藤島ジュリー景子社長が「知らなかった」はずはない、ほかスクープ16本
#元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
山上徹也被告の“黒幕”? 文春ジャーナリズムに黄色信号か
お次は文春。前出の新潮の芦屋市長の記事もよくわからないが、この文春の記事も???がつく記事である。
「安倍晋三の殺害が達成された今、私は罪に問われないと自負しております。殺人教唆だとか騒ぐ人達は自衛隊内においては多数おりますが、私が意図して山上容疑者に対して指示をした確固たる証拠はないはずですから、完全犯罪です。あなたたち週刊誌は面白おかしく報道するのが仕事でしょうけど、証拠もないのに記事にできるわけないですよね?」
これは、安倍晋三暗殺事件から2日後に、匿名のAという人間から文春にリークされた情報をもとに、文春が追い続けた人間からの「回答書」であるという。
これだけを読むと、この人間が山上徹也容疑者に、「安倍を撃て」と教唆した黒幕のように思えるが、どうやらそうではない。
先のAは「防衛省で観察部門の職にある」と自称し、安倍暗殺事件が起こった後、海上幕僚監部宛に、現職自衛官が事件にかかわっているのではないかという通報があったといったそうである。
その後文書でやり取りすると、氏名、認識番号、処分履歴などを送ってきたという。
この男、安倍元首相と同じ成蹊大出身で、成蹊の名を汚した先輩としての安倍を敵対視し、殺してやりたいと発言していたというのだ。
さらに、昨年5月、この男は山上と会食しているというのである。その席で、山上に殺人を教唆したのではないかとして、殺人教唆の嫌疑がかかっているという。
文春は、この人間の行動確認を7月13日から始めたという。
その後、第2、第3の情報提供者も出てきている。だが、自衛隊の中で安倍のことを悪くいっていたことは事実のようだが、決め手になるものはない。
そうこうしているうちに件の人間は、自衛隊を退職してしまう。
文春はその人間に文書を送った。回答書には、山上と会ったことは自衛隊側の話で聞いたこと、山上の顔は「テレビで見て知った」と書いている。
長々とページを取っているが、要は、安倍元首相の生前から、安倍のことを批判していたことは事実で、山上と居酒屋で一緒になったかどうかは、本人の記憶にはないようだ。
思わせぶりな書き方で、文春は、「これまでの取材で確実に言えることは、『安倍を葬れたことは感無量』と堂々と取材に答える人物が海上自衛隊にいたこと、そして安倍氏暗殺事件に関連して複数回、事情聴取を受けていたことの二点だ」としている。
だが、海自は4万人以上いる。その中に安倍の悪口をいう人間は、少なく考えても2人や3人はいるだろう。海自の中では要注意人物でマークされていたのだろうが、山上の黒幕というには根拠が薄弱すぎはしないか。
文藝春秋6月号では「赤報隊の正体」というのをやっているが、いまさら朝日襲撃事件の黒幕が野村秋介ではないかと、彼の関与を匂わせるのは文藝春秋らしくないし、スクープでも何でもない。私はそれより統一教会の関与のほうが可能性大だと思っているのだが、それに全く触れないのはなぜなのか?
文春ジャーナリズムにやや黄色い信号灯が灯ったと見るのは、私の僻目だろうか。
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