世界的大ヒットの映画『バービー』、日本は怒りの大爆死 “キノコ雲騒動”の重いツケ
#バービー
ターゲットを小馬鹿にするようでは、ビッグビジネスのチャンスを失うのも当然だった。アメリカで今夏、記録的なヒットとなった映画『バービー』は日本でも8月11日に公開されたが、初週8位と大きく出遅れると、2週目は9位に順位を落とし、3週目にはTOP10圏外へ。興行収入が10億円にも届かぬまま、静かに上映は終了しそうだ。
『バービー』は、世界的に愛される着せ替え人形の「バービー」をモチーフにした実写映画。アメリカでは公開以来、凄まじい勢いで興行収入を伸ばし、春に公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を抜いて、2023年の世界興行収入ランキングのトップに立った。アメリカでは同日に公開された『オッペンハイマー』と合わせ、両作を続けて見る“バーベンハイマー”という現象も発生。しかしアメリカの関係者は、ヒットに浮かれて踏んではいけない虎の尾を踏んでしまった。
「『オッペンハイマー』は、“原爆の父”と呼ばれる物理学者・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた物語。日本人には極めてセンシティブなテーマで、日本公開のスケジュールは未定ですが、アメリカではバーベンハイマーの流れで、バービーと原爆を合成した画像をSNSに投稿するケースが相次ぎ、配給元のワーナー・ブラザースがこれに好意的なコメントを返したため、日本人から一斉に反発の声が上がりました」(週刊誌記者)
アメリカによる原爆投下からは78年が経過しているが、日本人にとって「原爆」や「キノコ雲」がいまだ大きな心の傷となっているのは言うまでもない。ただ、今回の炎上は『バービー』にとっては一種の“もらい事故”だ。それでも大コケしてしまったのはなぜなのか。
「まず考えられるのは、アメリカとは違って日本人はバービー人形にそれほど思い入れがないこと。日本ではリカちゃん、ジェニー、メルちゃんなどの方がメジャーで、それほど馴染みがないので、実写化されても関心が低いのは当然です。
内容も観客の足を止めたと考えられます。『バービー』は女性の権利を主張したフェミニズム的な作品で、アメリカでも保守層から反発があった。こういった予備知識から“小難しい映画”と拒否反応を抱き、避けた人は多かったはずです。映画を見に行ったカップルも、鑑賞後にフェミニズム論争をするのはイヤでしょうからね。
また、芸能人やインフルエンサーからの後押しも皆無です。日本では公開前から一種のボイコット運動が起こり、もし著名人がSNSで『面白かった!』などと好意的な感想を述べれば、原爆と絡めてバッシングされる可能性が高い。わざわざリスクを取るメリットがありません。
しかし、色々な理由をあげましたが、大コケの最大の要因が原爆を茶化したことなのは言うまでもありません。欧米でメガヒットしたのに日本では客が入らない映画はちょくちょくありますが、ここまでギャップがあるのは久々です」(エンタメ誌記者)
アメリカ人が原爆をどの程度のことと考えているかが分かっただけでも、日本人には収穫だったかもしれない。
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