「麺・イン・ブラック」カップ麺3選！ たまり醤油、黒胡椒、イカ墨、黒マー油…

　カップ麺は個性派揃いで、お店の趣向を凝らしたラーメンにも負けません。今回レビューするのは、個性を主張する真っ黒いカップ麺です。

　黒いラーメンといったら、京都の老舗ラーメン店「新福菜館」の真っ黒いスープや、真っ黒な醤油と黒胡椒を入れた「富山ブラック」を思い浮かべますが、世の中にある黒いラーメンはそれだけではありません。

　今回は、最近発売されたカップ麺のうち、さまざまな理由で黒くなったカップ麺を3品ご紹介していきます。お歯黒になりながら食べるのを想像してご覧ください。

真っ黒醤油に黒胡椒！　東洋水産「やみつき屋 セアブラック」

　まずは、東洋水産の「やみつき屋 セアブラック」245円（税別）。背脂とブラックスープをかけあわせた「セアブラック」というネーミング。仮面ライダーブラックとか戦隊モノにもブラックはいますが、基本ブラックは悪役として登場するので、「セアブラック」も商品名を見ているとだんだんショッカーとか悪魔将軍のように思えてきます。

　豚鶏ベースで醤油味の真っ黒なスープで、大量の胡椒で刺激が加えられています。「真っ黒な醤油は色だけではなく濃い醤油の風味と塩気の強さもありキレッキレ。たまり醤油や濃口醤油が好きな人にはたまらない味でしょう。

　醤油で真っ黒なのでスープの中では目立ちませんが、黒胡椒もスープの底に大量に残るレベルで入っており、醤油味にパンチを加えています。胡椒の刺激の強さによって、醤油の塩気がさらに増幅して感じられました。これはもうほぼ「富山ブラック」ですね。

　スープ表面には大量の大粒背脂が浮いており、醤油と黒胡椒の強い富山ブラック風のスープにこってり感と油の甘みを加えています。スープの角を丸くして食べやすくしていて、背脂と富山ブラックの相性の良さを感じました。このスープ表面だけ見ると、「セアブラック」というより「セアホワイト」ですね。悪の化身のはず（？）が、急に歯磨き粉とか洗濯洗剤じみてきます。

　白いのは背脂だけではなく、玉ねぎも入っています。「セアブラック」のパッケージに玉ねぎの説明はありませんが、玉ねぎ独特の風味が醤油味のスープの中でアクセントになっており、富山ブラック、背脂とともに三本柱になりそうなほど目立っていました。

　麺は、中太で緩やかに縮れのついた油揚げ麺。硬めの食感が特徴で、濃いスープとバランスを取っています。スープの味も麺の硬さもかなりのガッツリ系ですが、麺量は大盛ではないため、ガッツリ系味にはもっと大麺量が需要あるかもしれません。

マイルドコク深たまり醤油！　寿がきや食品「全国麺めぐり 滋賀湖国ブラックラーメン」

　続いては、「全国麺めぐり 滋賀湖国ブラックラーメン」242円（税別）。「湖国ブラック」は、琵琶湖が県の6分の1を占める”湖国”、滋賀県のご当地ラーメン。

　滋賀県産のたまり醤油を使用することや、背脂を入れること、滋賀県の名産でもある麩を入れることなど、「湖国ブラック」にはいくつか定義があり、定義に則したラーメンが滋賀県内の数店舗で供されています。

　このカップ麺では、「湖国ブラック」の発祥のお店である大津の「ラーメン ととち丸」、同じく大津の「ラーメン モリン」、そして彦根の「ラーメンにっこう」の3店による監修となっています。

　3店とも、お店の看板メニューは必ずしも「湖国ブラック」ではないようですが、いずれもレビューサイトなどで高評価を得ている人気店となっています。

　背脂を浮かせた真っ黒な醤油味のスープに、中太のノンフライ麺と、丸麩などの具が合わせられています。油が浮いた真っ黒なスープと丸い麩が目を引きます。

　豚鶏ベースにたまり醤油を加えた真っ黒なスープで、たまり醤油ならではのコクが感じられます。滋賀県産のたまり醤油を使用することが「湖国ブラック」の定義のひとつとなっていますが、今回使われているのが滋賀県産なのかはわかりません。

　たまり醤油は色と香りがとても強くコク深いものの、塩分はほかの醤油と同程度なので、色味のわりに塩気が刺さらないのが特徴のひとつ。今回も真っ黒でいかにも塩辛そうですが、実際のところは色の印象よりもマイルドで刺さりません。

　スープ表面には油脂や小粒の背脂が浮いています。背脂も「湖国ブラック」の定義のひとつ。油がスープの味に丸みを持たせていました。たまり醤油のコクと豚の旨みがしっかり感じ取れました。これは正義のブラックですね。ショッカーでもブラックムーンでもなさそう。

　麺は、中太で縮れのついたノンフライ麺。中太縮れ麺も「湖国ブラック」の定義のひとつとなっています。醤油味が強いスープなので、中太くらいの太さが麺とスープのバランスを取るには適切だと思われます。

　お店で供されるラーメンの中には、これ縮れ麺？　と思われるものもあるようで、「湖国ブラック」の定義の運用はほかのご当地ラーメンと比べて緩やかなようです。

　具は、玉麩、ポーク風フレーク、ネギ。滋賀の名産品である麩を使うのが「湖国ブラック」の定義のひとつとなっていますが、このタイプの玉麩を使うのは発祥のお店である「ととち丸」の特徴のようです。