異世界×グルメの金字塔的マンガ『異世界居酒屋のぶ』は胃袋直撃系人情マンガ
#マンガ #吉松ゴリラ
人生のほとんどをお笑いとマンガにつぎ込んできた男が、今注目すべき異世界マンガ作品をピックアップしてご紹介。 あくまでこれは、吉松ゴリラの超個人的主観である――。
「異世界居酒屋のぶ」!
和やかな雰囲気に、ほっこりご飯。「居酒屋とはかくあるべし」と断じられるほど、居酒屋の「料理」「店員」「客」の魅力が最大限に表現されている「異世界居酒屋のぶ」。「異世界」×「グルメ」の金字塔的マンガである本作品は、胃袋直撃系人情マンガとも題すべき至極の一品。今回はその魅力を、3つピックアップしてご紹介する。
ちなみにこちらのマンガは圧倒的な人気により、アニメ化・TVドラマ化も果たしている。是非そちらも併せて、お楽しみ頂きたい。
「異世界居酒屋のぶ」のストーリー!
舞台は中世ヨーロッパの雰囲気を宿す異世界の一角。そんな帝国の古都の裏路地に、明かりを灯しているのが「居酒屋のぶ」と看板を出した一軒の店。いつの間にか出来ていたその店は衛兵の間で噂になり、古都で評判の店になっていく。
「居酒屋のぶ」で出される料理の品々は、彼の地の食文化には存在しない、至極の料理に酒ばかり。不思議な調理法、見たこともない食材により生まれる料理は、異世界人の胃と興味を刺激する。食を通じて住民たちとの交流が始まり、和やかな居場所を提供する「居酒屋のぶ」は人々にとって大切な場所になっていく――。
【魅力その1】胃袋直撃!圧倒的な「食事チート」!
「居酒屋のぶ」の魅力は、「食事チート」とも言うべき「食」そのものに他ならない。「トリアエズナマ」「オトーシ」「カラアゲ」など、世界に誇る日本の食文化が異世界人の胃を蹂躙する様は見ていて爽快。そう、氷が張り付くジョッキに入ったエールビールは、世界線を超えて全ての人類を破顔させるのだ。食欲を掻き立てる美しいタッチで描かれる食事と酒は、あなたの胃袋も直撃する事請け合いだ。
【魅力その2】「異世界」設定だからこそ!「食との出会いの喜び」!
「居酒屋のぶ」の魅力を語る上で外せないのが、「食との出会いの喜び」である。「居酒屋のぶ」では、「料理の美味さ」もさることながら、「異世界人がお気に入りの現代料理に出会う喜び」が中心に描かれている。
そしてこのマンガ内で表現されている「食との出会いの喜び」の魅力は、現代日本を舞台にした他の料理マンガでは再現不可能であり、「異世界」という設定だからこそ確立できた魅力である。
なぜなら現代日本を舞台にした場合、この「我々が知っている現代料理」と「その料理に初めて出会うシチュエーション」というのは、およそ両立が難しい。日本人の大人が「“ナポリタン”という食べ物なんて聞いた事はなく、今日この店で初めて出会った」と言っても、あまりに現実感がなさすぎる。そもそもの出会いを表現する事ができないのだ。そのため他マンガでは、このような場合は「ナポリタン」の思い出を懐古するようなストーリーが主となる。そう、「ナポリタンの味」ではなく、キャラクターの「ナポリタンに対する思い」が中心となるのだ。
しかし本作品では、その「ナポリタン」の味そのものの感想を、キャラクターがストレートに賛美する。日本人にとっては食べ慣れた料理でも、異世界人にとっては初めての味。料理自体の魅力を存分に語る彼を通じて、我々は自身が初めて「ナポリタン」に出会った幼少期の感動を思い出す。
通常の料理マンガが「美味い料理」を表現するのに対し、「居酒屋のぶ」は美味しい食に「出会う喜び」も表現されているのだ。
【魅力その3】これも外せない!食で得られる「喜びの分かち合い」!
さらに魅力を述べるとすれば、それは食を通しての「喜びの分かち合い」もに他ならない。
食には二つの喜びがある。一つは当然「食す喜び」。しかし食事が腹を満たす為だけのものであるならば、美味い料理は独り占めしてしまえば良い。しかし我々は、なぜか不思議と美味い料理ほど人に勧め、分かち合い、共有してしまう。なぜならそこに、食事を「分かち合う喜び」があるからだ。
本作品に出てくる料理は、何も特別なものではない、普段我々が食している料理ばかりである。しかしこれらの料理を作中のキャラクターが初めて食べ、その味を知り、満足げな顔をする度に、不思議と読み手の顔にも笑顔が溢れてしまう。これは自分の好きな味を知ってもらう喜びに他ならず、キャラクターを通じて改めてその料理の素晴らしさを自らも再確認しているのだ。
この美味い料理を「食す喜び」と、「食を分かち合う喜び」の二つが表現されているからこそ、本作品は他料理マンガと一線を画す魅力を有しているのである。
スローライフ系マンガの金字塔『異世界のんびり農家』の圧倒的なテンポ感
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