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藤井聡太の全冠制覇を前に…意外と“穴場”なタレント「将棋キャラ枠」最前線

藤井聡太の全冠制覇を前に…意外と穴場なタレント「将棋キャラ枠」最前線の画像1
藤井聡太(Getty Images)

 将棋界のみならず日本中が注目する天才棋士・藤井聡太が6月1日、名人戦に勝利して7冠を達成。前人未到の全8冠制覇が現実味を帯びてきた。

藤井は現在、残り1つのタイトル「王座戦」のトーナメントも勝ち上がっており、最短なら8冠達成は今秋。これが実現すれば、羽生善治の7冠制覇(当時のタイトルは7つ)以来の将棋フィーバー到来が予想されるーーが、広く将棋界に目を向ければ、安泰という状況からは程遠い。

「将棋界は1990年代に羽生善治というスーパースターが登場し、NHKの朝ドラでも将棋がテーマの物語が放送されるなど、一大ブームとなりましたが、長くは続かなかった。10年代に入ると、トップ棋士がコンピュータに敗れたり、スマホによるカンニング騒動があったりと、明るい話題がありませんでしたが、そこに現れた救世主が藤井聡太です。

 史上最年少でプロ棋士となり、異常なペースで勝ち続ける中でブームはどんどん過熱。勝ち負けのみならず、タイトル戦で食べた昼食のメニューやおやつが話題になったり、豊富な語彙から生まれる発言が注目されたりと、まさに一挙手一投足がニュースになる状態。……ですが、将棋人口は減る一方です。

 藤井のおかげで将棋のニュースが報じられる機会は増えましたが、国民の大多数は藤井と羽生善治以外、誰ひとり現役のプロ棋士の名前を知らないはず。その状況を打破しないと、長続きしなかった羽生フィーバーのときの二の舞いになるでしょう」(エンタメ誌記者)

 スポーツとは違って、将棋のトッププロの対局は、素人にその凄みが伝わりにくいという弱みもある。それを噛み砕いて伝えられる人間がいるかどうかが将棋普及のポイントだが、その“伝道師”がなかなか見当たらない。

「何かがブームになるきっかけとして、やはりテレビの影響は大きい。例えば、夏の甲子園があれだけ盛り上がるようになった一因は、アンタッチャブル山崎、トータルテンボス藤田、アンジャッシュ渡部など、高校野球を異常に愛する芸人たちが、熱を込めてバラエティ番組でその魅力を語ったこともその一因でしょう。しかし将棋には、なかなかそういった人材が見当たりません。

 現在、将棋関係の仕事で声がかかる芸能人は、Eテレの将棋番組をやっているサバンナ高橋、かつて同番組に出演していたつるの剛士と元・乃木坂46の伊藤かりんあたり。あとは、サブングル加藤と高梨臨くらいでしょうか。

 渡辺徹さんは大の将棋好きで、将棋番組やイベントによく出ていましたが、亡くられてしまいましたし、東出昌大も将棋好きで有名でしたが、スキャンダルで消えてしまった。もしかしたら今、将棋関係の仕事が最も多いのは、お天気キャスターの森田正光さんかもしれません。森田さんはアマ3段の実力の持ち主で、TBSの番組ではお天気コーナーに出演した後に藤井関連のニュースでもコメントで登場したりしています」(テレビ関係者)

 藤井特需の恩恵に預かっているのは、ごく一部の芸能人だけのよう。今後、将棋を武器にする芸能人は現れないのか?

「将棋キャラでやっていくためには段位はほしいですが、初段なら真剣にやれば3カ月で取れます。将棋関連の仕事は、メディアで大きく取り上げられることは少ないですが、政財界には将棋ファンが多いので、対談がきっかけで思わぬ大物とコネクションができたり、イベントに呼ばれたりと、何かと“旨味”は大きいので、実は狙い目です。

 圧倒的にチャンスなのは、元女流棋士という経歴を持つフジテレビの竹俣紅アナ。彼女ならプロ棋士が指す手の意図を理解できますし、それをアナウンサーとして培った表現力で伝えられる。そもそもプロ棋士とはのきなみ旧知の間柄ですし、本気で参入したら、将棋関連の仕事は彼女が総取りでしょうね」(前出・エンタメ誌記者)

 まずは藤井が8冠を取るのが前提だが、ブームに乗っかれる人物は現れるか?

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/06/07 14:44
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