ピーコの万引事件が高齢芸能人に与えた衝撃…かつての売れっ子も明日は我が身か
昭和・平成のワイドショーの全盛時代に専門とするファッションや映画だけでなく、社会問題についても辛口コメントを連発し、お茶の間を賑わせた双子のオネエ系タレント「おすぎとピーコ」。そのピーコについて、「週刊女性」が「突然、姿を消して行方不明」と報じたことで安否が気遣われていた中、TBS系の『サンデージャポン』の取材で、高齢者施設に入居していることが明らかになって、関係者をホッさせたのも束の間、「NEWSポストセブン」が施設に入る前に万引きで逮捕されていたことを報じて、芸能界、特に高齢者芸能人たちはショックを受けている。
「同居していた弟のおすぎが昨年2月頃に高齢者施設に入ってから、残されたピーコは認知症気味になっていたといいます。そんな姿を見て、一世を風靡したタレントたちも、高齢者になってからの生活を心配している人は少なくないだろう」と言うのは大手プロ役員。
「若いうちに稼いだタレントや、大手プロに所属していて、そこから老後の面倒を看てくれたり、家族がいてくれたりすればいいですが、経済的にも厳しく、面倒を看てくれる親族もいなかったら、大変です」
2年前の21年4月1日から高齢者の働き方改革として改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)が施行されたが、高齢者を取り巻く労働環境は厳しいままだ。
お笑い芸人約6000人が所属する吉本興業の大崎洋会長は筆者に当時、高齢者芸人について「うちは、若いうちはギャラが安いですが、その分、年を取っても面倒を看るのが伝統なんです。昔から、高齢者芸人を優遇しています。吉本のレジェンド芸人の坂田さん然りです」と語っていた。
それから2年後の今年3月に『居場所』(サンマーク出版)を出版した大崎会長は、本のプロモーション取材で、“アホの坂田”として一世を風靡した坂田利夫(81)について、こんなエピソードを語ってくれた。
「なんばグランド花月の楽屋で、自動販売機の缶ジュースを買いに来ている素人に“お前なんちゅう、コンビや?”“いや、ぼくコーラ買いに来てるだけです““お前みたいな芸人、まだ見たことない、誰や!“なんて話してる。それが舞台に上がったりするとあんな芸風ですから、お客さんにはボケてはんのか、ギャグやっているのか、わからへんのですよ。それでようウケるんです(笑)。そのリアクションを受けて坂田さんもパーっと元気になって“今日の客、ええなあ“って。うちの社員たちには、坂田師匠を見習わなあかんなあと言っているんです」と吉本は高齢者芸人が活躍する居場所を提供するだけでなく、高齢者社員も優遇していることを語ってくれた。
ある芸能ライターは「現在も刑事ドラマなどで活躍している北大路欣也は妻とともに介護付き老人ホームで暮らしながら、仕事の現場に通っている。その老人ホームは豪華ラウンジを備え、食事も一流シェフが担当。高級ホテル並み。一方、その昔、アイドル歌手として大ブレークした天地真理は仕事から退き、一般的な老人ホームでひっそりと静かな老後を暮らしている」と言う。
前述したピーコは認知症の疑いがあって身寄りもなく施設に入ったと報じられた。
「大手事務所の所属でもなく、身寄りもなく、蓄えもない高齢者タレントにとってはピーコのことは他人事には思えません」(75歳の某男優)
どれだけ稼いで、貯蓄し、周囲に恵まれたかによって老後の生活が左右される芸能人たち。もちろん、これは一般の社会も一緒だろう。他人事ではない。
(文=本多 圭)
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