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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > なぜ『インフォーマ』の作者が予備校で講演会をするのか

なぜ『インフォーマ』の作者が河合塾で講演会をするのか…若い世代に一番伝えたいこと

沖田臥竜氏

ドラマ化もされ、Netflixで全世界配信中の『インフォーマ』(サイゾー文芸部)の作者である沖田臥竜氏が河合塾で開催する【5月20日、天王寺校/詳細はこちら】。タイトルは「底辺からの逆襲 インフォーマから受験生への伝言」。沖田氏の常識にとらわれぬ人生から生まれた言葉を若者たちに届けるべく、サイゾーも協力体制だ。それにしても、なぜ大手予備校で公演を? 沖田氏がその狙いと想いを綴る――。

講演会を通して交わる人生、生まれる作品への影響

 現在、新作の取材も兼ねて海外にいるが、帰国すれば、すぐに河合塾の文化講演会が待っている。

 それが終われば、某出版社からの依頼があった長編小説と、ある小説の続編の執筆準備に入らなければならない。その合間を縫って、ぜひ映画館に観に行きたい映画が2本ある。一本は故・河村光庸プロデューサーの『ヴィレッジ』(公開中)、そして『最後まで行く』(5月19日公開)だ。どちらも『インフォーマ』を手掛けた藤井道人監督作品なのだが、その藤井監督がきっかっけで、河村プロデューサーとも親しくさせていただいていた。

 河村さんと最期に会ったのは、高田馬場の喫茶店だった。そこからの帰り道、河村さんはタクシーの中で屈託のない表情を作り、映画についてや昔話を熱く語ってくれた。 

 「昔は、学生運動をしていてさ~。尼崎にも行ったことがあるんだよ~。あれ、守口だったかな」

 尼崎と大阪の守口では全然違うやんと思いながら、河村さんの子どもみたいな笑顔を見ていると、そんなことはどうでもよくなって、私の表情もいつしか綻んでいた。そんな河村さんの遺作となった『ヴィレッジ』。仕事がひと段落つけば、ご褒美にゆっくりと堪能したいと思っている。

 それまでに、まずは河合塾の文化講演会である。

 ひとりで2時間しゃべりっぱなしなのだが、私がこの講演を引き受けた理由は、私の話を聞いてもらうことで、自分の人生と、受験生の人たちの人生とを一瞬でもリンクさせることができたらという思いからであった。それらによって、間接的でも新たな人間関係を築くことができるかもしれないし、また私の書く物語に影響を与えてくれるかもしれない。

「あのときの講演会を聞いてがんばることができて、大学を合格したんです!」

 なんて言われてみろ。そんな嬉しいことがあるだろうか。そんな話術はないのだが……。

 人生とは、人との出会いでよくも悪くも変わっていく。今、こうして私がさまざまな仕事ができているのも、人々との出会いがあったからだ。

 出会いが世界を広げていくのである。私は文化講演会で、ありきたりの、当たり障りのない話をしようとは思っていない。そんなのは、受験生の人たちも聞き飽きているだろう。それではわざわざ、私が行く必要なんてない。

 私にしかできない話を、私の言葉で話し、そこで何かを私自身でも感じたいと思っている。それも出会いの一つに繋がっていくのである。

 今まで、私はたくさんの経験をしてきた。お世辞にも順風満帆な人生ではなかったので、いらぬ苦労もたくさんしてきた。ただ私は、それを筆に活かすことで、無駄にはしてこなかった。そこにはいつもどこかで私に興味を示してくれる人たちがいて、私にはそれに応えるだけの武器があった。

 接待や付き合いで、私は仕事なんて取ってきていない。全部、独自で何もないところから開拓してきたのだ。そのためには、まず何をしてきたかと言うと、いつも人のために一生懸命にやってきた。

 だからこそ、この人間ならば信用できると思ってくれる人たちが出てきたのだと思う。そんな自分の経験に基づいた話をしていく予定だ。河合塾の文化講演会は受験生だけでなく、一般の人々も見に来られるようにしてもらっている。話したいことはたくさんある。

 人生なんて、こんなことをして、どうなるんだの繰り返しばかりだ。でも続けていくのである。自分に言い訳をせずに、勉強だって仕事だって続けていくのだ。結果はどうなるかなんてわからない。なぜならば、それが人生だからだ。でも、続けてみて、初めて見えるものが確かにあって、それが人生を確実に豊かにしてくれる。

 いつでもどこでも誰かのために。そんな人生はきっと悪くないだろう。

(文=沖田臥竜/作家)

小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円

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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!


ドラマ『インフォーマ』
現在は、Netflixで全世界配信中


4分で振り返る『インフォーマ』第1話~第5話 | Netflix Japan
 
桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。

作家・小説家・クリエイター・ドラマ『インフォーマ』シリーズの原作・監修者。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)がドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/05/17 09:44
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