『だが、情熱はある』相方を強奪するとはどういうことなのか?
#お笑い #オードリー #南海キャンディーズ #だが情熱はある
南海キャンディーズ・山里亮太とオードリー・若林正恭の反省を描くドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)。第5話では、山里(森本慎太郎、SixTONES)が現・相方であるしずちゃん(富田望生)を強奪するために奮闘する話。
しずちゃんの本格的な登場は、このドラマにおいて注目ポイントのひとつだ。
しかも、遂に南海キャンディーズを結成すると言うのだから、視聴者が盛り上がらないはずがない。今話の山里は別の芸人とコンビを結成中のしずちゃんを強引に誘っているわけなのだが、果たしてこれはどういうことなのだろうか。一応はお笑いをかじったことのある筆者が振り返ってみたい。
相方強奪の本当のリスク
コンビを解散し、ピン芸人・イタリア人となった山里は、すべてが上手くいかない。ネタで日本人形の手を舐めては客に引かれ、しまいには照明さんにまで怒られてしまう。お先真っ暗な状態だ。
ただここで、さすが山ちゃんと感じるのは、ピンでもしっかりと舞台に立ったことだ。「舞台の出番があるから出ないと」と言っていたが、たいていの芸人はコンビ解散後、いったん相方探しとして休養期間に入る。ウケる算段もないのにキャラ芸人に挑戦している姿は、売れっ子になるべくしてなったのだと感じる。
イタリア人として活動しながら西中サーキット解散直後のしずちゃんに狙いを定めた山里、しかし、しずちゃんは別の男とコンビを結成してしまう。「人の相方を奪うのは御法度」と諦める山里だが、公園で出会った食品メーカーに勤める女・花鈴(渋谷凪咲)に背中を押され、しずちゃんを強奪することを心に決める。
そこからの山里は、しずちゃんの周りをコソコソと嗅ぎ周り情報を収集。なんとか連絡先をゲットして話す機会を設けると、情報を使って気が合うフリをし、なんとか気に入られようと試みる。
しかし、結局のところしずちゃんの胸を打ったのは、正直な思いとしずちゃんのために書き溜めたネタ帳だった。
「なりふり構わずに売れようと頑張る山里」という印象が強まったエピソードだ。
しかし、実際に他人の相方を奪うというのは、かなり難易度の高いチャレンジになる。というのも、売れない若手芸人はみんながライバルで蹴落とし合っているというイメージを持つ人はたくさんいるかもしれないが、実はそうではない。芸人同士のチームプレーが大事になってくるのだ。
蹴落とすよりお互いを知って関係性を作り、そこで笑いを生み出せるような空気感を作っていった方がよっぽど得策だ。自分の特性だって、人と繋がることで見えてくることがある。このドラマの山ちゃんのように、他人の足を引っ張り自分だけのことばかりを考えていると(実際はそういった面ばかりでないと重々承知)、結果的に損することになるのだ。
南海キャンディーズが面白かったからいいものの、すぐに結果を出せたからいいものの(結成年にM-1準決勝、翌年に決勝進出)、少しでもつまづいていたら周りからは白い目で見られることになっただろう。
ドラマ上の見え方としては、気持ちの強さで山里がサクセスストーリーの一歩目を歩き出してる形だったが、実際はかなりリスキーな賭けだったはずだ。もちろんこんな賭けに出られてしまうところが、山ちゃんのすごさだったりするわけだが。
変わらない春日のありがたさ
一方の若林(髙橋海人、King & Prince)は、相変わらずうだつの上がらない日々を送っている。
気づけば25歳、芸歴にすると3~4年。ちょうどお笑い芸人としての生活にも慣れ始め、焦りを感じやすい時期だ。客イジリ漫才、世間を切る時事漫才、髪型を金髪にしたり緑モヒカンにしたりと試行錯誤を繰り返すも、特に何も掴めない。頭によぎるのは芸人引退という選択肢が浮かんでくる。
当然だ。若林は、先輩のたにしょう(藤井隆、おそらくモデルは前田健)に悩みを聞いてもらう。
「ウケないと全員に無視されてる気がしてくるんですよ。誰も俺らのことなんて見てない」
わかる。笑い声が全てのお笑いライブで、ウケないということは存在を否定されることと同じだ。発言権がない気もしてくるし、楽屋に置いてあるお菓子も食べちゃダメな気がしてくる。人権すらないような気持ちになってくる。追い込まれた若林は、ついに春日(戸塚純貴)に解散を持ち出してしまう。
「こんなこと言いたくないけど、とにかく恥ずかしい。惨めだと思う。辛い。すごくいやだ。もう辞めたほうがいいんじゃないかって」
「お前こんな状況なのにネタも何も考えないけど、どう思ってる?」
しかし、春日は変わらない。
「あの、私、どう考えても幸せなんですけど。だからこれからも頑張りたいんですけど。不幸じゃないと努力ってできないんですかね」
通常、危機感のない相方を持つと腹が立つ。努力もせず、攻めたことは何もせず、全てを自分任せにされたら嫌になる。だが春日は、危機感がなさすぎた。あまりにもブレなさすぎた。ブレないことが、若林にとって唯一自分を肯定してくれる存在になるのだ。
第6話では、ついに南海キャンディーズが始動し春日がピンクのベストを着て登場する。
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