とにかく明るい安村、英国『ゴットタレント』で爆笑…日本のお笑い水準が高い理由
#お笑い #とにかく明るい安村 #檜山豊
お笑い界において久しぶりに純粋に明るいニュースが届いた。22日、とある芸人のTwitterに、とあるYouTube動画が投稿されたのだ。そのとある芸人とは、全裸に見えるポーズと「安心してください。履いてますよ」というフレーズで一躍メジャー芸人となった「とにかく明るい安村」さんだ。
安村さんのTwitterには「ブリティッシュゴットタレントでネタやってきたよ!観てね!」というコメントと共に、英国の人気オーディション番組「ブリティッシュゴットタレント」へ出演したYouTube動画が投稿された。ネタは日本でもお馴染みの、パンツ一丁で全裸に見えるポーズのあのネタである。
もちろん日本語ではなく全編英語バージョンに変えられており、一つ目は「裸に見えるサッカー選手」というポーズ。最初は怪訝そうに見る審査員や観客たちだったが一瞬でネタの構造を理解し、いつもの決め台詞「Don’t worry,I’m wearing(安心してください。はいてますよ)」が出ると身を乗り出して爆笑していた。
日本でも始まった「ゴットタレント」だが、本場英国のゴットタレントへ参加し称賛を得るというのは同じ日本人として何とも誇らしく、安村さんが努力してきた結果が花開いたようで、感動すら覚える。
このニュースに関してネット上では批判的な声も上がっているが、この裸に見えるポーズというネタは日本でもブームになっており、今でこそ見慣れてしまったが、当時はとてもセンセーショナルで爆笑をかっさらっていた。つまり、日本でウケるネタは海外でもウケることを証明したということだ。
昔から、日本のお笑いは海外に比べるとレベルが高いとか、水準が高いと言われてきた。これは日本のお笑いが特別優れているという話ではなく、海外のお笑いと日本のお笑いの根本が違うのではないかと僕は思っている。
海外の芸人、つまりコメディアンと呼ばれる人たちはお笑いの中にインテリジェンスが入っており、ただ笑わせるということはほとんどない。それはコメディアンに限らず、笑いを主とするドラマやアニメ、バラエティ番組においても同じことが言える。時には笑えないほどブラックな事を言ったり、思想が強いものがあったり、涙を誘う感動的なものがあったり。笑いだけでコメディを構築しないのだ。
海外で起こる事象は何年後かに日本でも起こると言われているが、このお笑いにおいても例外ではない。上記のお笑い以外の要素をお笑いに入れるというのは昨今のお笑いにおいても需要なファクターで、取り入れ始めている媒体は多い。しかし元々のお笑いは、笑いに特化したものを中心としており、純度の高いお笑いを作り上げるのが日本の特徴だった。
しかも一つのジャンルではなく、漫才、コント、フリップネタ、リズムネタ、漫談、落語、一発ギャグ、物ボケ、モノマネ、裸芸、喜劇などなど様々な分野に枝分かれし、その分野で笑いを突き詰めて極めようとしてきた。そういった先人たちの努力の結晶が今も受け継がれており、情報発信の場が多くなった現代において我々一般人でもなんとなくフリやボケやツッコミが出来るほど、高い次元のお笑い水準となったのだ。
今回の「ブリティッシュゴットタンレト」で安村さんのネタを見た審査員や観客たちのリアクションを見る限り、日本の視聴者が笑う部分とは違う要素で盛り上がっている場面もあったが、あらかた安村さんの意図は伝わっており、安村さんの裸芸が純粋に伝わり、爆笑の渦を巻き起こしていたのは本当に嬉しい出来事だった。
さて今まで海外版の「ゴットタレント」へ出場した芸人を振り返ってみよう。独特な笑いで盛り上げた「ゆりやんレトリィバァ」さん。タンバリン芸で話題となった「ゴンゾー」さん。体の上に布を被せてテーブルクロス引きを見せる「ウエスP」さん。お腹を使った音ネタでブレークした「ゆんぼだんぷ」さん。1回戦で敗退してしまった「アキラ100%」さん。そして今回の「とにかく明るい安村」さん。
これではっきりした。海外でウケる日本の芸は間違いなく「裸芸」だ。それもそのはず、日本ほど「裸芸」を追求している国はない。さらに日本の笑いのレベルの高さでは海外の人には難しく、ウケない可能性があるが、「裸芸」ならわかりやすいので笑いに直結しやすい。なのでこれから海外進出を考えているエンターテイナーは「裸芸」を習得すべきだ。いやむしろ習得しなければ海外でウケるのは無理と言っても過言ではない。
いや過言だ。「裸芸」がわかりやすいのは間違いないが、「裸芸」でなければいけない理由などない。ゴンゾーさんやゆりやんレトリィバァさんは別に裸ではないし、ゆんぼだんぷさんも裸で笑いをとっているわけではない。さらに国によっては裸になれない国もあるし、スペインでウケてもアメリカでウケないなど国によって笑いの文化はバラバラだ! つまり「裸芸」にこだわらなくても見た目が笑いやすく、内容が通じれば良いという話でした。すみません。
上記の芸人たちの活躍により海外版ゴットタレントは日本の芸人にとって遠い存在ではなくなってきた。このままいけばいずれ第三の主戦場になるかもしれない。
とにもかくにも「とにかく明るい安村」さんの「とにかく明るいニュース」が舞い込んできたことは本当に嬉しい事である。
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