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甲子園酷暑問題、球児不在の議論「時期ずらす」「昼間は避ける」「別会場」

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 今夏の異常な猛暑で、夏の甲子園の時期や会場を変えるべきという声が大きくなっている。8月6日の開幕以来、最高気温(大阪)が30℃を超えなかった日は1度もなく(休養日を除く)、試合が行われた13日中9日で、35度を超える猛暑日を記録(21日終了時点)。著名人からは「時期をずらす」「昼間を避ける」「会場を移す」といった意見が上がっているが、ベストはどれなのか。週刊誌のスポーツ担当記者は言う。

「時期をずらす場合、“授業期間中でも良いのか”というのが大きなポイントですが、それをクリアしても問題は多い。例えば6月から7月初旬あたりに大会を開くと梅雨のど真ん中ですし、春の選抜と間隔が狭すぎる。予選はGWあたりに始めることになるので、1年生はまず出られませんし、3年生はチームが負ければ早々に目標を失うことになります。

 一方、秋はプロ野球の終盤戦の大事な時期。タイガースが本拠地を3週間も高校生に貸すはずがありません。9月は台風も多く、日程がズタズタになるリスクもある。シーズン終了後の11月なら問題はなさそうですが、天候によっては吐く息が白くなる状況でのプレーになるでしょう」(スポーツ担当記者)

 それなら「時間をずらす」という案はどうか? フリーのスポーツジャーナリストは言う。

「最も気温が上がる正午から15時を中断タイムにするなら、第1試合は遅くても7時スタート。選手が試合開始時間にベストな体調に持っていくなら、起床時間は3時前でしょう。一方、第3試合が15時スタートなら、第4試合が終わるのは下手したら21時前。選手の体調管理はかなり難しくなります。

 また、このスケジュールだと応援団は日帰りが難しくなりますし、開場時間が早まったり閉場時間が遅くなったりすれば、スタッフの人件費の問題も出てきます。さらにナイターの照明代も掛かります」(スポーツジャーナリスト)

 そうなると球場を変えるしか方法はないのか?

「これまで多くの高校球児、元高校球児に『ドーム球場でやるべきか』という質問をぶつけてきましたが、『はい』という人は1人も会ったことがありません。全員が“絶対にあり得ない”という答えです。彼らにとっては“甲子園で”“満員の観客の前で”やることが絶対条件なのです。

 甲子園に出るような学校の野球部員は、真夏でも最低5~6時間は練習しています。一方で高校野球の試合は2時間ちょっとで、守備と攻撃があるので半分はベンチ。しかも甲子園のベンチにはクーラーがついており、真夏の炎天下で1日1試合やるぐらい楽勝なんですよ。

結局、この問題は簡単な議論で、高校球児は今のままで良いと思っているのに、外野が勝手に『可哀想』と騒いでいるだけ。プロ野球のOBたちも、『どう思いますか?』と聞かれたら『別に今のままで良い』とは言えないので、『何か対策をするべき』と言っているだけです。

 ハードさで言えば、サッカーの方が遥かに上です。インターハイは例年、真夏に開催されますが、サッカーで決勝まで進むと7日で6試合やります。もちろん屋外で、しかも昼間です。室内競技でも、バドミントンや新体操などは空調が競技に影響するので、クーラーをつけずに閉め切った体育館で試合をやることがあります。こういった状況を無視する方がはるかに問題ではないでしょうか」(同上)

 それでも夏の甲子園がダメだというなら、いっそ真夏のスポーツは禁止にしてしまうべきか。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/08/23 08:00
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