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城下尊之の「フラッと芸能解説」

歌舞伎界が本人よりも気にする「猿之助」という名跡

歌舞伎界が本人よりも気にする「猿之助」という名跡の画像1
市川猿之助 公式サイトより

ベテラン芸能リポーターの城下尊之氏が、とかくあおり・あおられがちな芸能ニュースをフラットな目線で、おちついて解説!

――市川猿之助が5月18日に自宅で倒れて救急搬送され、一緒に自宅にいた両親が死亡した事件で、警視庁が猿之助に事情聴取を続けています。

城下 父の市川段四郎さんと母の死亡原因は「向精神薬中毒の疑い」と発表されましたが、関連する薬や容器などは見つかっていませんし、薬の入手経路など詳細も明らかになっていません。場合によっては、刑事事件となり、猿之助さんが自殺教唆罪や自殺幇助罪などに問われる可能性もありますね。

――それはヤバいですね。

城下 万が一、猿之助さんが逮捕や起訴されるということになれば、今後「猿之助」という名跡を継ぐ人がいなくなり、歴史ある名跡が途絶えてしまうという、最悪の可能性も考えられます。澤瀉屋(おもだかや)は「市川猿之助」と「市川段四郎」の二枚看板ですから。

 将来的には、今回の事件で演目「不死鳥よ 波濤を越えて」で、猿之助さんの代役を務めた香川照之さんの息子・市川團子さんが、名跡を継ぐのではないかと言われていましたが⋯⋯。

――團子がホープとして注目されていますね。どうなっちゃうのでしょうか。

城下 警察が対応を決める前に、松竹や事務所関係者が猿之助さんに会い、本人自ら「『市川猿之助』という名跡に大きな傷をつけてしまったので、市川猿翁さん(三代目 市川猿之助)に返上します」と言って頭を下げさせるしかない。猿之助さんに「『猿之助』は自分のものではない、歌舞伎界のものである」という意志表示をさせるのです。

――なるほど。

城下 そうすれば、「猿之助」という名跡は空いたまま残り、いずれ團子さんに継がせることができる。猿之助さんも、「私はもう『猿之助』ではないので、報道は本名でしてください」と言うことができますから、あまり突っ込んだ報道がされにくくなるでしょう。報道のたびに「元市川猿之助の~」と言われることになる。

――「猿之助」を返上してしまったあとは、どうなるのでしょう。

城下 おそらく、不起訴か起訴猶予、もしくは仮に有罪だったとしても執行猶予がつくでしょう。執行猶予であれば期間が明けたときに、松竹が「猿之助は余人をもって替えがたい」と発表して名跡を猿之助さんに戻せばいいのです。ただ、その時に記者会見を開くことは免れない。

――そこでいろいろと突っ込まれますよね。

城下 そうですね。そのときは本名でセクハラ、パワハラについてもきちんと説明することが先決となるでしょう。そして、謝罪すべきところは謝罪し、「亡くなった両親の供養のためにも歌舞伎界に貢献していきたい」と宣言すれば、再び「市川猿之助」として歌舞伎界に復帰できます。時間はかかると思いますが、「猿之助」という名跡を守るには、この方法しかないのではないでしょうか。

――これだけ世間を騒がせるたいへんなことをしてしまったのですから、時間はかかりますよね。発端となったセクハラ、パワハラ疑惑も含め、真相が気になるところです。

城下尊之(芸能リポーター)

立教大学在学時から、サンケイ新聞でアルバイトを行っていた経緯から、卒業後、サンケイスポーツへ入社。スポーツ紙文化部記者となった初日で見習い経験もないうちに、他に大きな事件があったため、「(故)林家三平さん、大病から復帰!」という大事な現場を任された。退社後は、TBS『奥様8時半です』のデスク担当として勤務し、その後、芸能リポーターに転身し、現在に至る。独自に身につけてきた取材能力、ブレーンの作り方等から、芸能界の裏話を交えた、楽しい味付けで話す。

【プロフィールページ】

しろしたたかゆき

最終更新:2023/06/01 08:00
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