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『シークレット・インベージョン』不評?多作路線の弊害とストで正念場を迎えるMCU

『シークレット・インベージョン』不評?多作路線の弊害とストで正念場を迎えるMCUの画像1

 世界最大級のポップカルチャーの祭典「サンディエゴ・コミコン・インターナショナル」(以下SDCC)が、現地時間の7月20~23日に米サンディエゴで開催された。コミックやアニメーション、映画、ドラマなどに関する新情報が発表されるということで、毎年注目の的となるSDCCだが、今年は米脚本家組合と米俳優組合のストライキの影響もあり、マーベル・スタジオ、DCスタジオ、Netflix、HBO、ルーカスフィルム、ソニー、ユニバーサルなどが不参加となり、少々寂しい内容となった。

「毎年のSDCCでは、マーベル・スタジオのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に関する何かしらの発表があり、映画やドラマの出演者がゲストとして登壇するのが恒例でした。

 しかし、今回のSDCCではマーベルのコミックやトイに関する発表はあったもの、MCUの映画やドラマについての新情報はなし。予想通りの展開だったとはいえ、世界中にいるMCUのファンは、がっかりしています」(映画関係者)

 2018年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、2019年公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が記録的な大ヒットとなったMCUだが、その後コロナ禍を経てトーンダウンしている。

「コロナの影響で作品の制作・公開のスケジュールがずれ込んだだけでなく、2021年からディズニープラスでのオリジナルドラマシリーズの配信が始まったことが、良くも悪くも影響しています。

ファンにとっては、ドラマシリーズが始まり作品数が増えるのは嬉しいことである一方、映画だけでも作品数が多くて追いきれないMCUなのに、ディズニープラスに加入しないと全部の作品をカバーできないとなると、脱落していくファンが増えているという現状がある」(同)

 そして、米脚本家組合と米俳優組合のストライキが開始し、映画やドラマの制作がストップしてしまった。

「そもそも最近のMCUはあまりにも作品数が増えてしまった結果、ひとつひとつの作品のクオリティの低下が指摘されています。特にVFXについてはかなりレベルが下がっている。作品数が増えて、1本にかける予算も時間も少なくなっているというのが実情です。

そういった状況があるなか、最近では配信・公開のスケジュールが何度も変更され、予定されていた作品のうちのいくつかが完成しないのではないかとも囁かれ始めています。そのうえストライキですから、いよいよ黄色信号。現在の“多作路線”のMCUは限界なのかもしれません」(同)

 MCUでは、公開・配信の時系列に沿って、「フェーズ」というくくりで複数の作品をまとめており、現在公開中の作品群は「フェーズ5」。このフェーズ5と、ここに続くフェーズ6のメインヴィランとなるが“カーン”というキャラクターだ。

 このカーンは、ドラマシリーズ『ロキ』と今年2月公開の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』では、ジョナサン・メジャースが演じている。しかし、そのメジャースは今年3月に家庭内での暴行容疑で逮捕されており、8月から裁判が始まるという。

「メジャース側は無罪を主張しており、ディズニープラスもマーベル・スタジオも作品の配信停止などは行っていません。どちらかというと楽観的な空気もありますが、今後の裁判の結果次第では、メジャースの降板や脚本変更などもありうるのも事実。ストの行方も気になりますが、こちらの事件がどう転んでいくかも、MCUに大きな影響を与えるでしょう」(同)

 そんななか、7月26日にはMCUの最新ドラマシリーズ『シークレット・インベージョン』の最終話がディズニープラスで配信された。ヒーロー集団アベンジャーズの創設者であるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)を主人公としたダークスリラーだ。

「最終回についてはファンの間でも賛否両論になっているようですね。少々バッドエンド的な幕引きだったことや、キャラクターの掘り下げが甘かったことに不満を持つ視聴者も少なくない。ニック・フューリーというと、MCUではかなり重要なキャラクターであり、その主演作が微妙な評価となったならば、今後のシリーズにも悪影響を及ぼしかねない。MCUにとってはこれもまたネガティブな材料です」(同)

 不安定な状況のMCUに追い打ちをかけるかのように、マーベル・コミックのライバルであるDCコミックスの映像作品制作を専門的に行うDCスタジオによる「DCユニバース」という一連のシリーズが始まろうとしている。

「主にDCとワーナー・ブラザースが主導となって制作された『DCエクステンデッド・ユニバース』と呼ばれていた作品群の一部をリブートし、新たに始まったのが『DCユニバース』です。『DCエクステンデッド・ユニバース』内で計画されていた作品の一部もDCユニバースに組み込まれています。そのなかで、今年6月に公開された『ザ・フラッシュ』がかなり評価も高く、今後のDCユニバースへの期待も高まっている。それこそMCUが弱っている状況で、DCユニバースが台頭しているということで、MCUからDCユニバースに乗り換えるファンも多いのではないかと言われています。もちろん、DCユニバースもストの影響は受けていますが、右肩下がりのMCUに比べればDCユニバースのほうがマシだという空気が流れ始めています」(同)

 世界的な人気を誇るMCUに訪れた正念場。ここを乗り越えるには、ただただファンに愛される面白い作品を世に出していくしかなさそうだ。

田井じゅん(エンタメウォッチャー)

1985年生まれ。神奈川県出身。専門学校在学中より、ミニコミ誌やフリーペーパーなどでライター活動を開始。一般企業への就職を経て、週刊誌の芸能記者に転身。アイドル業界や音楽業界を中心に、その裏側を取材中。

たいじゅん

最終更新:2023/07/31 08:00
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