不起訴処分となった西武・山川穂高、放出の可能性大、有力な2つの移籍先

　ホームラン王を3回獲得し、春のWBCメンバーにも選ばれた日本の主砲のスキャンダルにようやく一区切りがついた。西武ライオンズの山川穂高（31）が知人女性への強制性交の疑いで書類送検された件について、東京地検は嫌疑不十分として不起訴処分にしたことが判明。しかし球団は「猛省を促す」と、無期限の公式試合出場停止処分を科すことを発表した。

「山川は当初から性行為があったことは認めており、ポイントは行為が無理やりだったかどうか。不起訴処分を受けて、選手会は山川の早期復帰を求める声明を発表しましたが、まだ再捜査が行われたり、民事で争ったりする可能性はあり、球団は即復帰を認めませんでした。山川はあと17日で国内FA権を取得出来ますが、これで今季中の権利取得はほぼ絶望です」（週刊誌スポーツ担当記者）

　とりあえず最悪の事態は回避したものの、当面、試合には出られない山川。主砲の離脱の影響は大きく、西武は現在、最下位に沈んでいるが（4日終了時点。以下同）、来季は西武のユニフォームを着て戦うのか？

「山川に対して球団は当初、示談を勧めたようですが、山川は“納得できない”と、これを拒否。一部では『西武でなくても野球は出来る』と言い放ったと言われており、球団との亀裂は決定的です。

　今季からチームを率いている松井稼頭央監督はスピード野球を掲げていて、走力ゼロの山川はチーム方針に反する存在。もともと資金が潤沢ではなく、成績低迷で客の入りは落ちていますが、高額年俸の山川を切れば大幅にコストカットが出来ます。チームに残したところで、来年FA権を取ったら出て行ってしまうはず。こういった事情を考えると、早々に放出する条件は揃っています」（フリーの野球記者）

　そうなると山川は行き先を探すことになるが、そこで物を言うのが実績。少々ダーティーなイメージの選手でも、欲しい球団はいくらでもある。

「まず浮かぶのは、FA移籍先の大本命と言われていたソフトバンクです。常勝軍団が2年連続で優勝を逃し、今年もリーグ優勝は絶望。現在3位に踏みとどまっていますが、CS出場を逃すようなら、当然、大補強してくるでしょう。今オフのFA市場は小粒で、山川ぐらいしか目玉はいない。山川は沖縄出身なので九州には馴染みますし、パ・リーグならDHでイケる。他球団から主力選手を穫るのに抵抗が無いチームですし、移籍先の第一候補でしょう。

　もう1つは中日です。チームは立浪監督が率いて2年目ですが、極端な貧打線で今年も最下位が濃厚。1塁を守るビシエドはまだ契約が残っていますが、衰えが激しく、ポジションはガラ空きです。中日は伝統的に不祥事に寛容でコンプライアンスが緩く、球団もファンも“成績さえ残せば何も言わない”というチーム。ガンガン打てば、喜んで声援を送るでしょう」（同上）

　ネットでは、日本ハムで問題を起こした中田翔を獲った巨人を候補にあげる声も多い。巨人入りという選択肢はないのか。

「巨人は守る場所がありません。山川はファーストしか出来ませんが、1塁には中田翔、いま売出し中の秋広優人がおり、岡本和真が守る日もある。もっとも、過去には落合博満、広澤克実、清原和博と、ポジションの競合など関係なく他球団の主力を獲りまくった過去があるチームですから、欲しがる可能性はある。ファースト・山川、サード・岡本、レフト・秋広、代打の切り札が中田なら破壊力は抜群ですからね。

　またネットでは、アメリカで問題を起こしたバウアーを獲ったDeNAも有力な移籍先として上げられていますが、助っ人外国人と日本人選手では状況が違います。確かにファーストは空いていますが、チームに女性問題を起こした選手が2人いるのは多すぎますし、DeNAはオーナーが女性ですから、難しいのではないか。今のDeNAなら、山川の力を借りなくても優勝できそうですし」（同上）

　トラブル発覚前までは「アグー」の愛称で人気者だった山川だが、“嫌われても打ちます”となるか。

石井洋男（スポーツライター）

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお