病に負けず「これがプロ」を見せつける宮川大助・花子師匠の漫才の凄さ
#馬鹿よ貴方は 新道竜巳
宮川大助・花子師匠はネタのスピード感が心地良い一流夫婦漫才師だ。夫婦漫才師といえばこのお2人のスタイルをベースにやられる方も多いと思う。男性側がおどおどし、甲斐性なしと呼ばれる反面、嫁はしっかりとした滑舌と言語化能力の高さで旦那を圧倒するという形の漫才は、従来の夫婦の関係性でもあり、昔ならではの夫婦漫才のスタイルでもある。
そのネタの形式に今までではあまりないスピード感と大柄な男に小柄な可愛らしいルックスでズバズバと言い放つ姿が、より進化を遂げたのかもしれません。フジテレビ放送「爆笑ヒットパレード」で宮川大助・花子師匠が登場すると正月を感じ、漫才の完成度の高さに脱帽する。どこまでが台本でどこまでがアドリブなのか、本当に分からない漫才師です。
先日フジテレビ放送の「ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~1450日ぶりのセンターマイク~」に目が離せなかった。病が見つかったのは、2018年3月マラソンイベントの真っただ中で花子師匠の症候性多発性骨髄腫が判明し、余命半年と告げられる。娘のさゆみさんに介護をしてもらい、移動は車椅子になる。大助師匠の期待は復帰して漫才をすること、しかし花子師匠は「復帰という考えは頭にないんですよ」と思いを吐露する。それでも大助師匠はあきらめず毎日病院に通い元気づける。漫才の結束力がここでも垣間見られた。
そんな中2023年4月10日に特別興行『宮川大助・花子の「おまたせ!」』を5月1日に開催決定する記者会見を吉本興業で行った。場所はなんばグランド花月の地下にあるYES THEATER。やりたいと言ったのは花子師匠だったという。「今年の目標は復活の年にしたんです」と記者会見で目標を掲げる頼もしい花子師匠。
「どんなことがあろうが2人でツーショットでみんなの前に出たいと言うのが、わがままでした」
「嫁がやる気になってくれたらちょうどええな」と大助師匠も喜んで会見に臨む。興行の告知も兼ねての前向きな会見だったのですが「生きるってしんどい」と言うシーンもあった。どうしても言わずにはいられなかったのかもしれない。でも言う事で少しでも気が楽になるのならそれでもいいと思う。花子師匠はいつも正直な言葉を言ってくれる。そんな気持ちを聞けてファンとしても嬉しい。
お2人は出会って9ヶ月というスピード婚だったそうだ。結婚は大助師匠が26歳、花子師匠が21歳という若さだった。結婚後うまくいかず花子師匠は警察官に就職、大助師匠は警備員へと転職をしながらの活動だった。また芸人としては別々で活動をされていた。ただ子供を養うための苦渋の決断で、そこで初めて夫婦漫才を始められたそうだ。
5月1日公演は車椅子の花子師匠の隣に大助師匠が椅子に座っての漫才。身体は弱っても喋り出したらいつもの宮川大助・花子師匠のままだった。これがプロだというのを見せつけられ袖で心配そうに弟子が見守っていたが嬉しそうな顔が印象に残った。5月9日になんばグランド花月で復帰公演を行いました。そこでも持ち時間の10分ネタをきっちり行い、舞台後すぐに反省会を行い、これからの活躍も期待できそうだ。時折見せる花子師匠の弱気な面も含めて魅力的な夫婦漫才師、宮川大助・花子師匠をこれからも見続けていきたい。
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