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『VIVANT』は堺雅人、役所広司、二宮和也による「乃木家の争い」となっていくのか?

『VIVANT』は『VIVANT』は堺雅人、役所広司、二宮和也による「乃木家の争い」となっていくのか?の画像
ドラマ公式サイトより

 堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』。8月13日に放送された第5話は、初回の「答え合わせ」がなされた一方、主人公・乃木憂助(堺雅人)の過去の一端と、乃木が追う謎の国際テロ組織「テント」との関わりまでもが判明し、物語の全体像がおぼろげながら見えてきた、折り返しにふさわしい回となった。

 丸菱商事に勤める「冴えない商社マン」乃木の真の姿は、自衛隊の陰の諜報部隊「別班」の一員だった。乃木が巻き込まれたとみられた丸菱商事の誤送金事件は、乃木の同期・山本巧(迫田孝也)が仕組んだもので、山本はテントのモニター(協力者)として組織に1億ドルを送ったのだ。乃木は公安警察より早く山本を捕らえ、テントのリーダーが日本を標的にしているとの情報を得て、山本を自殺に見せかけて排除する。

 第5話は、中央アジアの「バルカ共和国」で乃木を“救出”した警視庁公安部の捜査員・野崎守(阿部寛)が乃木の正体に迫るパートと、誤送金事件に関わり、テントの「日本担当」幹部だというGFL社の社長アリ(山中崇)を追う乃木のパートの2つの視点から巧みに描かれた。

 ここでは第1話の乃木の行動の裏側がまず明かされていく。乃木が資料を落としてアリのデスクの下をゴソゴソする場面があったが、あの時やはり乃木はアリに仕掛けていたのだ。アリの私用携帯電話のデータを盗み、GPS発信機が仕掛けられた携帯電話にすり替えていた。野崎がドラム(富栄ドラム)を使って乃木に盗聴器を仕掛けさせていたことも、やはり乃木は気づいていた。さらに、野崎が乃木を“救出”することになるザイール(Erkhembayar Ganbold)が自爆する場面では、野崎とほぼ同じタイミングで乃木が足首に隠した拳銃でザイールを撃っていたことも判明。野崎は、乃木が別班であるとの確信を深めていく。

 野崎は日本に戻って乃木の過去を調べなおし、公の経歴にあったアメリカの公立ロンガリー高校には在籍していなかったが、同じロンガリーの名前のついた私立のミリタリースクールに通っており、全科目主席で卒業するほど優秀だったことを突き止める。そこをきっかけに乃木の生い立ちが紐解かれていく。乃木は3歳のときにバルカの内乱に巻き込まれて両親と死別し、人身売買によってこじきをさせられていたところを戦場ジャーナリストに救出されて日本に戻ったという経緯があった。警察に保護されるも、バルカではひどい暴力を受けていたとみられ、強いストレスによる記憶障害で自分の名前も覚えていなかったことから、京都府舞鶴市の児童養護施設に預けられ、丹後隼人と名づけられて育てられた。そして高校生のときに島根のたたら製鉄の特集番組をテレビで偶然見かけ、記憶に引っかかるものがあり、たたら製鉄の御三家だったという島根県奥出雲町の乃木の実家にたどり着く。そこでDNA鑑定の結果、乃木家の親族であることが証明され、バルカで死んだと思われていた乃木憂助本人であることが分かったのだった。

 さらに第5話では、乃木がテントに対して執念を燃やす理由も明かされた。野崎は、乃木が3年ほど前に突然実家を訪れ、両親の遺体が見つかったかどうかや乃木家の家紋について尋ねていたという話を聞く。その家紋を確認した野崎は驚愕する。テントが使っている謎のシンボルマークとまったく同じだったのだ。一方、バルカにいる乃木はアリの居場所を突き止め、軟禁。テントのアジトの場所につながる情報を得ただけでなく、乃木はテントのリーダーが誰かを訊ねる。そのリーダー、ノゴーン・ベキ(役所広司)なる人物は、やはり亡くなったはずの乃木の父親・乃木卓だった。卓(林遣都)の40年後の姿をシミュレートした画像を見せられ、アリは「我が父、偉大なる指導者」と認めた。テントの創始者・リーダーが日本人であるとの情報、そしてテントが乃木家の家紋を使っていることから、乃木はずっと疑っていたのだろう。

 いまだに謎の存在であるテント。国際テロ組織だとされているが、その目的はいまだに謎のままだ。テントの会議のシーンで今年度の総収益が7億3870万ドル(約1000億円)と報告されており、どこ国の諜報組織も実態を掴めていないほどの存在であるにもかかわらず、かなり規模の大きい組織であることがわかる。乃木卓は元警視庁の警官で、農業使節団としてバルカに渡ったという。「リーダーの最後の標的は日本」ということは、警視庁時代に何かがあり、日本を恨むようになったのだろうか。

 また第5話では乃木の母親・明美(高梨臨)も「ずいぶん前に亡くなった」もののある時期まで生き残っていたらしいことも判明した。となると、リーダーのノゴーン・ベキ=乃木卓を「お父さん」と呼ぶ、二宮和也演じる謎の人物が乃木の実弟にあたるという可能性も高い。乃木父子、そして乃木兄弟の対決が本作の一番の山場となりそうだ。

 しかしこうなると気になるのは、別班の司令である櫻井里美(キムラ緑子)からも「奇跡の少女」と呼ばれていたバルカの少女・ジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)のことだ。第1話ではノゴーン・ベキが、ジャミーンの父・アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)の死のことを二宮和也演じる謎の人物から聞かされ、生き残ったジャミーンのことを「またひとりにさせてしまった」と気にかけていた場面もあった。アディエル、ジャミーンの父子にはテントと何らかの関わりがあるとみられ、特にジャミーンは物語のカギとなりそうだ。乃木は心臓の手術を受けるジャミーンのために1470万円を寄付していたが、ただ単純にジャミーンへの愛情からの行動ではなく、ジャミーンを生かしておく必要があるからではないか。ジャミーンがバルカではなく日本にいることが、テントを追う乃木や野崎たちにとって今後、重要な要因となっていくかもしれない。

 また、だんだん存在感が大きくなるFのことも気になる。予告では「ついにF誕生の秘密が明らかに」とあり、Fが何者かもわかるのだろう。バルカから救出され、児童養護施設に引き取られた時点で「よう一人でぶつぶつしゃべったり」していたということは、幼少期からFの存在はあったのだということだ。

 今期最高の”冒険ドラマ”は中盤に入り、謎のベールが1枚ずつはがされながら進んでいくストーリーに期待値がどんどん上がっていく。今夜21時放送の第6話も見逃せない。

■番組情報
日曜劇場『VIVANT
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/08/20 12:00
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