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『だが、情熱はある』オードリーのマネージャーが描かれない事情

『だが、情熱はある』オードリーのマネージャーが描かれない事情の画像1
日本テレビ『だが、情熱はある』公式サイトより

 King & Princeの高橋海人とSixTONESの森本慎太郎が主演を務める、日本テレビ系ドラマ『だが、情熱はある』。高橋演じるオードリー若林正恭と森本演じる南海キャンディーズ山里亮太の芸人としての苦悩を現実に基づいて描く作品だが、そこには大きな違和感がある。それは、オードリーのマネージャーがほとんど登場しないということだ。

 南海キャンディーズについては、マネージャー役として坂井真紀演じる高山三希というキャラクターが登場している。このモデルとなるのは、実際に南海キャンディーズのマネージャーと務めた片山勝三氏だ。片山氏は現在、株式会社SLUSH-PILE.の社長として、お笑いライブの企画・製作などを手掛けている。

 そのほかにも『だが、情熱はある』の中では、南海キャンディーズが所属する吉本興業内の様子が描かれるシーンが多いが、一方のオードリーについては、所属するケイダッシュステージに関する描写は極めて少ない。

 チャンス大城が演じるケイダッシュステージの社長が、当時「ナイスミドル」というコンビ名で活動していた若林と春日に改名を提案し、「うにいくら」と「オードリー」のどちらかから選ばせるというシーンがあったくらいで、オードリーのマネージャーもほとんど登場しないのだ。

 タレントにとってマネージャーは、もっとも身近でなくてはならない存在。にも関わらず、どうして若林のマネージャーはドラマ内で描かれないのだろうか。ある芸能事務所関係者はこう話す。

「当時のオードリーのマネージャーさんは、とにかく所属芸人と折り合いが悪かったんですよね。もしもドラマでそのマネージャーのことを詳しく描いたら、かなりイヤな役になってしまう。実在する人物をそういう形で描くのはちょっと難しいと思います。

 ドラマ内では、亡くなった前田健をモデルとする谷勝太や、どきどきキャンプの佐藤満春さんをモデルとした鈴木足秋というキャラが登場していて、彼らが若林さんのメンター的な役割を担っています。そういう意味でも、わざわざ折り合いの悪かったマネージャーを出す必要もないということなんでしょう」

 ケイダッシュステージには、原口あきまさ、はなわ、ハマカーン、トム・ブラウンなどが所属。設立は1995年だ。

「老舗の田辺エージェンシーから暖簾分けする形でケイダッシュが誕生したのが1993年。そのケイダッシュの芸人・タレント部門として設立されたのがケイダッシュステージです。それなりに歴史がある事務所ではありますが、ゴールデンタイムでMCができるほどに売れた芸人はオードリーが初めて。

 所属芸人の数もそれなりにいますし、ネタ番組などで人気となる芸人も多いんですが、必ずしも芸人のプロデュースに長けた事務所ではない。吉本の場合、担当したマネージャーがそれこそ“プロデューサー”のような形になって芸人を売り出していくこともありますが、当時のオードリーはそうではなかった。単純に、オードリーとマネージャーが接する機会も、南海キャンディーズに比べると少なかったんだと思います」(同)

 また、吉本とケイダッシュとの社風の違いも影響しているようだ。

「吉本は、基本的に社員もイジってOKな社風ですからね。ドラマの中でも山里さんをいびる大阪吉本の社員が登場するくらいですし。でも、ケイダッシュステージはそういうタイプの事務所ではなく、社員をイジるというのは考えにくい。そういった事情もあるでしょうね」(同)

 ドラマでは描かれていない若林のマネージャーに対する本音は、いったいどんなものなのか──。そこが気になって仕方ない視聴者も少なくないはずだ。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/06/22 09:00
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