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『オールナイトフジコ』80年代のフジテレビ的要素と現代のギリギリを模索する苦労

『オールナイトフジコ』80年代のフジテレビ的要素と現代のギリギリを模索する苦労の画像1
『オールナイトフジコ』(フジテレビ系)公式Twitter(@allnightfujiko)より

 80年代のフジテレビの深夜番組における象徴的存在『オールナイトフジ』の令和版となる『オールナイトフジコ』が4月14日深夜にスタートした。秋元康氏が総合プロデューサーを務め、元テレビ東京の佐久間宣行氏、さらば青春の光・森田哲矢、オズワルド・伊藤俊介の3人がMCを担当し、峯岸みなみ、村重杏奈がレギュラーとして出演。さらに、元祖『オールナイトフジ』と同じく、現役女子大生たちが「フジコーズ」として登場する。

 初回では、フジコーズメンバー数名のLINEのQRコードを映し出し、生本番中に視聴者からのメッセージを募集。誹謗中傷や卑猥な内容のメッセージを送らないように注意をしていたものの、放送できないようなものばかりが届いたとして、結局オンエアーではメッセージを紹介することはなかった。

「生放送で視聴者からメッセージを募集すると、卑猥なものが山ほど送られてくるというのは、テレビ界の常識です。『オールナイトフジコ』のスタッフがそれを把握していなかったというのはありえない。つまり、番組で紹介できないような内容のものがたくさん送られてくるということを想定した上でのコーナーだったはずで、メッセージが紹介できなくなるのも織り込み済みだったはずです。言ってみれば“捨てコーナー”で、この顛末がネットニュースなんかで取り上げられることまで狙っていたとしか思えません」(テレビ局関係者)

 元祖『オールナイトフジ』といえば、お色気要素やハプニングが満載だったが、コンプライアンス遵守の流れにある今の時代では、それを再現するのはほぼ不可能だ。そんななか、『オールナイトフジコ』では少しでも当時の雰囲気を蘇らせようと、ほのかなお色気要素もあった。

「さらば森田と女子大生が2人きりで個室サウナに入ってトークをするコーナーが、今できる最大限のお色気ということなんでしょう。汗をかいた女子大生が着ている服を1枚脱ぐ場面がありましたが、その下に水着を着ているわけでもなく、羽織っていたジャケットを脱ぐ程度の展開。そもそもハプニングが起きないような作りになっていて、果たして“お色気”といえるかどうかも難しいところです。制作サイドがギリギリを攻めようとしているのはわかるんですが、それ以上に“怒られないための苦労”ばかりが見え隠れして、なんとも切なくなってきました」(同)

 80年代の雰囲気を再現するということでは、かなり厳しい部分もある『オールナイトフジコ』。しかし、いかにも“フジテレビらしい雰囲気”が再現された部分もあった。

「出演者やスタッフとコネがある人は、自由にスタジオに遊びにくることができるという企画があって、秋元康氏やフジテレビの港浩一社長、指原莉乃などが集まっていたあたりは、いかにも“業界”な感じで、80年代のフジテレビっぽさ。果たしてそれが視聴者の求めているものかどうかはまた別の話ですが……」(構成作家)

 そして、今回の番組で注目を集めているのが、元テレビ東京のディレクターでありながら、フジテレビの生放送のメインMCを務めることとなった佐久間宣行氏だ。

「佐久間さんはもはや“出役”としての仕事も多いので、フジテレビの生放送の司会と言っても、そこまで違和感はない。森田、伊藤という腕のある芸人を従えているということで、佐久間さんにボケやツッコミといった部分が求められるわけでもなく、全体的に無難に司会をこなしていたという感じだったと思います。

ただ、それならば佐久間さんをわざわざ起用する理由があったのか? という疑問も残る。元祖『オールナイトフジ』では、女性タレントがメインMCを務めていたので、もしかしたらそっち系のキャスティングのほうが良かったんじゃないかな……なんて思います」(同)

 まだ、初回を放送しただけの状況で判断するのはあまりにも酷だが、現時点では元祖のように刺激的な内容とは言いがたかった『オールナイトフジコ』。とはいえ、鳴り物入りで始まった番組であり、“バラエティのフジ”の名にかけてこのままで終わるはずはないだろう。コンプラ重視のこの時代に、どこまで攻めていけるかに注目したい。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/04/26 11:00
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