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ぼる塾の月曜ロケを「独自の考察」で振り返る

ぼる塾の月曜ロケを「独自の考察」で振り返るの画像1
TBS系『ラヴィット!』Twitter(@tbs_loveit)より

 世の中に当たり前のようにあるものも、歴史を振り返ると変化があり、発見がある。特番などを経て20日にレギュラー初回が放送された『私のバカせまい史』(フジテレビ系)は、扱うテーマやその料理の仕方のバカバカしさとともに、そんな気づきを与えてくれる。

 同番組は、誰も調べたことのない狭い歴史を研究するバラエティである。特番時代には「武田鉄矢のものまね進化史」や「芸能人の『家では全裸』発言史」、「ものまね番組御本人登場史」や「柴田理恵号泣史」などが扱われてきた。MCのバカリズムが冒頭で番組の趣旨を説明する。

「なんの役にも立たない、明日には忘れている、二度と使うことのない情報を真剣に研究していきます」

 今回取り上げられた研究課題は3つ。「箱の中身はなんだろな?史」「淡谷のり子の低得点史」「カラオケビデオ俳優史」だ。なるほど、いずれも確かに「なんの役にも立たない、明日には忘れている、二度と使うことのない情報」である。

 番組は、研究員が調べてきた研究結果を発表するというスタイルで進行する。どれも面白かったのだけれど、今回はレギュラー放送初回の一発目で取り上げられたテーマ、「箱の中身はなんだろな?史」を振り返りたい。

 昔からテレビで繰り返し見てきた「箱の中身はなんだろな?」。番組はまず、その起源に迫る。訪れたのは山口県・下関市のある神社。どうやら平家物語のなかに、「箱の中身を占ってみよ」と帝に言われた安倍晴明が「栗でございます」と言い当てた、との逸話が残っているらしい。このことをもって、番組は「箱の中身はなんだろな?」には1000年以上の歴史があると主張する。

 もちろん、これはツッコミどころ満載というか、あきらかにツッコミ前提で提唱されている“歴史”だ。番組内でもバカリズムが「システムが違う」などと指摘していた。が、学術研究のスタイルを模してパロディっぽくお送りするバラエティでよく見るのは、ツッコミやすい程度に大げさにすること。そんな大仰さは、このような番組の面白さのひとつだけれど、番組が提示する“歴史”がバラエティ的な脚色を含むことの一種のエクスキューズでもあるのだろう。その意味で、最初のテーマの冒頭で大げさすぎる起源が示されたことは、「これはこういう番組ですよ」との自己紹介、「こういう番組として見てくださいね」とのガイダンスだったようにも見える。番組では、次のようなフレーズが繰り返される。

「全て独自の考察である」

 さて、そんな起源はともかくとして、ここからがより確からしい歴史。番組によれば、テレビではじめて「箱の中身はなんだろな?」が登場したのは1969年、読売テレビで放送されていたクイズ番組『まねまねバンバン』のワンコーナーだったという。当時のゲーム名は、すでに「箱の中身はなんだろな?」だったらしい。箱の中に入れられていたのは小ワニ、カラス、犬、アヒル、ネズミ、ヘビ、オオトカゲ、オオアリクイ、チンパンジーなど。基本的に動物が入れられていたようだ。なお、最初に箱の中に入れられたのはタコだという。

 その後、ワシントン条約の採択に伴い動物が箱に入れにくくなったり、女性アイドルに体験させてリアクションを楽しむものとして再び脚光をあびたりなど、「箱の中身はなんだろな?」にも栄枯盛衰があったらしい。また、2000年代になると、手ではなく足で触るものなど変わり種も現れ、「箱の中身はなんだろな?」も多様化してきたようだ。

 テレビではおなじみの「箱の中身はなんだろな?」。もちろん番組で示された“歴史”は「全て独自の考察」であり、誇張や脚色を割り引いて見なければいけないのだろうけれど、最初は箱のなかに結構大きめの動物が入れられていたことだとか、知らない事実なども出てきて面白い。歴史の光を当てると、あることが当たり前のもの、当たり前だったものにも別の姿が見えてくる。

 そして、「二度と使うことのない情報」を取り扱う番組だけれど、もう一度自分でどこかで使いそうな情報は、なにげに「箱の中身はなんだろな?の起源は安倍晴明にあり」な気がする。

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