴代MVPと比べて数字的に大きく見劣りするのは確実。選考は大いに難航しそうだ。
「通常なら、MVPの候補に上がるのは優勝チームの主力で、なおかつ個人タイトルを獲得した選手。阪神の1軍選手の中で個人タイトルに手が届きそうなのは、村上頌樹の最優秀防御率、岩崎優のセーブ王、近本光司の盗塁王、中野拓夢の最多安打あたりですが、村上は10勝しか上げていませんし、岩崎、近本、中野の数字は例年ならタイトルを取れるレベルではありません。
2位以下のチームを見ると、巨人の岡本和真はHRがダントツで、打点が2位(14日終了時点)、打率が4位なので、HRと打点の2冠を取れば有力候補。後は大穴ですが、セーブ王争いでトップに立つライデル・マルティネス(中日)は防御率0.39と驚異的な数字を残しており、MVPは厳しくても、もう少し話題になっても良いとは思います」(週刊誌スポーツ担当記者)
MVPは記者投票で決まるルール。昨年の村上宗隆(ヤクルト)のように、優勝チームの4番バッターが三冠王を取れば、誰に投票するか1秒も悩む必要はないが、今年は頭を抱えることになりそうだ。また、歴史を紐解くと、記者投票というのはなかなか曲者だ。
「MVPを選ぶ時、毎年のように話題になるのが、優勝に貢献した選手を選ぶのか、卓越した個人記録を残した選手を選ぶのかという問題です。例えば1999年、上原浩治(巨人)は新人で20勝4敗という驚異的な成績を残しましたが、MVPに選ばれたのは19勝7敗の野口茂樹(中日)。上原は防御率でも野口を上回り、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞などを取りましたが、優勝チームが中日だったので、MVPには野口が選ばれました。
一方、2008年には岩隈久志(楽天)が21勝を上げ、チームは5位ながらMVPを獲得。2013年にシーズン60本塁打のプロ野球記録を作ったウラディミール・バレンティン(ヤクルト)は、最下位ながらMVPを獲得しており、最も権威あるタイトルなのに、評価基準にブレが感じられます。
また、明らかにおかしな票が入ることも少なくありません。ベストナインは記者投票で決まりますが、昨年は三冠王の村上が満票を逃したため、“記名制にすべき”との批判が殺到。2017年の新人王投票では、打率0.237、7本塁打、38打点の大山悠輔(阪神)への投票数が、2ケタ勝利を上げた濱口遥大(DeNA)をはるかに上回り、これには虎ファンからも疑問の声が寄せられました」(フリー野球記者)
こうなると今年は「阪神vs岡本和真」の戦いとなりそうだが、場合によっては“史上初”の記録が生まれそうだ。
「阪神内では村上、近本、大山、岩崎あたりが候補ですが、村上は新人王の権利もあり、こちらはほぼ確定。もし新人王とMVPの同時受賞となれば、セ・リーグでは史上初です。ただ、先に述べたようにMVPは記者投票なので、『村上は新人王が取れるから……』という“邪念”が働き、投票に影響が出る可能性も。阪神の選手への票が割れた結果、岡本がスルッと1位になるパターンも十分あるでしょう」(同上)
阪神ファンの総意としては、MVPは岡田監督か。
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