『だが、情熱はある』最終回に見えた地上波ドラマの“限界”
#ドラマ #だが情熱はある
King & Princeの高橋海人がオードリー若林正恭役、SixTONESの森本慎太郎が南海キャンディーズ山里亮太を演じた日本テレビ系ドラマ『だが、情熱はある』の最終回が、6月25日に放送された。ドラマの中に『だが、情熱はある』に関する話題が登場するなどの“メタ展開”に注目が集まっている。
若林と山里の“これまで”を、現実に沿う形で描いた同ドラマ。最終回には、2人の物語が『だが、情熱はある』としてドラマ化されるという展開で、高橋と森本が演じる若林と山里が、2人を演じる俳優として登場した高橋と森本と対面するシーンもあった。
「実際にあった出来事をそのまま描いていくドラマなので、そのなかで“ドラマ化”が描かれるのも自然ではありますが、普通のドラマではあまりやらない展開。かなり挑戦的な脚本だったといえます」(制作会社スタッフ)
さらに、直近の若林や山里の仕事の動向やラジオでのトークなども盛り込まれており、まさに現在進行形の演出が多かった。
「作品としての体裁をうまく整えるなら、こういった手法は少々邪道なのではないかという声もあります。裏を返せば、上手に物語をまとめることができなかったから、こういったギミックに走ったのではないかという意見も」(同)
若林と山里を再現する高橋と森本や、しずちゃん役の富田望生の演技は高く評価されていたものの、「若林と山里のファンでないとストーリーにあまり興味が湧かない」などの微妙な評価も多かった。チャレンジングな内容だった一方で、全体的な詰めの甘さへの指摘もあったようだ。あるドラマ関係者はこう話す。
「事実に則した物語であるはずなので、実在する人物がたくさん出てくるわけですが、そのなかでも実名を出している人と、そうではない人がいるんです。
たとえば若林と山里に影響されたCreepy Nutsは、kreePeanutsとして登場していますが、楽曲を披露するシーンもあるのだから実名を出しても良かったはず。あと、オードリーのブレーン的存在である、どきどきキャンプの佐藤満春さんは、わくわくテントの鈴木足秋として登場。彼もまた実名でない理由がよくわかりません。一方で、山里さんと結婚した蒼井優さんは、新聞記事という形ではあるものの、本人の名前も写真も登場しています。実名であるか否かの境界線がよくわからず、困惑する視聴者も少なくなかったと思います」
そのほか、若林の結婚についてはほとんど触れられていないなど、明らかに重要そうな部分が描かれていないという点も指摘されている。
「若林さんや山里さんの意向もあるでしょうし、全部が描かれないのは仕方ないことですが、どこか不完全な印象が拭えない。にも関わらず、最終回だけ妙に現実とクロスオーバーしていて、そこも違和感になっていた。そのあたりのバランスが取れていないというのは事実だったと思います。
ただ、これがもしNetflixなどのネット配信ドラマだったら、こうはならなかったのではないかとも言われています。制作期間も長いし、制作費も潤沢なので、しっかり準備してディテールにこだわったものになっていたはず。作り込みが不十分だったのは、ある意味、地上波ドラマの運命、というか限界ということなのかもしれません」(同)
制作費で勝るネット配信ドラマと戦わなければならない地上波ドラマ。その厳しい現実が垣間見えたドラマだったと言えそうだ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事