元お笑い芸人が身近に接していた“逮捕された先輩&後輩芸人”3人とは?
#お笑い芸人 #檜山豊
元お笑い芸人で現在舞台監督をしている男性が逮捕された。過去にお笑い芸人「ガッツ」として活動していたこの男性は昨年5月に自宅アパートにて、マッチングアプリで知り合った女性に対し、睡眠作用のある薬が入った飲み物を飲ませ、性的暴行を加えた疑いが持たれており、容疑を否認しているとのこと。
「ガッツ」という芸人さんを調べてみようと思い検索してみたがあまり情報が得られなかった。サラッと調べただけなのでどの程度活躍していた方なのかはわからないが、そこまで露出していなかったとお見受けする。それでも「元お笑い芸人」という肩書は注目されやすく、元お笑い芸人というだけでその方自体が少し世間からズレた非常識な人間に感じてしまう部分がある。
まあこれはあくまでも僕の偏った見方であり、僕自身が「元お笑い芸人」という肩書きにより好奇の目にさらされた経験を踏まえた考え方なのだが。
僕は基本的にお笑い芸人は常識的な人間が多いと思っている。これは別のコラムで書いたことがあるが、常識を知らないと非常識な事、つまりボケを生みだすことが出来ないからだ。なので本当に非常識な人間に芸人は務まらないと感じているのだ。
しかし、我々一般人と同じで芸人にも常識的な考えを持たない非常識な人間が少なからずいて、世間的にニュースになるような大きな不祥事から、芸人間だけで話題となる小さなものまで様々な問題を起こしている。
芸人の不祥事はお酒にまつわるものや、女性とのトラブルが大半を占めるのだが、そういう不祥事とは少し違ういわゆる“犯罪”を犯した芸人も中にはいて、僕が芸人をしていた頃、一緒にライブをしたりテレビに出たりしていた身近な芸人がそのような問題を起こしたこともあった。僕が覚えているニュースは3つ。
ひとつは先輩芸人Hさん。実家に帰省した際に、下校中だった13歳の女子中学生に声をかけ団地の階段に連れ込み、わいせつな行為をして逮捕された。僕はHさんとはプライベートで交流することはほとんど無かったので、ライブ等でしか接したことは無いが、このニュースを聞いたとき信じられなかった。
どちらかというとモテる芸人さんだったので女性と遊んでいるイメージが少なからずあった。なのでわざわざ犯罪を犯してまでこのような行為をするとは思えなかったのだ。しかし、被害者の年齢を踏まえると、それがHさんの性的嗜好だったということ。芸人としては尊敬すべき先輩だったので、そのような不快な行為をしたことにショックを受けた記憶がある。
二人目は後輩芸人のT。Tは2回逮捕されており、1回目は満員電車の中で痴漢をしたとして逮捕された。この件は不起訴処分になっており、活動自粛を経て活動再開をしているのだが、事件後ライブで一緒になったとき、冗談交じりでその件についての真偽を訪ねたことがあった。もちろん本人は否認したのだが、数年後、都内の高校に忍び込んで制服などを盗み、窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕された。
Tは芸人として知名度が上がってきており、そのまま何事も無ければ人気芸人としての地位が確約されていただけにとても残念だった。今思えば否認した痴漢の容疑も果たして本当にしていなかったのか疑ってしまう。あの時「してないですよぉ!」と苦笑いをしながら否定した顔がいまだに忘れられない。
そして三人目はこちらも後輩芸人だったNだ。彼は朝方、新宿のマンションに侵入し手提げバッグを物色中に住人に見つかり逃走。現場マンションから150メートル離れた路上で取り押さえられ、逮捕となった。
当初、住居侵入は認めていたのだが、窃盗に関しては否定しており、「白い煙が見えたから入った」と供述していた。つまり火事かもしれないから侵入したという何とも苦しい言い訳をしていたのだが、後に窃盗目的で侵入したと認めた。結果的には不起訴処分になったのだが、事務所は解雇、コンビは解散となり、芸人人生に幕を閉じた。
Nもライブなどで何度も会っていたのだが、とても好青年でそんな犯罪とは縁遠いように感じていた。しかしこの事件後に判明したのだが、Nが出演したライブなどにおいて楽屋から現金や物がなくなるということが頻発しており、Nが「楽屋泥棒」ではないかという噂が出ていて、今思えばその当時からNには窃盗癖があったのかもしれない。僕は幸いなことにそのような被害にあっておらず……あっていても気づかずにいたので、Nに対してはどちらかというとしっかりしたイメージがあったので、こちらの事件も相当なショックを受けた。
よくニュースなどで容疑者を知る人物のインタビューがあるが、その際に大抵「いつかそういうことをすると思ってました」や「あまり人と交流をしない怪しい人だった」などと、元からその人物に対して疑念をもっている場合が多いが、僕が知る限り、犯罪を犯した3人の芸人は他の芸人に比べてコミュニケーション能力が高く、その場を仕切るような頼もしさだったり、先輩に愛されるような人懐っこさを持ち合わせていたように思う。
上記の3人はその内容から「出来心」での犯行には思えない。つまり常習犯であった可能性が高く、僕が接していた時代にももしかしたら犯行を繰り返しており、敏感な人には感じ取れるような危険信号が微弱ながら発信されていたかもしれないが、僕には全く感じ取ることが出来なかった。なんだったら逆に「いい人」「生真面目な人」というカテゴリーに入れていた気がする。一歩間違えば僕自身も被害者になる可能性もあったというのに。
身近でこのような事件があると、自分の見る目の無さや、本質を感じ取れないという自身の鈍感な部分を客観視し、自分に対して少々落胆してしまう。結果的に騙されたとしても人を信じることは良い事だという人もいる。どちらかと言えば僕もその考え方なのだが、僕の祖母は違った。祖母は僕が小さいころからずっと「人を見たら泥棒と思え」と教えていた。当時はとても嫌な教訓だと思っていたが、このような事件に遭遇し、心が傷ついてしまうことを考えると、人を疑う為の教訓ではなく、自己防衛の為の教訓だったのだと今は思う。
このことわざは僕の心の弱さをいち早く見抜いた祖母なりのバリアだったのかもしれない。
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