『VIVANT』乃木とベキの騙し合い? 気になる 「日本のモニター」は誰なのか
#堺雅人 #役所広司 #日曜劇場 #VIVANT
堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』はいよいよ最終話を残すのみとなり、早くも続編への期待と考察で盛り上がりを見せている。9月10日に放送された第9話では、国際テロ組織「テント」がどのように誕生したかが明らかになった。
主人公・乃木憂助(堺雅人)は丸菱商事に勤める冴えない商社マン。しかしその真の姿は自衛隊の陰の諜報部隊「別班」の一員だった。以前から、テントのリーダーで創設者のノゴーン・ベキ(役所広司)が、生き別れた実の父親・乃木卓(林遣都)である可能性を疑っていた乃木は、丸菱商事で起こった誤送金事件の調査の末に、ついに確証を掴む。そしてテントの実態を探るため、乃木、黒須駿(松坂桃李)ら6名の別班員でテントと会合予定だったロシアの反政府武装組織になりすまし、テントのナンバー2であるノコル(二宮和也)と接触。乃木はノコルを人質にしたかと思いきや、他の別班員を銃撃し、テントに寝返った。
第8話でベキの実子であることが証明され、その能力の高さを買われてノコルの「兄」としてテントに迎え入れられた乃木。第9話では、乃木に訊ねられる形でテントの歴史とノコルとの出会いをベキが明かすことに。公安部外事課の課員だった乃木卓は、多民族国家で内戦の恐れがあるバルカの内情を探るため、農業施設団を装ってバルカに潜入するが、イスラム武装組織が農業施設団にスパイがいると疑い、滞在していたノバク村が襲われてしまう。公安の仲間に救助を求めたものの指揮官の命令であと少しというところで見捨てられ、拘束された乃木一家。まだ3歳だった息子の憂助は人身売買の手に渡され、妻の明美(高梨臨)は夫が公安であることを吐かないまま、拷問の末に命を落とす。「乃木卓という人間は日本にはいない」と祖国に見捨てられた卓は、のちにテントの幹部になる当時17歳のバトラカ(今井柊斗)に哀れに思われて助けられる。息子の憂助を何年もかけて探すも、息子と同年代の奴隷の日本の子どもが1カ月前に亡くなったと聞き、絶望したが、ある日生後間もないノコルを息子として育てることで生きる希望を見出す。そして卓が結成した村の自警団はやがて孤児を救うため、現在の「テント」の形になったのだった。
また前回、3年ほど前からテントがバルカ共和国の国土10分の1もの土地の購入を進めていること、その資金のためにテロ活動などを行っていたことが判明したが、なぜ土地を欲しているかは謎だった。第9話では、その理由が、半導体に欠かせない高純度のフローライトが埋まっている土地を買い占めにあったことが明らかに。フローライトの採掘が生む莫大な利益を孤児たちや貧しい人々に分配するのがベキの目的だった。残る土地購入のため3000万ドルが必要なテントは、不足する1000万ドルを早急に手にするため、新たなテロに手を染めようとする。乃木はこれを別班の持つ企業の内部機密情報を使った信用取引で見事に稼ぎ出すが、土地の購入に踏み切るタイミングで国土交通大臣が横やりを入れる。どこからかフローライトの情報を手にしていたのだった。前大臣との合意書を提示することでひとまずは難を逃れたが、これが情報漏洩であれば、国から採掘への妨害が入るうえに、他の国にも知られ、争奪戦が繰り広げられる恐れがある。
折しも、乃木が撃った別班4名が死んでおらず、日本で生きていたことが日本のモニター(協力者)が報告し、乃木は絶体絶命のピンチに陥る。乃木は吊るされ、ベキに「お前は別班の潜入任務としてやって来た。そうなんだろ?」と問われると、Fの「やめろ! 言ったら殺されるぞ!」という制止の声を無視し、乃木は「私は別班の任務としてここに来ました」と認めるのだった――。
乃木が別班を裏切ったフリをしてテントに潜入したという見立て通りの展開だったが、その目論見が見破られ、乃木が危機に陥るというエンディング。最終回がどうなるか気になるところだが、今回新たに浮上したのは、フローライトの情報を誰が漏洩させたかだ。本作では、「テントの最終標的は日本」という情報が別班が動く最大の理由となっていた。しかしベキは「この地で必死に生きていくうちに日本への恨みなどなくなった」とし、その噂を否定していた。日本を狙ったテロの依頼もすべて断っていたという。となれば、テントを「世界の敵」に仕立て上げ、フローライトの採掘権を手にしたい人物・組織が存在する可能性が考えられる。ノコルの親友・ゴビ(馬場徹)がバルカ側に通じていたか。
だが一方で、ベキの言葉も信用はできない。ベキが乃木を心から信頼している節はない。また、世界中の諜報機関が掴んでいた「テントの最終標的は日本」という情報は、テントの日本担当幹部であるアリ(山中崇)も認めたものであり、それが誤った情報だったというのは不自然だ。前回、実の息子が生きていると知ったベキは、泣きむせびながら亡き妻に報告していたが、やはり妻を殺されたという恨みが「なくなった」とも考えにくい。ベキと乃木の「実の父子」という絆に嫉妬したノコルが暴走し、乃木を追いやるために仕掛けた……というのは考え過ぎだろうか。
また、別班のメンバーが生きていたと報告した「日本のモニター」の存在も気になる。視聴者の間では、医師の柚木薫(二階堂ふみ)や、ドラム(富栄ドラム)という説が濃厚のようだ。だが、もしそうであったなら、薫が保護している少女・ジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)が日本で治療を受けていることをベキとノコルが知っているはずだ。だが、乃木がジャミーンは無事だと告げた際に2人が浮かべた安堵の表情は演技には見えなかった。
飛躍した考えかもしれないが、乃木と裏で結託した公安の野崎守(阿部寛)が、乃木の指示でモニターになりすましてメールを送信した可能性はどうだろうか。乃木は別班の任務としてテントに潜入したが、父への想いから資金集めへの協力をした。乃木は任務と父への想いとの間で板挟みになり、自分は今後どうすべきか迷いはあっただろう。自分が別班であると告白したときの乃木は、覚悟を決めた表情だった。父の壮絶な過去と息子である自分への想い、テント創設の秘密など、知りたかったことをすべて知り、満足した……ということもあるかもしれない。
まだまだ回収されていない伏線があり、あと1話ですべてが明らかになるのかという不安はあるが、もし、乃木が死亡するという最悪のエンディングを迎えなければ、続編や映画化の可能性もある。描き切れなかった登場人物のエピソードは、スピンオフを望む声も多い。いよいよ”冒険”の結末を迎える最終話は今夜、79分スペシャルで放送される。乃木と野崎が、薫とジャミーン、ドラムに囲まれて笑顔でいる、そんなラストシーンを期待したい。
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日曜劇場『VIVANT』
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs
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