秋田県、人口統計で深刻な数値…少子高齢化は、徐々に大都市圏へ拡大
#鷲尾香一
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ついに沖縄県も人口が自然減少…際立つ東京一極集中
2022年に全国47都道府県のうち、人口が増加したのは唯一、東京都だけだった。沖縄県は72年に日本に復帰して以降、初めて人口が減少した。沖縄県の人口が自然減少となったた...15歳未満人口の割合が最も高いのは沖縄県の16.3%、もっとも低いのは秋田県の9.3%。65歳以上人口の割合が最も高いのは秋田県の38.6%、最も低いのは東京都が22.8%。15歳未満人口の割合はすべての都道府県で減少している。
今回は、都道府県別の年齢区分別人口割合を取り上げる。
年齢分別人口の割合を都道府県別にみると、15歳未満人口の割合では沖縄県が16.3%と突出して高い半面、秋田県が9.3%と突出して低い。15歳未満人口の割合は前年比で全ての都道府県で低下している。(表1)
全国平均は11.6%で、平均を上回っているのは21県。九州地方ではすべての県が平均を上回っているが、東北地方では全ての県が平均を下回っており、少子化が深刻な状況だ。
15~64歳人口の割合は東京都が66.3%と最も高く、次いで神奈川県が62.8%、愛知県が61.7%、埼玉県が61.1%などとなっている。一方、秋田県が52.1%と最も低く、次いで島根県と高知県が53.3%、山口県と鹿児島県が53.6%などとなっている。秋田県はここでも低い数値となっている。
全国平均は59.4%で、平均を上回っているのはわずかに9都府県しかない。沖縄県を除けば、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府と大都市を抱える地域に限定されており、労働人口が集中していることがわかる。
65歳以上人口の割合は秋田県が38.6%と最も高く、次いで、高知県が36.1%などとなっており、30%以上が33道県ある。一方、最も低いのは東京都の22.8%、次いで、沖縄県が23.5%などとなっている。全国平均は29.0%で、平均を下回っているのは9都府県となっている。(表2)
15歳未満人口割合で下位10に入っている県のうち6県が、65歳以上人口割合で上位10に入っており、少子化と共に高齢化が進んでいることがわかる。例外は東京都で、15歳未満人口割合で下位10に入っていながら、65歳以上人口割合が下位10に入っている。つまり、子どもも老人も少なく、労働人口が多いという傾向が鮮明に表れている。
また、75歳以上人口の割合でも秋田県が20.6%と最も高く、次いで、高知県が19.9%、山口県が19.3%と65歳以上人口割合と上位3位までの顔ぶれは同じだ。また、秋田県は20%を超えた初めての都道府県となった。全国平均は15.5%で、平均を下回っているのは11都府県となっている。(表3)
なお、15歳未満人口割合が75歳以上人口割合を上回っているのは沖縄県のみだ。日本では15歳未満は約10人に1人だが、65歳以上は約3人に1人で、75歳以上は約6人に1人という状況になっている。
15歳未満人口の前年比を都道府県別にみると、全ての都道府県で減少している。減少率は秋田県が3.8%と最も高く、最も低いのは沖縄県の1.0%となっている。前年比で減少率が拡大したのは43都道府県に及び、減少率が縮小したのは奈良県のみだ。全国平均は1.9%の減少で、平均を下回っているのは12都府県しかない。
15歳未満人口の割合が下位10に入っている都道県のうち、15歳未満人口の減少率上位10に7道県が入っている。ただ、東京都は人口割合が下位10ながら、減少率は下位に入っており、15歳未満人口の割合は少ないものの、減少率も低いという傾向が出ている。(表4)
65歳以上人口の前年比では、21道県で増加、26都府県で減少している。増加率上位は沖縄県が1.6%と最も高く、次いで宮城県が0.7%などとなっている。一方、減少しているのは山口県と高知県が0.6%減でトップ、次いで富山県と和歌山県の0.5%減などとなっている。(表5)
全国平均の0.1%増加を上回っているのは16県、下回っているのは28都道府県だ。特徴的なのは、65歳以上人口の割合が下位10位に入っている7県が、増加率上位に入っており、65歳以上人口の割合が上位10位に入っている5県が、減少率下位に入っていることだ。
これは、これまで高齢化が進んできた県では、ある程度高齢化が進み切った一方で、高齢化が進んでいなかった県で、本格的な高齢化が始まっていることを示している。75歳以上人口の前年比増加率をみると、全ての都道府県で増加しているものの、上位5県には65歳以上人口の割合が下位10のうち、埼玉県、千葉県が2位と3位に入っている一方、下位5県には65歳以上人口の割合が上位10のうち、岩手県、山形県、秋田県の3県が入っていることでも明らかだ。(表6)
最後に3大都市圏の人口は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)には3687万4000人、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)には1118万3000人、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)には1804万1000人となっている。
3大都市圏の人口の合計は6609万7000人で、全国に占める割合では東京圏が29.5%、名古屋圏が9.0%、大阪圏が14.4%で、3圏の合計は52.9%と全国の半数以上の人口が集中している。
東北地方などで先行していた少子高齢化は、徐々に大都市圏にまで及び始めている。岸田文雄首相が進める異次元の少子化対策の責任は重い。
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