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ビッグモーター保険金不正問題 CM、同業他社…果てなく広がる各業界への影響

ビッグモーター保険金不正問題 CM、同業他社…果てなく広がる各業界への影響の画像1
ビッグモーター 公式サイトより

 修理のために愛車を預けたら、さらに車を傷つけられていたとは……。中古車販売大手のビッグモーターの不正に、全自動車ユーザーから怒りの声が上がっている。日々、報じられる不正の実態は、

「ゴルフボールを靴下に入れ、ボディを叩く」
「サンドペーパーで擦ってすり傷をつける」
「ヘッドライトをハンマーで割る」

など、目を疑うようなものばかり。修理代金は、修理箇所の数や度合いによって決まるはずなのに、修理代金にノルマが設定されていたというのだから言葉が出ない。現在、メディアはこぞって同社の不祥事を取り上げているが、影響はどこまで広がるのか? まずはビッグモーターの行方だ。

「兼重宏行社長は役員報酬を1年間、返上することを発表しましたが、そんなことで終わるはずがない。様々な状況証拠から不正が組織ぐるみだったことは明白で、兼重社長も不正を把握していたはず。積極的に指示していた可能性さえあります。

 保険金詐欺は重罪で、一発で懲役になることもありますが、組織的な保険金詐欺となればトップの責任は極めて重い。不正を証明するハードルは高いですが、集団訴訟を起こされれば巨額の賠償を命じられる可能性もあります。

 ただ、ビッグモーターは中古車業界では新興ですが社員は約6000人もおり、下請けまで含めると、潰れた時の影響が大きすぎます。ある調査では、不正が4割に上ったとの数字も上がっており、“数が多すぎて対応しきれない”というのが現実。とりあえず同社の信用は完全に地に落ちたので、経営陣の一新と社名変更は不可避でしょう」(週刊誌記者)

 損保会社も強く責任を問われることになる。

「水増し請求された保険会社は一見、損をしているように見えますが、修理箇所が増えれば顧客の等級が下がり、保険料の支払い額は増えるので、損をするとは限らない。とりわけ損保ジャパンは、内部告発があった際、ビッグモーター側の主張を鵜呑みにして、早々に取引を再開したことが分かっています。

 ビッグモーターに愛車を傷つけられた人は直接的な被害者ですが、保険会社が支払った修理費用は、保険に入っている全ての人が支払ったお金ですから、今回の件は全保険加入者が被害者です」(同上)

 同業他社への風評被害も見過ごせない。自動車販売関係者が言う。

「車の修理は、ある意味でブラックボックス。顧客は現場に立ち会いませんし、車に関する知識がないため、修理工場側の言うがままに修理が進んでいくケースは多い。それでも、これまでは互いの信頼関係で成立してきたのに、ビッグモーターが今回、“壊れていない箇所を壊す”という悪事に手を染めたことで、我々まで疑いの目で見られる羽目になりました。もともと車検の代金などについて、ユーザーは車業界に不信感がある。ただでさえ整備士は足りていないのに、我々の肩身は狭くなり、この先どうなることやら……」

 一方、大手メディアも批判の対象になり得る。

「ビッグモーターの不正については、週刊誌がかなり前から報じていましたが、明らかにテレビや新聞の腰は重かった。そこで囁かれているのが『スポンサーへの忖度では?』という声です。ビッグモーターはテレビ、ラジオで大量にCMを打ったり、新聞の折込広告を出したりしていましたし、損保各社も超大口のスポンサー。今になって遅れを取り戻すかのごとく、ビッグモーターのことを大きく取り上げていますが、遅きに失した感は否めません。

 ダイレクトに影響があったのはラジオ業界。ラジオではこれまでビッグモーターのCMが異常に流れてきましたが、今回の件でビッグモーターの枠が一気に吹っ飛び、代理店の担当者は現在、事態の収拾に追われているようです」(代理店関係者)

 各方面に“ビッグ”な影響を与えたが、怒りの炎は問題を根絶やしに出来るか。

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2023/07/23 08:00
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