ついに沖縄県も人口が自然減少…際立つ東京一極集中
#鷲尾香一
2022年に全国47都道府県のうち、人口が増加したのは唯一、東京都だけだった。沖縄県は72年に日本に復帰して以降、初めて人口が減少した。沖縄県の人口が自然減少となったため、全国の道府県が自然減少となったことになる。
2回目となる今回は、都道府県別の人口動向を取り上げる。
第1回はこちら
22年10月1日現在の都道府県別の人口は、東京都が1403万8000人と最も多く、次いで神奈川県の923万2000人、大阪府の878万2000人と続く。上位10までのうち、9位の福岡県までが500万人を超えており、100万人を超えているのは37位の富山県の101万7000人までだ。つまり、下位10県が人口100万人を割り込んでいることになる。
人口総数に占める割合では、東京都が前年と同率の11.2%で、10%を超えているのは東京都のみだ。6位の千葉県までが5%以上となっており、6位までの都府県に全国の42.5%の人口が集中している。また、8位の北海道までの都道府県に全国の人口の50%以上が居住している。(表1)
東京都には、もっとも人口の少ない鳥取県の25.8倍の人が住んでおり、その人口は32位の岩手県から最下位の鳥取県まで16県分の人口の合計1422万1000人にほぼ匹敵する。
人口増減率では前年比で増加したのは東京都のみで、前年比の人口増加率は0.20%だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、21年は前年比で減少したが増加に転じた。一方、21年まで人口が増加していた沖縄県は、72年に日本に復帰して以降、初めての人口減少となった。
人口減少率の1位は秋田県で前年比1.59%の減少、次いで青森県の同1.39%減、岩手県の同1.32%減と続く。10位までをみると、東北地方から秋田県、青森県、岩手県、山形県、福島県の5県が入っており、東北地方で10位入りしていないのは、仙台を抱える宮城県のみだ。さらに、四国地方から高知県、徳島県、愛媛県が入っており、残る香川県は前年比0.87減となっている。(表2)
人口減少率が前年比で1%を上回ったのは、福井県の1.00%減までの14県で前年よりも3県増加した。また、人口減少率が前年に比べ拡大したのは23道県もあった。一方、人口減少率が縮小したのは19府県となっている。
人口の増減要因には出生数と死亡数の差による自然増減と、人口移動すなわち人口流入数と流出数の差による社会増減があるが、人口減少率が前年比で縮小した19府県の要因はすべて社会増加によるものだ。
自然増減を都道府県別にみると、沖縄県が前年の増加から減少に転じ、他の46都道府県が前年に引き続き自然減少となったため、比較可能な50年以降、初めてすべての都道府県で自然減少となっている。
自然減少率は、秋田県が1.31%と最も高く、次いで青森県が1.09%、高知県が1.08%などとなっている。人口の自然減少上位10は、いずれも人口減少率上位10に入っていることから、自然減少(少子化)がいかに人口減少を引き起こしているかが、鮮明となっている。(表3)
一方、社会増減を都道府県別にみると、増加が21都道府県、減少が26県となっている。社会増加率は、東京都が0.50%と最も高く、次いで埼玉県が0.42%、神奈川県が0.36%などとなっている。一方、社会減少率は福井県と山形県が0.32%減と最も高く、次いで青森県が0.30%減、福島県が0.29%減などとなっている。
社会減少率の高い10県の中で、山形県、青森県、秋田県、岩手県、新潟県、徳島県、愛媛県の7県は自然減少の上位10にも入っており、人口減少率の上位10にも入っている。一方、福井県と長崎県は自然減少の上位10にも、人口減少率の上位10にも入っていないが、社会減少がもっとも大きい。福島県は自然減少の上位10は入っていないが、人口減少率の上位10に入っており、人口減少の要因としては社会減少によるところが大きい。これは、福島第1原子力発電所の原発事故に起因するものだと思われる。(表4)
都道府県別の人口減少の状況をみると、東北地方、四国地方での減少が自然減少、社会減少とも大きく、過疎化が進んでいることがわかる。少子高齢化による過疎化は待ったなしの危険な状態になっている。
次回は都道府県別の年齢区分別状況を取り上げる。
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