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インフォーマは眠らない…『インフォーマ』Blu-ray&DVD BOX発売決定

『インフォーマ』より ©カンテレ

地上波でのドラマの放送が終了しても話題は尽きないドラマ『インフォーマ』。Netflixでの全世界配信、小学館からのコミカライズ、そして、サイゾー文芸部から出版された原作小説も変わらず好評を得ているが、そんな同作に関する最新トピックが、Blu-ray&DVD BOXの発売が8月25日に決まったことである。これは一つの区切りになるような出来事ではあるが、『インフォーマ』原作者、沖田臥竜氏にとっては、新たなスタートに過ぎないようだ――。

ムーブメントを起こしたければ…そこに必要なものとは?

 先日、都内でドラマ『インフォーマ』を制作・放映してくれた関西テレビ主催の慰労会があった。本当にカンテレの人たちは、よくしてくださった。その時、口にはしなかったが、最近の人事で、担当者が昇格されたことも私は知っていた。なぜだかわかるだろうか。私がそう「インフォーマ」だからである…。

 これで一区切りついたのかと思うと、企画の立ち上げから2年半のことが走馬灯のように脳裏に蘇った。ドラマ『ムショぼけ』の打ち合わせを都内で行っていた一昨年の1月。そのときには、すでに『インフォーマ』の企画の立ち上げが始まっていた。藤井道人監督と、たった2人でのことである。

 スタートはいつも2人だった。立場を超えてスタートした企画は、当初、映画化を進めようとしていた。その間に、流れてしまった映画企画もあったが、『ムショぼけ』の打ち合わせをやりながら、流れた映画化と『インフォーマ』を考えていたのだ。

 そこから怒涛のように各所を走り回って、『インフォーマ』は実現し、放送、配信に先立ち、原作小説も出版されて、お待たせして申し訳ない限りだが、まもなくマンガ化も小学館で始まろうとしている。

 その日々が走馬灯のように甦ってきたのだ。感無量ではないか。ただ、ここで終わりかと言えばそうではない。終わりはいつも始まりでしかないのだ。『ムショぼけ』だって、このままでは終わらない。というと、尼崎市民に「もしかして『ムショぼけ2』が始まるの⁈」と勘違いされるかもしれないが、それは誤解である。もう少し先にはなると思うが、メディアミックスを仕掛けるための準備を進めていたりする。

 ドラマや映画の企画が流れてしまうことは、特段珍しいことではないように、小説の映像化が流れることも珍しいことではない。ただ、実現するかしないかの違いは、私なりの表現で言葉にすれば、「強さ」である。どんなことをしてでも映像化させるのだという情熱の強さが、さまざまな困難を乗り越えるのだ。

 2021年、ドラマ『ムショぼけ』を撮影していた際、コロナの猛威を受けて途中で中止になった作品だってあった。人はそれを運の良し悪しだけで考えるかもしれない。だが、私は、作品を産み出そうとする「強さ」で考えるのだ。もうここで人生が終わったとしても構わないという強い気持ちが奇跡を生み出すのである。

 考えてみろ。奇跡だらけの人生ではないか。ただ一つだけはっきり言えることは、待っていては何も起こらないということだ。

 ムーブメントを起こしたければ、自らが誰よりも情熱を燃やして、汗をかいてみせないといけない。『インフォーマ』だって、諦めるのは簡単だった。

 だが、せっかく声をかけてもらったのだ。私はずっと「オレが実現させんでどうするんじゃ!」と走り回った。映像化が決まってからは、そのバトンをテレビ局や制作陣、俳優部の方々などに受けとってもらい、ここまで愛される作品になったのだ。

 慰労会にて「沖田さん。カンテレでやって良かったですか?」とカンテレの方々に尋ねられたとき、込み上げるものがあった。それほど、カンテレの方々はインフォーマを大事にしてくれたのだ。8月25日に発売される『インフォーマ』Blu-ray&DVD BOXについても、私は2つのお願いをさせてもらい、それも聞き入れてもらっている。

 私はいつだって特別なことをしているわけではない。ただ、既成概念に囚われてすぐに諦めるようなことはしない。

 『インフォーマ』のドラマ化企画については、最初、ドラマを担当するカンテレの制作部に持っていったのではなく、取材で仲良くなったカンテレの報道局の人のもとに持っていき、そこからお願いしてもらったのだ。カンテレの本社に1人で車を運転し、監督に作成してもらった企画書を持って行き、熱弁してきたのだ。私には「部署が違うから無駄だ」という誰しもが簡単に口に出す既成概念など関係ない。仮にそこで断られたって、ドラマ化を断念するような考えなんてなかった。

 そんな忙(せわ)しなかった日々が過ぎ去り、今の私に一抹の寂しさをもたらすのである。

 インフォーマは決して眠らない。あのときの情熱を、自分自身で超えたいと思っている。

(文=沖田臥竜/作家)


『インフォーマ』
Blu-ray&DVD BOXは8月25日発売
amazonなどでの予約受付中

 
桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を森田剛が演じる。


小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!

 

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/06/22 11:10
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