フースーヤとして活動し続ける意味「自分たちにはギャグ漫才をやる責任がある」
#インタビュー #フースーヤ
矢継ぎ早に飛び出すギャグの応酬で構成される、フースーヤの漫才。2021年の『M-1グランプリ』では準々決勝では観客を大ウケさせたにもかかわらず敗退したことで、トレンド入りも果たした。
そんな二人のギャグ漫才は、伝統的な「掛け合い漫才」「喋り漫才」とは異なり、時代を先取りしているスタイルなのかもしれない。
そこで今回は、フースーヤが出演する8月25日開催のイベント『Warai Mirai Fes 2023 ~Road to EXPO 2025~』(大阪)の話も絡めながら、同コンビの田中ショータイム、谷口理にギャグ漫才にかける想いについて話を訊いた。
「たまに掛け合い漫才をやると気分転換にはなります」
――フースーヤの直近の活動では、8月5日『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)、7日『なるみ・岡村の過ぎるTV』(朝日放送/テレビ朝日系)への出演、さらに谷口さんのマンガ愛が炸裂していたインタビュー記事(https://ebookjapan.yahoo.co.jp/special/article/aa0336.html『eBook Japan』2023年8月7日掲載記事/※註1)もありました。あのインタビュー記事がこれまた素晴らしい内容で!
谷口 そうおっしゃっていただいてめっちゃ嬉しいです。気持ち悪いことに相方があの記事をリツイート(リポスト)してくれていて。いやあ、すごい気持ち悪かった。相方の記事をちゃんと読むコンビ、あんまいないっすよ(笑)。
田中 そんなこと言うなや。ツイ消ししとこかな。でもあの記事は「谷口、がんばってんなあ」「ええやん、ええやん! え、もう終わったん。もっと読みたい」となったから。
――『お笑い向上委員会』は「かつて旬だった芸人」がテーマでしたよね。でもフースーヤは、言葉遊びをしながらお互いがギャグでつないでいく「ギャグ漫才」が武器で、それこそ「かつて旬だった」どころか、今めちゃくちゃ脂がのっていますよね。
谷口 ギャグって思いきりやればウケてもスベってもなんとかなる。僕らは喜怒哀楽のギャグを揃えているから、たとえばロケなんかでも、どんな状況になっても乗り越えられるんです。
田中 行き詰まることがほとんどないですし。喧嘩ノリとか、「わー、最悪や」みたいなショックノリもできる。ギャグの反応がイマイチだったときは「さ、いきましょ」と切り替えてオトすとか。ギャグって、テレビであれば編集でどんな形にも料理してもらえますし。
――5月末のよしもと漫才劇場(大阪)でおこなわれた、いろんな芸人が集まるネタライブでは、ギャグ漫才ではなくいわゆる「掛け合い漫才」を披露されたと聞きました。自分はフースーヤの漫才に関してはギャグ漫才しか見たことがなかったので、その話を知ってびっくりしたんです。
谷口 実は2カ月に1回の単独ライブでは、掛け合い漫才を1本は作ってやっているんです。ただその掛け合い漫才のネタって洋楽の替え歌とかが多いんです。だから、配信があるようなネタライブでそれをやるのはちょっと具合が悪くって。逆に「今日の公演は配信がないです」と聞くと、嬉しさのあまりに「じゃあ歌えるってこと!? あの洋楽のネタができる!」となり、映画のテーマ曲とかをめっちゃ歌ったりして。配信なしというエサに飛びついちゃうんです。5月にやった掛け合い漫才はそのタイミングだったのかも。
田中 あとそういうライブで掛け合い漫才をやると気分転換にもなるんですよね(笑)。
谷口 単独ライブで掛け合い漫才をやるときは、ショータイムがゼロギャグで30ツッコミとかやりますから。
田中 そうそう、ネタによってはめちゃくちゃツッコミます。逆に谷口が100ツッコミ、僕が100歌うとか。
「50歳、60歳になっても今みたいなギャグ漫才をやり続けていたい」
――余計なお世話であることを承知でお伝えすると、『M-1』などの賞レースに挑むにあたり「ギャグ漫才だけでは難しいぞ」と次の手を打つため、掛け合い漫才をどんどん試していこうとしているのかと思いました。
田中 あ、なるほど。確かにそういう考えはなかったです。僕らって基本的にはただただ「こういう漫才で笑わせたい」という気持ちで、その一つとして掛け合い漫才も作ってやっているんです。
谷口 ギャグ漫才は公演によってやっぱり「今日のお客さんは僕らについて来れていないな」というときもあります。そういうときも「じゃあもっとふざけて笑わせたろう」って感じで。
――私が言うまでもないですが、それでもお二人はこれまでの活動期間で、常に「自分たちの漫才スタイル」と、「掛け合い漫才、しゃべりの漫才をやったら?」という周囲の声をせめぎ合わせてきたのではないかと思うんです。そのなかでギャグ漫才への覚悟とスタイルが固まっていったのではないかと。
