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芸人パペットマペットに時代が追いついた?うしくんカエルくんグッズが完売続出

芸人パペットマペットに時代が追いついた?うしくんカエルくんグッズが完売続出の画像1
パペットマペット公式ツイッター」より

 ウシのぬいぐるみとカエルのぬいぐるみが黒子に操られ、漫才やコントを披露するお笑い芸人をご存知だろうか。そう「パペットマペット」だ。

 彼は2000年代に「爆笑オンエアバトル」(NHK)や「エンタの神様」(日本テレビ)で一躍人気芸人の仲間入りを果たし、多くのネタ番組やバラエティ番組で活躍した。当時のお笑い界は青田買い的な番組が多く、次々と新しい芸人をピックアップする傾向にあり、その影響で一発屋と呼ばれる芸人が増えていた。残念ながら「パペットマペット」さんもその芸人のひとりになってしまい、今ではほとんどテレビで見ることが出来ない。

 そんな「パペットマペット」さんと初めて出会ったのは、僕がまだ芸人をしていた頃で、お互いまだライブしか仕事がないような若手時代だった。彼はその当時から「パペットマペット」として活動しており、スタイルも今と変わらずウシとカエルのぬいぐるみにネタをさせるというもので、初めてネタを見たとき、そのスタイルの斬新さは同じ芸人から見てもセンセーショナルだった。

 「パペットマペット」さんのネタは本当に優秀で、一見腹話術のように見えるが、後ろにいる黒子は顔を隠しているので、腹話術のように口を動かさない技術は必要ない。さらに2つのキャラを使い分けるとしたら普通はその声色も変えたくなるものだが、「パペットマペット」さんは全く同じ声で2つのキャラを使い、逆にそれが独特な世界観をつくり上げているのだ。

 しかもネタは少しブラックユーモアを取り入れているので、ぬいぐるみの「癒し」とネタの中にある「闇」がブレンドされており、子供から大人まで楽しめるエンターテイメントとなっている。

 さらに基本的にはピンのショートネタなのだが、ウシとカエルを使うことにより一人で漫才もコントも出来るというオールマイティなシステムなのだ。ネタのポップさからデビューしてすぐに女性客に注目され、早い段階である程度人気が出たという印象が残っている。

 「パペットマペット」として人気者になっていたのだが、その素顔を公にすることはなかったので、ライブ終わりに劇場から出る際、芸人と帰りが一緒になってもまるでスタッフやマネージャーであるかのように振る舞ったり、それこそ知り合いではないと言わんばかりにお客さんがいるところでは会話せず、身バレ対策を徹底していたので、どれだけ人気になっても、ファンに囲まれたり、街で顔をさされたりすることもなかった。

 さらに「パペットマペット」さんは本当に礼儀正しく、愛嬌があり、屈託のない笑顔で笑う好青年だったので、芸人たちの中でも評判が良く、みんなに愛されていたので、冗談でも彼の素顔を芸人仲間がバラすことはなかった。

 どれだけ人気が出ても悪い意味で天狗になることはなく、出会った頃のまま、好青年のスタンスを変えずに、人の良さ全開で活動を続けていた「パペットマペット」さんが、当時のブームに巻き込まれ、人気が一過性のものになってしまったと感じたときはとても切なくなった。しかしそんな心配は無用だった。

 なんと「パペットマペット」さんの人気は衰えていなかったのだ。彼のツイッターは25万人弱のフォロワーがおり、今活躍している芸人と比べても遜色のないファンの多さ。ツイートではネタを投稿したり、近況報告をして、毎回数千の“いいね”をコンスタントに獲得している。

 さらに2020年に開設した公式YouTubeチャンネル「パペットマペット」は登録者が10万人を超えており、人気チャンネルと言っても過言ではない。ネタ動画もさることながら、自身が飼っている猫を登場させ、うしくんとカエルくんと猫のほのぼのとしたやり取りが人気を博している。それに「ゲーム実況」にも力を入れており、うしくんもカエルくんも登場しないが、「ゲーム実況」は元々人気のコンテンツということもあり、チャンネルを支える核といえるコンテンツになっている。

 さらに先月、その人気ぶりを証明する出来事が起こった。なんと全国のアミューズメント施設のクレーンゲームで「うしくん」「カエルくん」のパペットが展開されたのだ。少しでも人気がある動画コンテンツはこのようにグッズ展開することは多々あるが、この「うしくん」「カエルくん」の人気は本物で、オンラインクレーンゲームではあっという間に売り切れ。全国のアミューズメント施設でも完売続出となったのだ。

 テレビ業界では不要になってしまった「パペットマペット」というコンテンツはネットではとても需要があり、必要とされているコンテンツなのだ。それもそのはず、ぬいぐるみや猫を使うことにより「癒し」を提供し、さらに時代に合ったコンプライアンス内で繰り広げられるエグすぎないブラックユーモア。どちらも現代人が欲しているものだ。そう考えると「パペットマペット」さんこそ今の時代にマッチしたコンテンツなのだ。

 「パペットマペット」さんは何一つスタイルを変えていない。ひたすら同じスタイルを継続し提供し続けている。それで人気が出るというのはまさに時代が彼に追いついたということだ。

 「継続は力なり」。それを体現している数少ない芸人のひとり「パペットマペット」。

 ゲーム実況から感じる彼の実直さや誠実さ、そしてピュアさは当時と何も変わっていない。人柄の良さが現れている動画を見ると今も屈託のない笑顔で笑うんだろうなぁと容易に想像できる。

 彼の人柄、生き様は心から尊敬する。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/05/21 06:00
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