2023年婚姻数が大減少、少子化加速にも影響か
#鷲尾香一
2023年に入り、婚姻数が前年を大きく下回っている。日本では、婚姻数の減少が出生数の減少につながるため、婚姻数の減少は将来の少子化加速の要因となりかねず、大きな懸念材料となっている。
厚生労働省が6月23日に発表した23年4月の「人口動態統計速報」によると、婚姻数は3万2095組となり、前年同月比2441組(8.2%)増加した。4月単月では増加に転じているものの、1~4月までの累計では16万6947組で前年同期を1万9795組(10.6%)も下回っている。
1~3月の婚姻数は、1月が前年同月比1万2311組(25.4%)減の3万6148組、2月も同6131組(13.3%)減の3万9924組と大きく減少したことによる。3月は同91組(0.2%)の減少にとどまったものの、1~3月の累計では前年同期を2万2236組(14.2%)も下回った。(グラフ1)
婚姻数は13年以降、18年まで6年連続で減少し、年間の婚姻数が60万組を割り込んだが、19年に令和元年を迎え、いわゆる令和婚により婚姻数が増加し、前年比1万2526組(2.1%)の増加に転じた。
しかし、20年に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、前年比7万3500組(12.3%)の大幅減少となった。21年にも影響が残り、同2万4369組(4.6%)の減少となったが、22年には新型コロナによる社会的な影響が薄れ、新型コロナ前の日常生活に戻り始めると、同3740組(0.7%)増と微増ながらも増加に転じた。
人口1000人当たりの婚姻率も、13年の5.3から18年には4.7まで低下したが、令和婚で19年には4.8に上昇した。だが、新型コロナの影響で20年には4.3、21年には4.1まで低下を続けたが、22年は4.1と下げ止まりの様相を見せている。(グラフ2)
出生数は16年には100万人、19年には90万人を割り込み、22年まで7年連続で前年比減少し、80万人割れの77万747人にまで減少した。15~49歳の女性の1人が生涯のうちに産む子供の数の平均を示す「合計特殊出生率」も、15年には1.45だったが、19年に1.4を割り込み、22年には1.3を割り込んで、1.26にまで低下している。(グラフ3)
日本では、婚姻数は2年程度あとの出生数に影響すると分析されている。
例えば、16年の婚姻数は前年比2.3%の減少で、18年の出生数は同2.9%の減少だったが、17年の婚姻数が同4.5%減少に拡大すると、19年の出生数は同5.8%の減少となった。新型コロナの影響を大きく受けた20年の婚姻数は同12.3%減少し、22年の出生数は同5.0%の減少となっている。
最新の国民生活基礎調査によると、04年に全世帯に占める子どものいる世帯の割合は27.9%だったが、21年には20.7%にまで減少している。今や、10世帯に2世帯にしか、子どもはいなくなっている。
全世帯に占める子どもの数も、04年に1人が11.9%、2人が12.2%、3人以上が3.8%だったが、1人では13年には10.9%と11%を割り込み、21年には9.7%に低下、2人も16年には9.4%と10%を割り込み、18年には8.9%と9%を割り込み、21年には8.2%まで低下している。3人以上の世帯に至っては、04年に3.8%だったのが、21年には2.8%となった。(グラフ4)
今や、子どもが1人または2人いる世帯は100世帯に1世帯程度まで減少し、3人以上は400世帯に1世帯程度まで減少している。子どものいる世帯が増加していくことは、少子化の歯止めとなる。
婚姻数が出生数に影響することを前提とすれば、婚姻数の減少は少子化を加速させることにもなりかねない。婚姻によりあらたな世帯が生まれ、そして、子どもが生まれるような少子化対策を進めていく必要がある。
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