大学生の就職先、公務員離れが加速 東大が200人を下回る…
#鷲尾香一
大学生の就職先として公務員離れが深刻化している。人事院は6月8日、23年度国家公務員採用総合職試験の合格者を発表した。申込者数は前年度比958人(6.2%)減少し、東京大学出身の合格者が初めて200人を割り込んだ。国家公務員総合職は、いわゆるキャリア官僚で官庁の中核を担う人材だ。
https://www.jinji.go.jp/kisya/2306/2023sougousaigou.html
23年度の試験申込者数は1万4372人、合格者数は2027人だった。16年度には申込者数は2万1883人だったが、18年度には2万人を割り込み、その後、22年度を除き、申込者数は前年比で減少が続いている。(グラフ1)
合格者数の内訳では、大学院卒業者の申込者は1486人、合格者数は667人、大学卒業者の申込者数1万2886人、合格者数 は1360人だった。
一定数の新入職員を確保する必要があるため、合格者数は減少していない。このため、合格倍率が年々低下している。優秀な人材が公務員離れを起こしていることで、「国家公務員、特にキャリア官僚の質が低下している」との指摘も聞かれる。
大学生の公務員離れが続く中で、女性の合格者数の増加が続いている。申込者数は5917人と前年度比23年度399人(6.3%)減少したものの、合格者数は同110人(19.2%)増加し683人と過去最高を更新した。
女性申込者は15年度には全体の32.9%だったが、21年度には40.3%と40%台に上昇した。合格者に占める女性の割合も、15年度には22.9%だったが、21年度には30.6%と30%台に上昇、合格者数の割合は3年連続で3割を超えた。女性の合格者は大学院卒者が234人、大学卒業者が449人だった。(グラフ2)
合格者の出身学校別では、国立大学が1292人(63.7%)、公立大学86人(4.2%)、私立大学634人(31.3%)、その他外国の大学等15人(0.7%)となっている。また、合格者の出身学校数は、全体で170校(22年度159校)だった。
出身学校別で顕著な傾向が見られるのが、国立大学出身の合格者に占める割合の低下だ。国立大学出身者の合格者数は横ばいにあるが、合格者に占める割合は16年度には72.4%だったが、23年度には63.7%にまで低下している。(グラフ3)
中でも、キャリア官僚の代名詞とも言える東京大学出身の合格者が初めて200人を割り込み、193人となった。言うまでもないが、これは東京大学出身者の合格率が下がったためではなく、公務員離れで申込者が減少したためだ。
合格者の出身校別では、1位の東京大学、2位の京都大学、3位の北海道大学、4位の早稲田大学までは22年度の順位から変動はない。合格者数は、京都大学118人、北海道大学97人、早稲田大学96人となっている。
上位10位以内では、5位の立命館大学は22年度の7位から、7位の中央大学は同9位から、9位の九州大学は同13位からランクアップした。一方で、22年度に5位だった東北大学は6位、6位だった慶應義塾大学は9位にランクダウンした。
上位20位以内では、大阪公立大学が22年度の25位から18位に躍進、17位の東京理科大学も同21位から17位にランクインした。筑波大学も同19位から16位に順位を上げた。
一方で、千葉大学が22年度の10位から14位、大阪大学が同11位から13位、名古屋大学が同12位から19位、東京工業大学が同13位から15位に順位を下げた。(表)
合格者は、これから各省庁で面接を受け、採用が決定することになる。
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