隅田川花火大会中継が視聴率時間帯トップ “テレビで花火”を根付かせたテレ東の嗅覚
今年の夏はコロナ禍がようやく収まり、次々とイベントが復活。東京の夏を彩る隅田川花火大会も4年ぶりに復活したが、毎年、その模様を生中継してきたテレビ東京が“大魚”を射止めた。同日に放送された『独占生中継 2023 隅田川花火大会』が視聴率11.2%(関東。ビデオリサーチ)を獲得。この数字は同時間帯トップだった。
「隅田川花火の中継は、テレビ東京が40年以上前から放送を続けてきた老舗番組。今年は4年ぶりの開催で、過去最高の人手が見込まれていたため、人混みを嫌ってテレビのチャンネルを合わせた人が多かったのでしょうが、それにしても時間帯トップは快挙です。
テレ東にしてみれば、確かにラッキーな面はありました。通常なら土曜日の裏番組は『ブラタモリ』(NHK)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日系)、『ジョブチューン』(TBS系)など強豪揃いですが、当日はいずれも放送はお休み。『ブラタモリ』の枠はラグビー中継だったので、かなりの視聴者が花火に流れたものと思われます」(テレビ情報誌記者)
“花火は現場で見てこそ”という常識を覆したテレビ東京。ただ、今回の数字は決してまぐれあたりではない。
「隅田川花火に先駆けて関西地区では7月25日、テレビ東京系のテレビ大阪が天神祭の花火を生中継しましたが、こちらも歴代最高の視聴率を獲得。テレビ東京の隅田川花火と同様、テレビ大阪も40年以上、天神祭中継を続けており、長年の執念がついに実を結んだ形です。
隅田川花火で言えば、コロナ前にも視聴率が2ケタに達したことはあり、2013年にはゲリラ豪雨で花火が中止になってしまったため、前年の花火大会の様子を延々と中継したところ、前年を超える視聴率を記録したことも。ブレずに放送を続けてきた姿を、視聴者はきちんと見ているということです」(同上)
さらに、高視聴率獲得の背景にはテレビ環境の変化もあるとキー局関係者は指摘する。
「今回の高視聴率の最大の要因は開催が4年ぶりだったことでしょうが、ここ数年でテレビが一気に大きくなったことは見逃せません。ブラウン管時代、家庭用テレビは20インチ台が標準でしたが、2011年のデジタル化で32インチがスタンダードになり、近年は40インチ台が売れ筋になりました。かつては“小さいテレビでチマチマと花火を見ても”といった感は拭えませんでしたが、画面が大きくなり、画質も向上したことで、テレビでの観賞に耐え得るコンテンツになりました。
花火中継はヘリを飛ばしたり、賑やかしのタレントを呼んだり、各所にカメラを配置したり、制作費がかさみそうに見えますが、放映権料が安いので、実はそれほど制作費は掛からない。荒天で中止になるリスクはありますが、最近は猛暑が酷く、コロナで混雑が嫌がられる傾向は一気に強まりましたから、今後は花火中継番組が夏のトレンドになるかもしれません」(キー局関係者)
今日は花火大会だから、早く家に帰らないと──そんな時代がやって来るのかもしれない。
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