『らんまん』立ち止まる人、別の道を見つける人…それぞれの「金色の道」(第23週)
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夢に向かって行く「金色の道」。かつて万太郎(神木隆之介)に蘭光先生(寺脇康文)が語ったその道をまっすぐに歩んで夢を叶えられたらいいのに、なかなかうまくいかない。初めての夢は叶わずに新しい夢を見つけて進む人、道が行き止まりになり迷う人、ひたすら険しい道を進む人、分かれ道で立ち止まる人。第23週は夢への道の途中にいる人たちが、たくさん見られた週でした。
峰屋を畳み、酒造りの道が閉ざされた綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)。あれからどうしたのだろうと気になっていたふたりが、4人家族になってひさしぶりの登場! 住み込みで働きながら料理の修行をしてお金を貯め、それを元手に東京へ出てきて土佐料理の屋台を開くとは。万太郎と寿恵子(浜辺美波)が借金on借金を繰り返して「どうにかなりますよ、なんとかしましょう!」と勢いだけで前進するのを見慣れていたので、綾たちの堅実さに驚きましたが、よく考えたらこっちのほうが普通ですよね。万太郎たちを見過ぎて、基準がずれまくってた。竹雄がそばを打つ屋台「土佐」、料理もお酒もおいしそうだし、繁盛しそう……でも彼らの夢は屋台での成功ではなく、綾の中にはまだ峰屋の酒が残り、竹雄は彼女の夢を叶えるという目標がある。そしてそんなふたりの姿を見て、藤丸(前原瑞樹)も一緒に新たな道を進む決心をする。菌類研究の道が途切れ、酒問屋の実家手伝いとなっていた藤丸に、今までの道のりが無駄ではないと思えるような醸造研究の道が待っていた展開、胸熱。
藤丸とは違って大学に残る道を選び、世界に誇れる大発見をした波多野(前原滉)と野宮(亀田佳明)。大きな夢を掴んだはずの彼らなのに、元は画工だった野宮は、第一発見者として扱われない。かつて「学歴がない」と軽んじられた万太郎と同じで、植物が好きで研究しているだけでは、大学では研究者と認められず、辞表を出すことに。「去るべきお人ではない」と万太郎も引き止めるけれど、野宮自身はさっぱりした顔をしている。元は学校の先生だった彼は、実は、研究よりも若い人たちの成長を見守ることが好きでここまで来たんじゃないでしょうか。万太郎のことを「あの子」と呼んだり、波多野に「君が見るものを、僕も見てみたかったんだ」と笑顔を見せる野宮さん。子どもたちに絵を教える道に戻るのかもしれないけれど、それもきっと彼にとっての金色の道。大量印刷の新しい方法を寿恵子に教えて去るのも、若い人に知識を授けていく先生っぽい。
夢を見つけて進む人たちの中で、夢のほうから掴まえに来てくれる、寿恵子のような人もいる。本人は自分のことを凡人だと思い込み、もう万太郎の助手として一緒に冒険はできないと思っているけれど、いつか綾にも言われたように、寿恵子自身が生粋の冒険家、八犬士。母ゆずりの美貌ときちんと育てられた行儀の良さがあり、父から冒険心を引き継ぎ、おいしい菓子屋で育って舌が肥え、叔母の料亭で接客を学んだ。万太郎と竹雄から学んだ、歩き回り観察してメモを取る、研究者としての力、万太郎を見て覚えた言葉の力。そこにプラスされる、文学少女としての物語力と想像力。疑心暗鬼の渋谷の住人たちに「妄想」として将来の渋谷の姿を語り、みんなをその物語の主人公としてひきずりこむ力。これらをたずさえた寿恵子、万太郎だけでなく私にも、頬に牡丹のあざも、心に光る玉も見えます。「やまもも」の女将となった彼女の冒険も、楽しみ!
今週も採集旅行中の万太郎がほぼいない回がありましたが、万太郎が不在な時でも万太郎の言葉や姿勢が、黄金の道を歩く人々の、地図や羅針盤のようになっている。ここにいないのにいつもいる、そんな万太郎の道も残り一カ月もないのがさみしい。今からロスが心配です。
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NHK連続テレビ小説『らんまん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこうほか
作:長田育恵
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮﨑あおい
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
植物監修:田中伸幸
制作:NHK
公式サイト:nhk.jp/ranman
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