『世界一受けたい授業』に岸田首相が出演 出た総理、出したテレビ局…双方の思惑
#日本テレビ #岸田文雄
まもなく地元・広島でのサミット開催という晴れ舞台を控える岸田文雄首相が、13日放送の『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)に出演。総理大臣の仕事やサミットの意義について、およそ1時間にわたって解説した。
「日本の政界では長らく、現役首相がバラエティ番組に出たことはありませんでしたが、その慣例を破ったのが安倍晋三氏。2014年に『笑っていいとも!』に出演すると、その後『ワイドナショー』やビートたけしの正月特番など、フジテレビ系の番組にいくつか出演しました。
今回の岸田氏出演については、番組がサミットを取り上げることとなり、首相官邸に打診したところOKが出たとのこと。バラエティ初出演の岸田首相でしたが、首相公邸に幽霊が出るという噂、台湾を訪問した際に食事の席でのお酌を一手に引き受けた“酒豪伝説”、マハラジャ(ディスコ)に遊びに行ったエピソードなどを交え、笑顔に溢れる放送になりました」(テレビ情報誌記者)
ニュースでは耳にする「サミット」だが、日本での開催は7年ぶり。ホスト国の首相ほど、その意義を解説するに相応しい人間はいないが、その裏側ではさまざまな思惑が交差している。
「首相の出演を取り付けたテレビ局がうれしいのは、単純に視聴率が取れること。実際、同日の放送は時間帯トップでした。首相が出演すれば、番組はもちろん、テレビ局としても格は上がりますし、首相とのパイプができることに一つも損はない。同番組には昨年、河野太郎デジタル大臣も出演しており、これで1つのラインが出来上がりました。他局にも教養バラエティ番組はいくつもありますから、日テレとしては“してやったり”という感覚でしょう。
一方、岸田首相にしてみれば、バラエティ番組に出ることで、普段はまったく政治に関心にない人たちに自分の顔や名前を売ることができますし、自分の成果も伝えられます。バラエティ番組で柔らかい表情を見せれば、好感を抱く人は多いでしょうから、支持率アップも期待できる。双方にとってメリットの大きい今回の首相出演だったでしょう」(キー局関係者)
来週スタートするサミットでは、ウクライナ情勢への対応を始め、気候変動、生成AI、新型コロナ騒動を踏まえた国際保健など、重要な議題は山積み。ただでさえ多忙を極める首相がバラエティ番組に出演した意義は大きいが、批判の声も少なくない。
「番組を見ると、岸田首相にはメリットしかない巧みな構成になっています。前半では首相の仕事の説明に時間を割き、首相の仕事がどんなに大変か、いかに多岐にわたるかについて説く。そしてサミットの話題に移り、目線を世界にまで広げたところで、『核兵器のない世界という理想を諦めてはならない』というメッセージを送る。
現実に目を向ければ、統一教会問題、防衛費増大、閣僚の相次ぐ失言など、国民が聞きたいことはいくらでもありますが、岸田首相は自分が話したいことだけ話し、用意された質問を受けるだけで、都合の悪いことには一切触れません。一般的にはこれをプロパガンダと呼びます。
放送のタイミングもポイントです。支持率低迷に悩む岸田首相は、サミットを上手に取り仕切って存在感をアピールしたところで、解散総選挙に打って出るという見方がある。その地ならしとして、まずはバラエティ番組に出て好感度アップを狙ったというのが関係者筋の見方ですが、政治的公平性には著しく疑問があります。放送法については、高市早苗総務相(当時)の発言が問題になった件も何一つ真相究明は進んでおらず、非常にデリケートな話題。政権に“忖度”した番組や放送が増えるようなら、いよいよテレビ局は報道機関としての役割を終えるということでしょう」(フリージャーナリスト)
いっそ、自民党に番組のスポンサーにでもなってもらうか。
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