トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 「旅サラダボーイ」にテレビマンの声

「旅サラダボーイ」登場、時代の流れとテレビマンの声

「旅サラダボーイ」登場の時代の流れとテレビマンの声の画像1
 神田正輝が司会を務める『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)は、今年で放送30周年という長寿番組。出演者が日本や世界を駆け巡り、その土地の観光名所や飲食店、アクティビティなどを紹介する旅番組だが、6月17日の放送で、テレビ界の常識に一石を投じる変化があった。

 これまで同番組の海外リポーターは「旅サラダガールズ」と呼ばれ、女性がリポートを担当してきたが、このたび男性リポーターが登場。性別の垣根がなくなったのだ。

「女性タレントが海外を訪れ、1カ月にわたって1つの国をじっくり紹介する『海外マンスリー』は番組の目玉。2011年以降は、1年ごとに選ばれる『旅サラダガールズ』が月替りで登場し、スタジオでは神田との軽妙なやりとりも繰り広げられ、番組を盛り上げてきました。

 コロナ禍では海外ロケがストップし、旅サラダガールズの出番もなくなりましたが、今年4月に3年ぶりに復活。そして先日の放送で初めて男性リポーターが登場し、『旅サラダボーイズ』として紹介されました」(テレビ情報誌記者)

 旅サラダボーイズの第1号は、身長195cmで元サンフレッチェ広島ユースという肩書を持つ澤井一希。今年の春にパリコレデビューを果たした澤井はバリ島を訪れ、元気ハツラツと現地の魅力をリポートしたが、男性リポーターが起用されたのが時代の流れを受けたものであることは容易に想像できる。

「ここ数年、世の中の動きに合わせ、テレビ界も急ピッチで多様性への対応が求められています。『おかま』などの単語を使うのは論外ですし、“男性らしさ”や“女性らしさ”を押し付けるような論調のトークもNG。男性がメインで女性がアシスタント、というよく見る構図も批判の対象になりますし、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)のように、女性がただ座っているだけというのもマズい。まぁ、これまでが無神経過ぎただけなんですが。

 現場は相当ピリピリしていて、出演者やコメンテーターの男女比が偏っていないか、女性が座る位置が男性より下になっていないか、そもそもその場面で女性を起用する理由があるかなど、あらゆることがチェックポイントになっている。くだらないと思っても、スポンサーに電凸でもされたら面倒ですから、配慮せざるを得ないのが現状です」(キー局関係者)

 しかし、現場の人間にとって歯がゆいのは、それが視聴率に結びつくわけではないことだ。

「『旅サラダ』としては今回の変更は視聴率的にはマイナスでしょう。旅の行き先にもよりますが、常夏の国などを訪れた場合、旅サラダガールズが水着になるのが恒例で、それを楽しみにしている視聴者は多かったはずですから。

 同番組には、局アナが日本各地を訪ね、街の人々においしいものを尋ねて回る『コレうまの旅!』というコーナーがありますが、ヒロド歩美の後任に男性アナが起用されると、あっという間に交代し、すぐに女性に戻りました。要するに、女性を起用した方が数字は取れるんですよね。

 我々は世の流れに従うだけですが、視聴率が0.1ポイント下がるだけでも現場の人間にとっては死活問題です。多様性への配慮は必要ですが、“本当に視聴者がそれを求めているのか”という議論も必要ではないでしょうか」(民放バラエティ番組制作関係者)

 近い将来、「昔は水着の女性がテレビに出てたんだって!」という日がやって来るのかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/06/21 09:00
ページ上部へ戻る

配給映画