役所広司&菅田将暉共演『銀河鉄道の父』 宮沢賢治はリアル“でくのぼう”だった?
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「笑いと死」が隣り合わせになった独自の境地
宮沢家には次々と不幸を訪れることになるが、映画自体は明るく、最後まで笑いの絶えない穏やかなトーンで貫かれている。そこに描かれているのは、「笑いと死」が隣り合わせになった市井の人々の営みだ。終末医療をテーマにした『いのちの停車場』を経て、成島監督の作風は独自の境地に至ったように感じる。
成島監督は2017年に肺がんを患い、がん病棟での闘病を体験している。このことが、作風にも影響を与えたようだ。
成島「築地のがん研究センターに入院したんですが、確かにここでの体験は大きなものがありました。その中でもとても印象に残っているのは、小児がんの病棟で過ごしている子どもたちの姿でした。小児がんの病棟の一角には遊び場があって、入院している子どもとお母さんが笑顔で遊んでいたんです。僕は勝手にがん病棟は暗いものだと思い込んでいたんですが、子どもとお母さんは限られた命を最期まで明るく懸命に生きようとしていたんです。おそらく、母親は1人になってから泣くことになるんでしょう。もちろん病気を克服して元気になる子もいるはずですが、そうでない子も、お母さんが笑っている顔を胸に刻んで旅立つことになるわけです。それも、幸せな一生ではないかと僕は思ったんです」
幸せを測る尺度は、決して寿命の長さではない。トシも賢治も全力で生き、そんな子どもたちを政次郎は全力で受け止めた。宮沢賢治が残した幻想小説『銀河鉄道の夜』や遺作となった『雨ニモマケズ』は、宮沢家の人々の愛と涙の結晶でもあるようだ。本作がきっかけで、国民的童話作家・宮沢賢治の印象が、ずいぶんと変わったものになるのではないだろうか。
『銀河鉄道の父』
原作/門井慶喜 脚本/坂口理子 監督/成島出
出演/役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯
配給/キノフィルムズ 5月5日(金)より全国公開
©2022 「銀河鉄道の父」製作委員会
ginga-movie.com
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