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3時のヒロインゆめっち復帰、芸人にとって「ブランク」が厄介な理由

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3時のヒロイン・ゆめっち

 ここ最近ゴシップ的なニュースやトピックが多めのエンタメ業界だが、今月15日、ファンにとっては嬉しいニュースが飛び込んできた。お笑いトリオ「3時のヒロイン」のゆめっちさんが、グループの公式YouTubeチャンネルに出演し、活動の再開を発表した。ゆめっちさんは昨年4月ごろ体調不良を訴え活動を控え、そして翌5月に同じ理由で「一定期間の休養に入る」と所属事務所が発表した。

 復帰を発表した「ご報告です。」と題された動画では「は~い、3時のヒロインよ~」というお決まりの挨拶からスタートし、福田さんはこの挨拶が久々すぎて恥ずかしかったとツッコミを入れ、それに対し復帰したゆめっちさんは「私はすごく嬉しい」と笑顔を見せた。そして「ごめんなさい、本当に心配をおかけしまして申し訳ございませんでした。ゆめっち元気です!」と申し訳なさと嬉しさが入り混じった表情を浮かべていた。

 ゆめっちさんが休養を発表した際、ネット上では数々の憶測が飛び交った。例えば「多忙&不摂生による体調不良」や「精神的に病んでしまった」、ほかには「美容整形後のダウンタイム」や「3人が険悪になってしまった」など。それこそあることないこと囁かれてしまったのだが、実際のところは昨年の1月頃に、下腹部に激痛を感じ、1週間ほど休養して一時は回復したのだが、2月にまた腹部の痛みや発熱してしまったのだ。

 病院で見てもらった結果「肺に水が溜まっている」との診断を受け、原因が不明だったため、自然と水が抜けるのを待つことにしたそうだ。ゆめっちさん的には1ヶ月ほどの休養ですぐに復帰するつもりでいたそうだが、自宅で休養していた間に気分が落ちてしんどくなってしまい「仕事が出来ない」という状態になり、結果的に長期休暇ということを余儀なくされたのだ。

 ネットで噂されていた原因はどれも当てはまっておらず、まさに中傷が独り歩きしてしまったというところだろう。福田さんは「ネットや芸能界とかで、いろいろな憶測や噂があって、めっちゃもどかしかったけど、黙って耐え忍ぶしかないという感じだった」と言っており、ゆめっちさんを支える身として、休養に入る原因自体が炎上したり、叩かれたりするような事ではないが、先が見えない状況に置かれていることを鑑みて、言うべきではないという判断をしたが、結果的に根拠のない中傷の渦中にいてとても辛い精神状態だったのだと推測できる。

 「休養」や「解散」は今のゴシップ社会において最高の“餌”であり、誹謗中傷や間違った正義感を振りかざす絶好の場所になってしまう。それを肝に銘じなければいけないと再確認した。

 今後の活動について「まずは3人で出来る仕事から始めて行こうと思いますので、YouTubeを更新していきます。劇場やテレビに関しては、ちょっとずつ再開していこうと思います」と報告。確かにすぐにどんな仕事でもこなすというのは無理な話だ。それはゆめっちさんの精神状態が完全に復活していないというのが第一の要因だろう。

 ぼくも過去に経験があるが、自分では平気だと思っていても突然気持ちがローに入ってしまったり、さっきまでやる気があったのに、突然何もやれない状態になってしまったり。「頑張りたいけど頑張れない」という状態で、決してやる気が無いわけではないのだ。しかもいつそれが起こるかわからない。なのでテレビ収録や劇場の出番を入れてしまうと大勢に迷惑をかけてしまう可能性が高い。それを考慮して「ちょっとずつ再開」という形をとるのだろう。

 そしてもうひとつ「ちょっとずつ再開」する理由として考えられるのは「ブランク」だ。ゆめっちさんは1年以上芸能活動を休んでいたことになり、ブランクがあると言える。たった1年と思う人もいるかもしれないが、芸能界の1年は相当なものだ。しかもゆめっちさんくらい第一線で活躍していた芸人となると、スタッフから期待されていること、視聴者が望んでいることは相当高い次元の要求であり、現役当時でも簡単にこなせることではなかったと思う。

 それが1年も休んでいる状態だとその要求に答えるのは至難の業だ。ボケの引き出しやパターンは頭で覚えているかもしれないが、それを最高の状態で供給するタイミングや、空気感を読む間などの“感覚的”な部分は間違いなく衰えているだろう。これはゆめっちさんに限らず、ブランクがあって復活した芸能人全般に言えることだ。ましてやテレビにはテレビならではの独特な法則や手法があり、今YouTubeなどで活躍している芸人だとしても、テレビに出演した際に「ん?なんか違う?」と感じる事がある。テレビで活躍するにはテレビでしか得られないものを体得するしかないのだ。

 この「ブランク」がやっかいなのは、本人的に出来ていると思っても、客観視したときにズレが生じている場合がある。しかも芸人の場合、“笑い”という形ですぐに評価されるため、否が応でもそのズレを思い知らされるのだ。

 なので編集も出来て、勝手知ったる自分たちの公式YouTubeチャンネルから復活するというのはリハビリの意味も込めてかなり妥当な復活場所だと言えるだろう。

 またゆめっちさんが第一線で活躍することを願うと共に、無理をしないでほしいとも願っている。辛い思いをすることを知りながら復帰するという道を選んだゆめっちさんは、本当に芸人というお仕事が好きなのだろう。待つ仲間がいてスタッフがいてファンがいる。とても羨ましい限りだ。

 そういえば僕が若手芸人をしていた頃、あまりにも仕事が無かった為、夏休みという形をとり数週間休みにしたことがあった。その間、相方が沖縄に帰郷したのだが、休み終わりで東京に戻ってきた与座は沖縄弁がきつくなっており、それまで喋れていた標準語がまったく話せない状態で帰ってきた。元に戻るまでにかなりの時間を要したのを今でも覚えている。そんな記憶が蘇るとても平和で嬉しいニュースだ。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/06/25 08:00
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