スポンサーも見て見ぬふりができなくなったジャニーズの性加害問題
#Aぇ! group
国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が調査に乗り出した、ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏による性加害問題。作業部会は8月4日に都内で記者会見を開き、数十年にもわたってジャニー氏の性加害を報じることなく、もみ消しに加担した日本のメディアの責任に言及。日本政府が主体となって問題の調査に取り組み、被害者への補償を行う必要があると指摘した。
「問題を見て見ぬふりしてきたメディアの責任を追及したということもあり、地上波各局を含む多くのメディアも今回の国連の会見について報じています。もちろん、TBSが踏み込んで報じている一方でテレビ朝日が及び腰など、報道のスタンスに違いはありますが、スルーできなくなったのは事実。メディアとジャニーズ事務所の蜜月関係が見直される時期にきています」(週刊誌記者)
多くのファンを抱えているジャニーズ事務所のタレントは、地上波各局や一部の出版メディアにとっては、重要な“ドル箱”だ。ジャニーズのタレントを起用すれば、視聴率も見込めるし、出版物も売れる。だからこそ、ジャニーズと良好な関係を築こうとする多くのメディアが、ジャニーズに忖度をした報道を繰り返してきた。それはスポンサーも同様であり、ジャニーズのタレントをCMに起用することの広告効果が高いため、ジャニーズの闇の部分に目をつぶってきた企業は少なくない。
そんななか、BBCのドキュメンタリー番組をきっかけで、スポットが当たることとなったジャニー氏の性加害問題だが、当初は楽観的に見ていたメディアやスポンサーも多かったという。
「あくまでも故人であるジャニー氏の不祥事であり、現役のメンバーたちとは切り離して考えるメディアやスポンサーが多かった。そして、性加害問題が話題になったからといって、現役のジャニーズタレントの人気が急落するわけでもなく、彼らは変わらず“数字を持っている”存在であり、“ジャニーズ事務所の排除”というところまで議論が発展していなかった。メディアやスポンサーは、問題の深刻さについて理解していなかったと言える」(広告関係者)
そんななか、風向きが変わるきっかけとなる報道があった。それが、関西ジャニーズJr.のAぇ!groupのフジテレビバレーボール中継サポーター降板だ。
『週刊文春』2023年7月27日号(文藝春秋)によると、今年9月から10月にかけて放送予定のフジテレビ系『FIVB パリ五輪予選 ワールドカップバレー2023』のスペシャルサポーターにAぇ!groupが決定していたという。しかし一部の大会出場国から、性加害問題を抱えるジャニーズ事務所のタレントが関わるのであれば大会に参加しないとの抗議があり、Aぇ!groupが降板となったというのだ。
「これまでいあったジャニーズ事務所に関わる諸問題は、ジャニーズ事務所とメディア、そしてスポンサーの間で調整し、できるだけ大事にならないように上手くかわしてきた。しかし今回のワールドカップバレーで、出場国から抗議されるというまさかの形になった。つまり、外部からのプレッシャーがかかったことで、問題を身内だけでは処理できなくなったということ」(同)
ジャニーズ事務所に関するさまざまな問題は、芸能界・マスコミ界のなかで起きたものとして、甘い対応が取られることが多々あった。しかし、国際大会の参加国からの抗議があったとなれば、芸能界だけの問題ではなく、その影響がスポーツ界に及ぶことは必至。国際問題にも発展しかねない。それでもなおジャニーズのスポンサーであり続けることは、その企業にとってマイナスイメージになるためだ。
「ジャニーズ事務所を取り巻く特殊な事情を知らない国際社会において、ジャニーズ事務所と近い関係を保つことは、人権侵害を認めるということになってしまう。メディアについても同様であり、少なくとも問題に関する報道をスルーするのは悪手でしかない。
内々で問題を有耶無耶にできなくなった以上、今後ジャニーズのタレントを避けるスポンサーも増えていくでしょうし、メディアもジャニーズへの甘い対応を見直さざるを得ない。こういった変化をもたらしたという意味で、外部から“NO”を突きつけられたAぇ!groupの降板騒動は、重要なターニングポイントになったと思います」(同)
渦中のグループとなってしまったAぇ!groupは、近々メジャーデビューをすると報じられている。しかし、それも一筋縄ではいかないと見られている。
「メジャーデビューは既定路線だとしても、“ワールドカップバレーの降板”という負のイメージがつき、“性加害問題に巻き込まれたグループ”というレッテルが貼られている。それを払拭するには、やはりジャニーズ事務所が問題解決にもっと真剣に取り組むしかない。今後もジャニーズ事務所がエンターテインメントの仕事を続けていくためには、いかにしてAぇ!groupをクリーンな形でデビューさせることができるかが、重要な試金石になっていくでしょう」(音楽業界関係者)
Aぇ!groupはもちろん、ほかの所属タレントや、多くのファンのためにも、徹底的な問題解決が求められる。
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