ニューヨークのYouTubeはもはやドキュメンタリー、お笑いの表現を拡大させていく
#YouTube #ニューヨーク
お笑いコンビ・ニューヨークがMCを務めたお笑いライブ『サンクチュアリ 真べぇvsケツ』が6月23日、「森ノ宮よしもと漫才劇場」(大阪)で開催された。芸人同士の本音がぶつかり合う“ドキュメンタリー”として、業界内外から注目を集めている。
昨年10月にニューヨークの公式YouTubeチャンネルで配信された、ニューヨークとニッポンの社長の30分トークをきっかけに始まった企画『サンクチュアリ 真べぇvsケツ』。トーク中、ニッポンの社長のケツが、かつて同居もしていたことがある先輩芸人のダブルアート・真べぇに対する不満を爆発させたのだ。
このケツの暴走が芸人界隈で話題になり、ニューヨークのYouTubeチャンネルでは、真べぇとゆかりのある芸人をゲストに招いて事情を聞いたほか、真べぇ本人による反論動画も公開。最終的にライブという形で、真べぇとケツによる直接対決が実現したのだ。
「ダブルアート真べぇとケツやそのほかの後輩との関係性は、言ってみれば大阪の若手芸人界隈のニッチなトピックであり、正直、誰もが興味を持っていることではありません。
でも、掘り下げていくと、いろいろな感情が渦巻いていて本当におもしろい。2人の普段の活動をあまり知らなくても、芸人同士の人間ドキュメンタリーとして興味深いですし、ネタやトーク、バラエティ番組と言ったものではない“お笑いの表現”の新たな可能性を感じさせていると思います」(構成作家)
ニューヨークのYouTubeチャンネルでは、不定期で芸人ドキュメンタリー企画の動画が公開されている。2020年には、吉本の養成所NSC東京17期生内で生まれた“エレパレ”と呼ばれる謎のグループの真実に迫った『ザ・エレクトリカルパレーズ』というドキュメンタリー作品が公開され、大きな話題に。現在、バラエティ番組で大ブレイク中のコットンは、この動画をきっかけに業界内での注目度が上がったとも言われている。
2021年には、吉本の若手の劇場「神保町よしもと漫才劇場」(東京)における入り組んだ芸人勢力図を紐解く「花鳥風月問題」という一連のシリーズ動画を公開。関係者総出のライブ『さようなら花鳥風月ライブ』も好評となった。
さらに、2022年には、吉本所属の若手コンビ・小虎のりょうという芸人を取りまく人間関係に迫った「シン・りょう」シリーズが公開、こちらも『シン・りょう24それぞれの逆襲』というライブが開催されている。
「ニューヨークのYouTubeチャンネルで扱うドキュメンタリーの題材は、地上波の番組で活躍する芸人たちの話ではなく、劇場でもがいている若手芸人の話ばかり。よっぽどコアなお笑いファンでないとなかなか興味を示さない題材ですが、時間をかけてしっかり取材をしていること、これまでさまざまな経験をしているニューヨークが聞き役になっているとことで、かなり見応えのある作品に仕上がっています。
もちろん、笑いの要素が軸にあり、おもしろいうえに、感情が揺さぶられるような秀逸なドキュメンタリーにもなっている。こういったチャレンジングな取り組みは、ニューヨークのYouTubeチャンネルの大きな特徴です」(同)
このような手法の“お笑いドキュメンタリー”を発信しているのは、現時点ではニューヨークのYouTubeチャンネルくらい。だが今後、この手法が広がっていく可能性もありそうだ。
「この手のドキュメンタリーを“作品”に仕上げるには、相当な時間がかかります。でも、もし誰もが知っているような人気芸人の人間関係についてのドキュメンタリーを制作できたら、地上波などで放送されて話題になっていく可能性も高い。言葉は悪いですけど、“ニューヨークのYouTubeをパクりたい”と思っている地上波の番組スタッフも少なくないのでは(笑)。
ただ、ニューヨークのYouTubeの場合、構成作家である奥田泰さんの手腕があるからこそ実現できているという事情もあります。そういう意味では、地上波の番組が監督として奥田さんをスカウトして、何かしらのドキュメンタリーを作るという展開が現実的なのかもしれませんね」(制作会社スタッフ)
お笑いの可能性を広げているニューヨークのYouTubeチャンネル。今後の展開からも、目が離せそうにない。
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