15歳引きこもり少女の自由な生き方が心地良い異世界マンガ『くまクマ熊ベアー』
#マンガ #吉松ゴリラ
人生のほとんどをお笑いとマンガにつぎ込んできた男が、注目マンガ作品をピックアップしてご紹介。あくまでこれは、吉松ゴリラの超個人的主観である――。
「くまクマ熊ベアー」!
今期、アニメ第二期が絶賛放映中の「くまクマ熊ベアー」。ポップでキュートな絵柄と、全体的にのほほんとしたストーリー展開が魅力の本作品。要所要所でバトル展開もあるものの、少年マンガのような野太い筆圧で描かれるものではなく、コミカルに描かれているため、ほんわか楽しく読む事ができる。
主人公は15歳にして引きこもり生活をしている「ユナ」。彼女は両親やクラスメイトとの交流を嫌い、引きこもり生活を送るようになる。引きこもりながらも株取引で手腕を発揮、億単位の金を稼いでおり、その稼ぎで購入した高級マンションで一人暮らしをしている。そして廃人級のヘビーゲーマーでもある彼女は、いつものように「ワールドファンタジーオンライン」にログインすると、ゲームの世界そっくりの異世界に飛ばされてしまう。
そこで異世界転移時に神様から下賜された装備が、題名にもなっている「くま」装備。くまの着ぐるみのような服に、両手にはくまのパペット人形が標準装備。人前に出るには恥ずかしすぎる格好であるものの、実は攻撃力・防御力・回復力全ての性能に優れた完全チート装備。
更に神様が財産をそっくりそのまま異世界用の通貨へ両替して持ってきてくれたため、異世界でも引きこもれるレベルで異世界生活がスタートする。元から現実世界に未練がなかった彼女は、こうして異世界生活を楽しむ事になるのだ。
魅力!
「くまクマ熊ベアー」の魅力は、何にも縛られないゆったりとしたストーリー進行に他ならない。主人公には「何かをしなければならない」という使命はなく、また「海賊王におれはなる!」のように何か目的がある訳でもない。そのためストーリーを追っていくと、各章に一貫性はなく、彼女がその都度興味を持ったものが中心となってストーリーが進行する。逆に言えば、彼女に「使命」や「すべき事」を与えず自由に振るまわせるために、「何にも縛られない無敵のチート装備」と「一生引きこもれる資金」という環境が整備されているのだ。
そんな彼女が異世界で出会い、引かれたものは「孤児院の立て直し」であったり、「魔物に襲われる王都の危機を救う」事であったり「パン屋の開業」であったりする。ご覧の通り何の脈絡も繋がりもない各章であるが、これらはクールビューティーながらも少しお節介な主人公ユナの主観と視点によって決定される。
そう、彼女は興味を持ったものに対して素直に行動するし、興味を持たなければ何もする必要はないのだ。常に「何か」を背負って生きている現代社会人にとって、彼女の場当たり的に意思決定する自由な生き方は、読んでいて心地良い。またシリアス要素はほぼ無いに等しく、読んでいてストレスになる章がない、読んでいてずっと楽しいマンガである。
是非皆さん、ご一読頂きたい。
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