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「広告費払ってウソばらされるの面白すぎ」 コミュティノートが広告ツイートを斬る

「広告費払ってウソばらされるの面白すぎ」 コミュティノートが広告ツイートを斬るの画像1
Twitter Japan 公式より

 Xへの改称直前、ツイッター上に突如現れた「コミュニティノート」という画期的な新機能。ユーザーが協力して役立つ背景情報を投稿に追加し、他のユーザーへ情報提供できる。

 悪用される余地がないわけではないが、いまのところほぼ適切に運用されていると言っていいだろう。そんな中、コミュニティノートの変わった活用方法が観測された。「プロモーション(広告)ツイート」への情報追加である。

「ファクトチェックに使えそう」と評価が高まる中で

「プロモーションツイート」とは、ツイッター社時代からある代表的な広告メニューのひとつ。通常のタイムラインに、ツイートの体裁で広告を流す手法である。

 ユーザーの関心に合わせて表示されるので、ターゲティングの効果がある。「プロモーション」の文字が下に入るが、一見するとフォロワーの投稿に見間違えることもあり、効果の高い広告手段ともいえる。

 通常の投稿と同様にリツイートやいいねができるため、二次拡散も期待できる。予算は「総予算」か「1日の上限予算金額」で決められ、比較的低予算で始められる手軽な広告手段である。

 とはいえ、広告料はツイッター社の売上収益の9割近くを占めており、貴重な収入源だ。その大事なプロモーションツイートの広告内容に、ユーザーから新機能を使った“ツッコミ”が入ったわけである。

 コミュニティノートはデマや誤った情報に補足情報をつけられ、誤解や勘違いを広めない使い方ができるため、ユーザーからは「勉強になる」「ファクトチェックに使えそう」「本当リベラルでいい仕組み」と高く評価する声も少なくない。

 しかし、自社の大切なお客さまである広告主に対し、一般ユーザーが「それっておかしいんじゃないですか?」と疑問を投げかけることを、旧ツイッター社は想定していただろうか?

「当広告は法律に違反している可能性があります」

 広告にツッコミを入れられたのは、東証プライム市場に上場する某通販会社だ。自社のオリジナルブランドの健康美容商品を、インターネット上で一般消費者向けに販売している。

 2023年2月期こそ「受注過多による発送遅延」や「広告投資の拡大」で営業利益率が5.2%まで落ち込んだものの、コロナ禍でも20%台の高い水準を維持していた会社である。

 営業利益率28.9%を叩き出した2020年2月期は、粗利率も75.7%と高い。自社で原材料を安く買い付けて製造を外部委託したりOEMを使ったりして原価率を絞り込み、さらにSNSなどのネット広告を使って直販することで儲けを最大化している。

 この会社がプロモーションツイートを使って、アマゾンや楽天で売上1位を獲得したという「爪殺菌ジェル」を定価の半額で購入できるアンケートモニターを募集する広告を出したところ、その投稿にコミュニティノートでこんな背景情報が追加された。

 分厚さ、変色、ボロボロ等の症状から類推される爪白癬(爪水虫)が本商品によって治癒することはありません。
爪水虫に対して効能・効果が認められている薬は医療機関でしか手に入りません。自己判断で市販薬を使わず、皮膚科を受診することをおすすめします。

 そして信頼できる情報ソースとして、佐藤製薬の爪水虫のサイトへのリンクが貼られている。さらにノートは、薬機法第66条を引き合いに出し、「当広告は法律に違反している可能性があります」と指摘している。

「面白いけど大丈夫?」とX社を心配する人も

 また、同じ会社の別のプロモーションツイートが投稿されると、目ざといユーザーが晒し上げ、同様に「効果のある治療薬は市販されておりません」というノートをつけられている。

 怪しげな広告が無慈悲に指摘を受ける様子を見た人たちからは、快哉の声があがっている。

「広告費を払ってウソばらされるの面白すぎ」
「これは素晴らしい火の玉ストレート(´・ω・`)」
「コミュニティノートて広告にもブッ込むんだな。マジワロタ」
「ビフォーアフターで違う人の足なんですけど…?」
「違法広告をコミュニティノートが叩き潰すの爽快で草」
「情け容赦なさすぎて小躍りしてしまう」

 結局、コミュニティノートをつけられた当該プロモーションツイートは、翌日になって削除されてしまった。

 一連の経緯を見た人からは「面白いけど広告収入、大丈夫?」と、コミュニティノートの機能がX社の収入源を脅かすことになるのでは、と心配する人もいる。

 しかし、広告審査が追いつかない中で、ユーザーが不適切なものを指摘して排除するしくみができれば、X社としてもそれはそれでありがたいのかもしれない。リテラシーの高いユーザーと、利用者コミュニティへの献身が前提となるのだが。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/08/08 09:00
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