男はなぜ喧嘩に憧れる?『ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎哀歌』令和でも人気
#馬鹿よ貴方は 新道竜巳
昭和の不良は気に入らない人を見かけると睨み、喧嘩を売る。当時、学校の先生は絶対的な立場であり暴力的な人も多かったというのもあったが、先生が気に入らなかったら殴る。金がなかったらゲームセンターで真面目そうな奴に声をかけ金を奪う。当時ゲームセンターに行くと不良のたまり場になっており、気軽に遊びに行けない場所も多かった。
漫画も不良ものが当時多く人気爆発していた。「カメレオン」「特攻の拓」「ろくでなしBLUES」「クローズ」「湘南純愛組!」「今日から俺は!!」など他にも沢山あった。その中でも不良のバイブルとなっていたのが「ビー・バップ・ハイスクール」。1983~2003年まで続いた全48巻の人気不良漫画だ。
漫画も人気だが実写の映画も異常な人気があったのがこの漫画の特徴で、当時不良漫画から実写に移行して人気が出たのはこのビー・バップ・ハイスクールのほぼ一人勝ち状態でもあった。8月11日にYouTube東映シアターオンラインのチャンネルにて「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」が公開された。2週間限定公開されるそうだ。公開後2日で再生数が90万を超える勢いで、1986年に放映されたとは思えない勢いで閲覧されている。主役の中間徹(仲村トオル)、加藤浩志(清水宏次朗)が絶妙のハマり役とヒロインの泉今日子(中山美穂)の存在が人気の要因ではあると思う。
不良漫画の人気の特徴は、喧嘩とコメディのバランス、ヒロインの感情移入具合とライバルだと思う。それがこのビー・バップ・ハイスクールの映画はよくできていると思う。そしてライバルの存在。この回は、中間、加藤の愛徳高校VS山田敏光(土岐光明)、藤本輝夫(白井光浩)率いる東工業高校の抗争となっている。
この2人のキャラクターの立て方が素晴らしく、強すぎて同じ街に住みたくないと心から思ってしまう。存在自体が凶器の藤本輝夫は弱っている人間に対しての追い込み方は人間とは思えないやり口でやってくる。一生逆らえなくするやり口は目を伏せたくなる。一生こんな人とは関わりたくない。
そしてタイマンでこいつに勝てる奴なんかいるのかと思わされるフットワークとパンチの速さは素人と思えない山田敏光。1人だけでもやっかいなのにこんな最強の2人が東工業高校にいる。とんでもない抗争に中間と加藤は巻き込まれて、同情すらしてしまう。不良としてのレベルの違いを刑事さんからも指摘されるという前代未聞のキャラの立て方は最高すぎる。
中間、加藤は絶望的な状況になってしまう。そんな目の離せないストーリーがこの令和5年に見られて時間を忘れて最後まで見てしまった。男は結局喧嘩が好きというのがどうしてもあるのかもしれない。私が物心ついた時には権力の高さは喧嘩の強さだった。喧嘩の強い奴は皆から慕われて、何故か強い奴に限って弱い者には手を出さない、勉強もスポーツも出来て人格者でもあった。そういう番長を学生生活の時に見ていると、やはり憧れてしまい夢で自分がその人になった程で学生生活を送っているのを夢見ながら生活していた。
大人になってからは暴力に対しては全く無縁の環境下になるが、どこか男は暴力に憧れを持ち不良漫画や格闘技の強さに魅了されてしまう。社会に出ても仕事のできる奴、芸人でも優秀な人はどこか怖さがあったりもする。それは皆学生時代に影響を受けた不良漫画をどこか再現しているのかもしれない。
『ミンナのウタ』が『呪怨』以降の清水崇監督のベストを叩き出した理由
8月11日よりホラー映画『ミンナのウタ』が劇場公開中だ。先に申し上げておくと、本作は1999年製作のオリジナルビデオ版『呪怨』以降の清水崇監督のベスト。めちゃくちゃ恐...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事