『キングダム2』今や邦画で不可能な“あのシーン”を凄まじい迫力で描く
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
中国で初めて天下統一を果たした始皇帝と彼の覇業を支えた武将、李信との出会い、そして天下統一までの戦いを描く、既刊69巻の人気マンガ「キングダム」の実写映画化第三弾『キングダム 運命の炎』公開(7月28日より全国東宝系にて)を記念して、今夜の日本テレビ系『金曜ロードショー』では前作『キングダム2 遥かなる大地へ』を放送。
いつもと違って19時56分からの放送になりますので気を付けよう!
弟の反乱を鎮圧し、秦国の実権を取り戻した秦王・嬴政(吉沢亮)だが、隣国・魏の軍勢が国境を侵略したとの一報が。天下に名を轟かす戦の天才と呼ばれる将軍・呉慶(小澤征悦)に率いられた9万の魏軍は、たちまち秦の城を攻め落とし、火を放ち女子供の区別なく惨殺するのだった。
魏軍を討つべく、秦王とともに天下統一を夢見る「未来の大将軍」こと信(山崎賢人)は魏軍が陣を張る蛇甘平原へと向かう。道中、強兵の魏軍に立ち向かうための5人一組の集団「伍」を組むことに。伍長の澤圭(濱津隆之)、信と同郷の尾平(岡山天音)、尾到(三浦貴大)、そして正体不明の羌瘣(清野菜名)。凸凹の寄せ集めにしか見えない彼らは筋骨隆々の沛浪(真壁刀義)にも「あいつらはすぐ死にそうだ」と笑いものにされる。
平原の丘を魏軍に占拠された秦軍は圧倒的に不利な状態だが、秦の総大将・麃公(豊川悦司)は「取られたら取り返せ」と出陣させ、戦場で信ら歩兵部隊の指揮を執る千人将の縛虎申(渋川清彦)は無謀な突撃を命じるのだった。
強兵揃いの上に統率の取れた軍隊である魏の兵力を前に、秦の歩兵たちは空しく死んでゆく。だが信と羌瘣の八面六臂の活躍によって、彼らが所属する第四軍だけは激しい抵抗を続ける。残党狩りから仲間を助けるために、死地に残った信と羌瘣。その最中に信は羌瘣の正体は女で、伝説とされた暗殺集団「蚩尤」の人間であったことを知る。羌瘣は殺された姉の羌象(山本千尋)の仇討ちのために、秦軍に潜り込んだと打ち明ける。
「仇を取るまでこんなところで死ぬわけにいかない」
と戦いの理由を話す羌瘣に、亡き友人、漂(吉沢亮・二役)と誓った「天下の大将軍になる」という夢をかなえるまで死ぬことができない信も彼女に共感を覚えるのだが、二人の思惑とは別に魏と秦、二国の戦争が彼らを翻弄する。
『キングダム2』は前作の続きで、魏と秦、二国の大規模な合戦にほとんどの時間が割かれている。王権を奪還するためのクーデターとして少数の兵の戦いがあった一作目と大きく違うところだ。
百十数頭の騎馬と数百人の兵が入り乱れるこの合戦シーンが本作最大の見どころで、チマチマとした歩兵同士の小競り合いが主だった前作と比べてもスケール感がアップしている。この合戦シーンのため中国本土で撮影が行われたが、途中コロナ過に見舞われ、日本で撮影しなくてはならないシーンもあったそうだが、画面を見る限りはほとんどわからない。
今や邦画で「合戦シーン」というものはほとんど、撮影不可能と言われている。そんなものを取る金も場所もないというのだ。
今年公開された時代劇映画『レジェンド&バタフライ』は東映創立70周年を記念し、木村拓哉、綾瀬はるか二大スター共演で、木村演じる織田信長の短くも激しい人生が語られる「超大作」であったが、信長の戦いの中でも著名な桶狭間の戦とか、長篠の戦は前後が語られるだけで、合戦のシーンは全く描かれないのだった。映画を見ながら「ちょ、待てよ!」と突っ込んでしまった。
製作費20億円という触れ込みの映画だったが、その金はどこへ消えた?
『キングダム2』の製作費は公式によると「普通の邦画製作費の7本分」となぜか曖昧な数字を出していて、製作費を発表できない理由でもあるのか知らないが、一説には「10数億円」と言われている。それでも『レジェバタ』より低い金額でしっかり合戦の場面を作っていたので、一体『レジェバタ』は何をしていたのかと……。
『キングダム2』は、邦画では見ることもかなわない合戦シーンを真正面から描いた(それも凄まじい迫力とスケールで)、それだけで価値のある作品だ。人馬入り乱れ、戦車が荒野を駆けまわり、血と砂に塗れた亡骸が打ち捨てられる。何百人規模でだ。
一作目では主演の山崎賢人が叫びながら飛び込んでいったら、なんでも解決しちゃう展開が完全にギャグになっていたけど、2作目ともなるとこなれてきた感があって、兵の群れに叫びながら突っ込んでいってまとめて十数人を切り倒し、次の群れにまた飛び込んでいくといったアクションも「こういうのもアリだな」と思えてしまうので不思議なものだ。
清野菜名が演じる羌瘣の巫舞と呼ばれる、舞うように人を斬るアクションも美しい。
この羌瘣というキャラクターは原作屈指の人気キャラで、原作ファンからの期待も大きいだけに清野菜名は相当なプレッシャーがあったと思われるが、出来上がった映像を見る限り完璧でしょう。個人的には「キングダム」連載10周年を記念して作られた実写特別動画で羌瘣を演じていた、元JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会チャンピオンのアクション女優、山本千尋が実写映画版も演じてくれたらよかったんだけど……(山本は姉の羌象役で出演しているが、何とアクションシーンなし! 勿体ないにもほどがある)
1作目はチマチマとした邦画感から一歩も抜け出せずにこじんまりとしていたけど、『キングダム2』は威風堂々としてハリウッド映画も食っちゃう勢いで、邦画アクション映画の可能性を見せてくれた。3作目もこれを上回るスケールのスペクタクルアクションを見せてくれるだろう。こうご期待。
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