映画「ジョーズ」さながらのパニックも…米国でサメの恐怖拡大、経済にも影響が
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ニューヨーク市近郊のビーチで、2日間で5人がサメにかまれた。いずれも命に関わるけがではなかったが、夏真っ只中の出来事で、サメの恐怖が全米に広がった。マリンスポーツ教室の受講キャンセルが続出するなど経済にも影響が出ている。
被害が相次いだのは、ニューヨーク市から東に約75キロ離れたファイアー・アイランド国立海浜公園とその周辺のビーチ。ファイアー・アイランドは全長約50キロの細長い島で、ニューヨーク市民の海のレジャーの定番となっている。
独立記念日前日の7月3日午後、サーフィンをしていた15歳の男の子が、かかととつま先をかまれ、病院に運ばれた。また、10キロほど離れた別のビーチでは、15歳の少女が左足に刺されたような痛みを感じた。救急隊が出動し少女を治療したところ、3カ所かまれていたことが確認された。
独立記念日の4日には、胸ぐらいまでの深さがある場所で泳いでいた47歳の男性が右ひざをかまれ、病院に運ばれた。また、近くのビーチでは49歳の男性が右手をかまれ傷を負った。その数時間後には50歳ぐらいの女性がかまれたとの報告があった。
3日の被害の後、地元警察などはドローンを使って上空から周辺の海を調べた。独立記念日の4日午前8時ごろ、体長約3メートルのサンドタイガーシャーク(シロワニ)が約50匹確認された。このため4日は、ビーチの遊泳開始時間を1時間遅らせていた。
この2日間での被害で、ニューヨーク州でサメが人を襲ったケースは2022年以降、13件となった。ロードアイランド州に本拠地を置く非営利団体の大西洋サメ研究所によると、2年間ベースでの数字では、ニューヨーク州でこの175年で最多だという。
フロリダ自然史博物館によると、2022年に人がサメから不意打ち的に襲われたケースは全世界で57件あり、そのうちの41件が米国だったという。41件のうち8件はニューヨーク州だ。
サメが沖合ではなく、浜辺近くにいることが多くなっていることをうかがえる数字だが、専門家は海水温の上昇でサメのエサとなる小魚が海岸近くを泳ぐケースが増えたことや、ニューヨーク市周辺の水質が改善したことなどを要因としてあげている。
一方、大型サメの目撃が多いフロリダ州では2日に、映画「ジョーズ」さながらのパニックがビーチで見られた。アラバマ州との境にあるメキシコ湾に面したペルディード・キーで午後2時15分ごろ、海水浴客であふれるビーチに大型のサメが現れた。
海水浴客がスマートフォンで撮影した映像には、浅瀬の水面にサメの背びれが現れ、「サメだ」との叫び声で水遊びをしていた海水浴客が一斉に浜辺に上がろうとする姿が映し出されている。
映画「ジョーズ」のサメは忍びよるように人に近づいていたが、このサメは激しく水しぶきをあげて泳いでいた。その違いはあるものの、海水浴客の慌てぶりは「ジョーズ」さながら。映像はメディアでも取り上げられ、サメの恐怖を全米に見せつけた。
ニューヨークとフロリダでのサメのニュースは、夏のマリンスポーツ産業にも影響を与えた。ニューヨークのファイアー・アイランドにあるスポーツ用品店では、サーフィンをしようとした観光客からのキャンセルが相次ぎ、売り上げの約3割を占める用具のレンタル業務をストップせざるを得なくなったという。
5月にサメによる被害が報告されたサウスカロライナ州では、5月最終月曜日に定められた連邦の祝日、メモリアルデーに予約が全く入らなかったサーフィン教室があった。
サメへの恐怖心の背景には、これまで現れなかった地点に狂暴なサメが出現するケースが米国で目立っていることがある。
最も衝撃的だったのは北東部メーン州での出来事だ。2020年7月27日、ニューヨークから遊びに来ていた63歳の女性が遊泳中にホホジロザメに襲われて死亡した。ホホジロザメは地球上で最も危険な生物とも言われる。メーン州でサメに人が襲われて死亡したのは初めてのことだった。メーン州は米国北東端に位置する州で、大西洋の海水温が低いことからホホジロザメが出現することは極めてまれだった。
女性は沖合18メートルの辺りを娘と一緒に泳いでいて突然、噛みつかれた。メーン州はアシカが多く生息し、州のシンボルにもなっている。女性はウェットスーツを着用していたことから、ホホジロザメが女性をアシカと思って襲ったとみられている。ウェットスーツを着用していなかった娘にけがはなかった。
米国のサメの専門家は海に入る際の注意点として次の点をあげている。
①何人かで一緒に泳ぐ
②早朝や夕方は泳がない
③けがなどで出血している時は海に入らない
④アクセサリーを外す
⑤魚にエサを与えない
⑥派手な水着を着ない
⑦過度に水しぶきをあげない
⑧サメに遭遇しても慌てず、ゆっくり動いて水から出る
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