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大阪万博「入場料はUSJ並み」で庶民はカヤの外…閑古鳥の悲劇的展開も?

大阪万博「入場料はUSJ並み」で庶民はカヤの外…閑古鳥の悲劇的展開も?の画像1
大阪万博の舞台となる夢洲(大阪・此花区)Getty Imagesより

 多額の税金が投入されるイベントを楽しめるのは“上級国民”だけかもしれない。2025年の大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は昨月、入場券を7500円に設定することを発表。遠方から足を運ぶのは高いハードルになりそうだ。

 大阪万博は2025年4月から10月まで、大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)にて開催。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、SDGs達成への貢献や、日本の国家戦略Society5.0の実現などを目指す。

「大阪万博の入場料は、当初の想定では5000円程度とされていました。しかし、人件費や物価の高騰、テロ対策、昨年10月に韓国で発生した雑踏事故を踏まえた対策強化など、運営費が大幅に増えたため、協会は来場者数と想定収入を計算し、7500円が最適だと判断。一時は8000円で決定しかけましたが、“高すぎる”という意見が出たため、7500円に落ち着きました。

 過去の万博と比較すると、1970年の大阪万博は800円、1985年のつくば万博は2700円、2005年の愛知万博は4600円。当時の物価の違いもあるので、単純比較はできませんが……。一方、ほかの娯楽施設と比較すると、USJは8600円~1万400円です。東京ディズニーランドは昨日、10月からチケット価格を最高1万900円にすることを発表しましたが、日本が誇るテーマパークとだいだい同レベルとなります」(フリージャーナリスト)

 協会は約2820万人の来場を想定しているが、これはコロナ前の東京ディズニーリゾートの年間入園者数と同レベル。相当に強気な試算にも思えるが、景気が悪い今の日本で、万博で大散財する人間がそんなにいるのか。トラベルライターはこう語る。

「仮に親子3人で東京から足を運べば、新幹線代が往復で約7万円、万博の入場料が約2万円、飲み食いも1日あたり1~2万円は掛かるでしょう。宿泊代は通常なら大阪市内で2万円ぐらいですが、想定通りの来場者数が訪れるなら、万博期間中は大阪の宿泊施設はパンパンなので、どこもかなり強気な価格設定をすることが予想される。遠方に泊まるのがイヤなら、4~5万円を覚悟する必要があります。こうなると、弾丸ツアーの1泊2日でも親子3人で20万円前後、2泊すれば30万円近く飛んでいく計算です」

 関西圏在住者なら宿代はいらず、交通費も劇的に下がるが、日本の3割は首都圏在住者だ。不景気の日本で、“たった半年で終わるお祭り”に20~30万円を投じられる人間がどれだけいるか。前出のフリージャーナリストは、悲劇的な結末を予想する。

「7500円という入場料は率直に高い。関係者は運営費から算出した適正な価格であると主張しますが、民間の娯楽施設ならいざ知らず、万博は国や自治体、政財界の主導で進められるものであり、利潤を確保することに庶民の反発は強い。開催が近づけば、間違いなく“万博行かないキャンペーン”が始まるでしょう。

 また、運営費はまだまだかさむ可能性が高い。記憶に新しいのは東京五輪ですが、大会の成否はともかく、予算はとにかくどんぶり勘定で、最終的には当初予定の3倍になるとも言われています。海外情勢や経済状況を見極めると、大阪万博の費用がさらに増えることはあっても、想定内に収まる可能性はハッキリ言ってゼロ。高い入場料でそっぽを向かれ、巨額の赤字で終わるようなことになれば、今度は政財界と国、地元・大阪とで責任のなすりつけ合いでしょう」(前出・フリージャーナリスト)

 前回の大阪万博は今でも語り草になるほどの異常な盛り上がりだったが、2回目はいか
に?

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2023/07/08 13:00
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