田中 正直なことを言うと、このスタイルを辞めようとか、曲げるつもりとかは一切なかったです。そう言う話を二人でしました。「これは僕らが始めた漫才の形やから、自分がやらんかったら誰がやるねん」と。なによりこれをやりたくてやっているし。他の人からは「喋りもおもろいんやから、そういう漫才をやったら?」「そのスタイルはきついんちゃうか?」と言われたことも何回かありました。でも「俺らはこれでおもろいことをやりたいし、これで認めさせたい」と。芸人として苦しい経験はしてきましたが、自分たちの漫才スタイルを「しんどい」と考えたことは一度もないんです。
谷口 田中が言うように「これを辞めよう」はなかったですね。ありがたいことに1年目からテレビなどに出させていただいたことで、「もっと進化させなあかん」という不安はありました。だけど漫才のスタイルを変えるつもりはなかったです。なにより客観的に自分らを見たとき、普通にめっちゃおもろいから(笑)。これは極端な話なんですけど、大声を出すのと出さないのとでは、大声を出しているやつの方が僕はおもしろくって。そういうお笑いをやってきたし、これからも続けていきたくて。
田中 そういうことをやっていく覚悟はもちろんあるんですけど、それ以上に責任ですね。「僕らは責任を持ってこの漫才をやっていこう」と。
谷口 50歳、60歳になっても今みたいなギャグ漫才をやり続けていたいですから。それこそシワだらけで腰が曲がっても「よいしょっ!」とかやったりして。
田中 まわりからも「お前ら、50歳になってもこれをやっていたらめっちゃおもろいな」と言われます。だったらもう、その歳になるまでフースーヤをやり続けるしかないじゃないですか。燃料が切れるまで、行けるところまで走り続けるしかないです。
――フースーヤの格好良さってそこですよね。逆にフースーヤがダサく見える瞬間があるとすれば、中途半端に終わることじゃないかと。
田中 そう、本当におっしゃる通り! 僕ら自身が途中でここから降りたら終わりです。
「原始人とかってめっちゃおもしろい」
――2021年12月17日放送『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にゲスト出演した際も、霜降り明星の二人がフースーヤのネタに大ウケしていましたね。
谷口 1時間半くらい、僕らとせいやさんでずっと変顔していて。ラジオだから顔が映らないのに。なんならその顔を見ていたのは粗品さんだけ(笑)。
田中 誰に向けてやってるねんと。ただ、霜降りさんは昔から僕らのことを「おもしろい」と言い続けてくれて、自分たちにとっては神様に近いくらい圧倒的な存在だから、あのときは気持ちがグッと入りましたね。
谷口 デビューしたばかりでなにも分からなくて、一番不安だった時期に近くにいてくださって、いっぱい相談にも乗ってもらいましたから。本当に頼りにしていたからこそ、早くなにか良い報告がしたいです。それこそ『M-1』で結果を出すとか。それが親孝行みたいなものですね。
――ちなみに、ふざけることが大好きなフースーヤにとって「最高のおふざけ」ってなんですか。
田中 うらやましいのは、ハリウッドザコシショウさんみたいなスタイル。あれってふざけの最高潮じゃないですか。僕も一度はあんなことをやってみたいけど、二番煎じになるから同じことはできない。ただやっぱり最高ですよね。あんなんができたら最高。でも、それこそ谷口は舞台上ですぐ裸になるよね。
谷口 そうそう。僕にとって一番のふざけは全裸でなにかやること。だって服を着てるより、裸の方がおもろいじゃないですか。あと、これは無理なことなんですけど、舞台上で一回命を落としてから生き返るとか。そういう究極なことがやりたい。だから原始人とかってめっちゃおもろいはずなんです。ほとんど裸の状態で、命懸けでマンモスに向かって叫びながら狩りをするとか。あんなん今見たらめっちゃ笑えるはず。
――フースーヤが出演する8月25日のイベント『Warai Mirai Fes 2023 ~Road to EXPO 2025~』は「未来」がテーマですけど、フースーヤとしては「原始」に戻るわけですね。
田中 時代って回るということなんかなって。だから次の未来は、逆に原始なんです。
谷口 『Warai Mirai Fes 2023 』って「笑わせる」「歌う」とかめちゃくちゃ原始な文化が披露されますし。田中が言うように、未来ってなにかに戻っていくことなのかもしれません。なんにしてもこのイベントでは、未来につながるお笑いを一個作りたいです。
田中 そもそも僕らがいつも通りの漫才をそこでやることが、すなわち未来になっているかもしれません。
谷口 なんで最後にいきなり格好つけたコメントしてんねん(笑)。ぜひイベントで僕らの漫才などを楽しんで欲しいです。
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