『KOC2023』準々決勝は「このレベルで落ちるのか」の連続だった

――お笑い大好きプロデューサー・高橋雄作（TP）が見た、芸人たちの“実像”をつづる。今回は『キングオブコント2023』準々決勝敗退組の中から要注目の芸人を紹介。

　コント日本一を決める大会『キングオブコント2023』準決勝進出者35組が発表された。昨年準優勝のコットンらが順当に勝ち進み、飛ぶ鳥を落とす勢いの8人組「ダウ90000」が初進出を果たし、お笑いサークル「駒澤大学お笑い集団ナイフとフォーク」に所属するトリオ「伝書鳩」が、現役大学生ながら勝ち上がる快挙を果たすなど、バラエティに富んだ顔ぶれとなっている。秋に行われる決勝が待ち遠しい。

　一方、準々決勝で敗退してしまった顔ぶれも、挙げればキリがないほど豪華だ。準々決勝敗退組のネタは有料オンライン配信されるため、僕はこの連載にかこつけて全組のネタを視聴した。なので今回は「準々決勝敗退組の中で面白かった人たち」を紹介したい。この数年の『キングオブコント』は実は2回戦から配信があるのだが、さすがのさすがに組数が多すぎるので、準々決勝からでご勘弁。

　シード組が合流してきて、ネタ時間も5分となる準々決勝は、ほぼ全組がその年の「勝負ネタ」で挑むため、本当にレベルの高いお笑いライブとなっている。それゆえ「なぜこのレベルで落ちるのか」の連続だったが、それだけ勝ち進んだ人たちに期待ができるということ。残念ながらこの記事が公開されている頃には配信終了となっているが、ぜひこれをきっかけに各芸人さんのネタ動画を検索してみてほしい。

イノシカチョウ
　コントも漫才も面白い関西のトリオ、この1年くらい見るネタ見るネタ全部面白い。「金属バット友保さんとタイ旅行をした」でおなじみの純吉さんが、腰に布を巻いているだけの「ほぼ全裸」状態という最近あまり見ない格好で登場したのがまず面白すぎた。

　しかも、あろうことかその純吉さんがツッコミで、普通の格好をしている2人を相手するという違和感が最高。客観的に見て、敗退組の中で1番ウケていたと思う。

本田兄妹
　人力舎所属の兄妹コンビ。妹のあやのさんが35歳で兄のひでゆきさんが43歳なのだが、なぜか学生服を着たコントがめちゃくちゃ多い。今回もひでゆきさんが学生服姿で登場すると「僕は高校生だ！」という第一声でとんでもない拍手笑いをかっさらっていた。もしかしたら今大会史上最強で最速のツカミかもしれない。

　ちなみに「本田兄妹」でYouTube検索すると、ほとんど「本田真凜・望結姉妹」が出てきて、その中にインパクトのある2人のネタ動画のサムネがちょいちょい混ざっていて面白いのでおすすめ。

世間知らズ
神保町よしもとに所属する男女コンビ。「かわいい女の子が綱引きをし始めると豹変する」というわかりやすい設定なのだが、さおりさん（女性）が舞台を縦横無尽に使って“引っ張られ芸”を披露していて本当に面白かった。シンプルな設定でわかりやすい動き、子どもからお年寄り、さらには外国の方まで楽しめるネタだと思った。

　そのすべてを受け止めた椎木さん（男性）が「今世紀最大の蛙化現象」という最新のワードを用いたツッコミを入れてきれいに回収していて見事だった。