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『女芸人No.1決定戦THE W』2回戦の高い壁…動画ネタ審査で落ちる芸人の傾向とは?

『女芸人No.1決定戦THE W』2回戦の高い壁…動画ネタ審査で落ちる芸人の傾向とは?の画像1
Getty Images

 今年も「女芸人No.1決定戦THE W」の季節がやってきた。昨年は天才ピアニストが驚異の戦い方を見せ優勝した。準決勝では天才ピアニストがネタをやっている最中にお客さんの携帯電話が鳴るというアクシデントがあったが、ネタがハマりすぎていたので笑いの量が減る事なくそのまま爆笑で行き切ったという伝説を作り上げた。

 そして今年も1回戦の動画審査が終わり863組の応募があったが、2回戦に勝ち進んだのは306組。敗退している人の中には実力者も混ざっており、ライブと違い動画審査では受かりやすい動画と受かりにくい動画があると思う。私は新道竜巳の女芸人フェスというライブを毎月開催しており、そこに出演している女芸人さんに落ちた人、受かっている人に話を聞き、落ちる傾向を考えてみた。

 意外と多い敗退理由としてあるのがライブ以外の場所で撮影した動画。2回戦以降はライブでの審査になるのでイメージしづらくなる場合がある。部屋や公園などで撮る場合でもよいのだが、実は部屋や公園で撮影するネタ動画にはデメリットがある。部屋の場合練習して台詞を覚え次第、動画撮影に進むと思うのだが、自分の部屋というのもあり緊張感が全く無くなってしまう場合がある。

 この緊張感が無くなると何故ダメなのか。本来のライブでやる間とテンポとは違う台詞を覚えただけの表現になってしまうからだ。そして一人暮らしの部屋等で撮影する場合、近隣の苦情を気にするがあまり声を抑えてベストパフォーマンスが出来なくなってしまう場合がある。そうするとライブで撮影する動画に比べて同じネタなのに見応えが少なく感じてしまい、本来の意図とは違う部分で評価を下げてしまう。

 そしてカメラアングルが近すぎて、ネタよりもはじめにアングルが気になってしまいネタに引き込み切れない事もある。そして公園の場合は外の音が入ってしまう事がぬぐえない。子供の叫び声や、車や風やその他の音、そして外の音にかき消されてネタの声が聞き取りづらくなる場合もある。台詞が聞き取りづらいともう、どんなに面白い事を言ったとしても伝わらないので損をしてしまう。時間がなく夜になってしまい撮影するとそもそも見えづらいというデメリットが発生するのでそのネタが面白いとしても目を凝らさないといけないのでちゃんと集中してネタを見る事ができなくなる。

 一度とある芸人さんのネタ動画を見たことがあり、その時は公園でネタを始めたのだが、ネタ中に背後の道路でパトカーが止まりそこから警察官が出てきて公園のトイレを借りてパトカーに乗り込み走り去ったと同時に芸人が「ありがとうございました」と終えたことがあった。これはもう警察がトイレを借りに来た印象しか残らなくなり本人は損をした形となった。

 なので2回戦でも面白そうだなと思わせるにはライブに近い環境でネタをやったほうが審査にとってもイメージしやすいと思う。そしてライブ動画の場合はお客さんが入っていた方が伝わりやすい。たまに無理にお客さんに笑ってもらって過剰演出をしている方もいるが、過剰に笑い声が入るとかえって違和感になるので自然にウケているのならば見やすいが、それ以外は別の事を考えさせてネタに集中できない場合もある。

 緊張感とちゃんとした間でネタをやれるのならお客さんがいないライブの動画でも家や公園より全然見やすいと思うが。家と公園が絶対にダメで通らないと言っても通る人もいるので、先ほどの見づらい要素が出来るだけない状態ができれば問題ないと考察する。

サンミュージック所属のお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」 のツッコミ。コンビのネタ作りを担当するほか、お笑いに対するプロ目線の考察に定評があり、「M-1」などの大会はみずから大会を観覧して分析。自身のYouTubeやライブなどで披露する。中でも「女性芸人」研究家として、東京スポーツで連載を持っている。 YouTubeチャンネル【馬鹿よ貴方は、新道竜巳のごみラジオ】

Twitter:@kPXfF3Xm1jvbLMS

【サンミュージック公式】馬鹿よ貴方はプロフィール

ばかよあなたはしんどうたつみ

最終更新:2023/09/08 06:00
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