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ChatGPT、夏休みの宿題に使っちゃダメ! 文部科学省が緊急ガイドライン発表

ChatGPTを夏休みの課題に使っちゃダメ!文部科学省が緊急ガイドライン発表の画像1

 夏休みの課題にAIを使ってはダメ。文部科学省は7月4日、ChatGPTやBingChat、Bardなどの対話型⽣成AIの「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を各都道府県教育委員会などに提示した。
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

 現在では、子どもたちが容易にAIを利用できる状況になっている。内閣府「10年度から22年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(17年度以前はスマートフォン・携帯電話の所有・利用状況、18年度以降はスマートフォン専有率)は、年々増加している。

 22年度の所有率は、小学生64.0%、中学生91.0%、高校生98.9%となっており、特に小学生の所有率が急激に上昇、すでに2人に1人以上がスマートフォンを所有している。(グラフ)

ChatGPTを夏休みの課題に使っちゃダメ!文部科学省が緊急ガイドライン発表の画像2

 こうした環境の中、文科省では今回、主として対話型の文章生成AIについて、学校関係者が現時点での活用の適否を判断する際の参考資料としてのガイドラインを取りまとめた。ガイドラインの中では、読書感想文など夏休みといった長期休業中の課題などへAIを利用することは不適切といった考え方も示されている。

 文科省では、現時点でのAIに対する基本認識として、AIは、あらかじめ膨⼤な量の情報から深層学習によって構築した⼤規模⾔語モデルに基づき、ある単語や⽂章の次に来る単語や⽂章を推測し、「統計的にそれらしい応答」を生成するものであり、指⽰⽂の⼯夫で、より確度の高い結果が得られるとともに、今後更なる精度の向上も⾒込まれているが、回答は誤りを含む可能性が常にあり、時には、事実と全く異なる内容や、⽂脈と無関係な内容などが出⼒されることもある、としている。

 これを前提に、現在の生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方のうち、適切ではない例として以下の8項目を上げている。

①⽣成AI⾃体の性質やメリット・デメリットに関する学習を⼗分に⾏っていないなど、情報モラルを含む情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階において、⾃由に使わせること。
②各種コンクールの作品やレポート・⼩論⽂などについて、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物として応募・提出すること。
③詩や俳句の創作、⾳楽・美術等の表現・鑑賞など⼦供の感性や独創性を発揮させたい場⾯、初発の感想を求める場⾯などで最初から安易に使わせること。
④テーマに基づき調べる場⾯などで、教科書等の質の担保された教材を⽤いる前に安易に使わせること。
⑤教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場⾯で、教師の代わりに安易に⽣成AIから⽣徒に対し回答させること。
⑥定期考査や⼩テストなどで⼦供達に使わせること。
⑦児童⽣徒の学習評価を、教師がAIからの出⼒のみをもって行うこと。
⑧教師が専⾨性を発揮し、⼈間的な触れ合いの中で行なうべき教育指導を実施せずに、安易に⽣成AIに相談させること。

 生成AIについては、すでに大学の授業におけるレポート作成などへの大学生の利用でさまざまな問題が指摘されており、今後、その利用方法について多くの議論がされていくだろう。

 文科省でも今回のガイドラインについて、⼀律に禁⽌や義務づけを行う性質のものではないとしており、暫定的に取りまとめたものであり、⽣成AIの普及と発展を踏まえ、これからの時代に必要となる資質能⼒をどう考えるか、そのために教育のあり⽅をどのように⾒直すべきか等について、今後、中央教育審議会などでさらに検討を⾏い、機動的に改訂を行うとしている。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

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わしおこういち

最終更新:2023/07/14 13:00
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