山口組系幹部が町田駅で白昼堂々銃殺される…その背景に何が?
#六代目山口組
それは、はじめから確実に殺すつもりだったことが、残された現場の状況からもうかがえた。まさに惨劇の跡だ。犯人は店内で発砲後、店外へ逃げた山口組系幹部を追いかけて、さらに銃弾を放った。その幹部は鮮血を流し倒れ、その後の物々しい映像は、たちまちSNSで拡散されることになったのだ。5月26日の夕刻過ぎ。帰宅時間ということもあって、行き交う人々であふれかえる東京のJR町田駅で、事件は起きたのだった。
町田駅に隣接するビルにある喫茶店。その店内で向かい合ってテーブルに着いていたと見られるのは、殺害された六代目山口組二次団体幹部の鈴木英東幹部と、元暴力団組員で現在は職業不詳の佐々木誠容疑者。2人の間には、金銭トラブルがあったのではないかと見られている。
関係者の話によれば、殺害された鈴木幹部は、大阪に本部を置く六代目山口組二次団体所属で、地元・名古屋を拠点に活動していたという。なぜ、名古屋が拠点だった鈴木幹部が、東京の町田駅で殺害されたのだろうか。
「一部では、2人の間には金銭トラブルがあり、そのため、佐々木容疑者が鈴木幹部が所属する組織からも狙われていて、殺さなければ、逆に殺される状態にあったという見方があると聞くが、それはおかしいだろう。そんな緊迫していた状態ならば、鈴木幹部が1人で佐々木容疑者と珈琲店で話し合おうとするがずはない。なんらかの理由で鈴木幹部から金銭的な借り受けがあった佐々木容疑者が、返済することを理由に鈴木幹部を呼び出したと考えるほうが、筋が通るのではないか」(業界関係者)
関係者らの話によれば、鈴木幹部と佐々木容疑者は顔見知りで、両者間で金銭トラブルが生じていたのは間違いないようだ。一部では、出資した事業に関する配当金をめぐるトラブルではないかという話も噂されている。どちらにしても、鈴木幹部が単独で店内に訪れたことからも、まさか佐々木容疑者が拳銃で発砲してくるとは思いもよらなかったのではないだろうか。
佐々木容疑者とは一体、如何なる人物であったのか。事件後、さまざまな憶測が流布されることになった。
「がんで余命を宣告されていたとか、処分された組織に復縁するために金銭トラブルをきれいにしなければならなかったとか、さまざまな説が飛び交っていました。ただ、それらが事実とは考えにくい。そもそも、こんな事件を引き起こしてしまえば、復縁するどころの騒ぎではないでしょうし、余命を宣告されているような容態なら、実際にはこんなことはしてられないはず。過去には、強盗や殺人未遂などの犯歴もあり、そうした前科からも、極端に感情的になりやすい性格だったことがうかがえるのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
それでは、山口組系幹部が殺されるというこの事件が、抗争などの引き金になる可能性はあるのだろうか。業界に詳しいある人物は、このような見解を示している。
「ヤクザは、あくまで個人事業主の集合体という考え方だ。個人個人でシノギをして、組織に会費を納めることになる。そのシノギには、覚醒剤や特殊詐欺は御法度などのさまざまな規則があるが、個人のシノギのトラブルに組織が介入することはまず考えられない。ましてや佐々木容疑者は、所属していた組織から処分されていた身だ。これが現役の組員ならば、また話は違ってくるだろうが、処分済みということは、組織と佐々木容疑者とは一切関係ないことを意味する。そうした状態で、六代目山口組系組織が何らかの報復に出ることはあり得ない」
ヤクザ社会は、暴対法や暴排条例の影響からも、当局による厳罰化が進み、経済的にも追い込まれてきた。それだけに金銭トラブルが後を絶たないのも事実。白昼堂々と現役の幹部が、処分者に発砲されて殺害された今回の事件は、帰宅ラッシュ時に起きた惨劇だけに一般市民に与えた恐怖も計り知れないものとなったのは間違いないだろう。
(文=山口組問題特別取材班)
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