警察庁「中高年以上は覚醒剤、若年層は大麻」若者の大麻事犯拡大傾向に懸念
#薬物 #大麻
若年層の薬物犯罪が止まらない。特に、若年層は大麻に手を染める傾向が続いており、「中高年以上は覚醒剤、若年層は大麻」という傾向が鮮明になっている。つい先日も、HIPHOPユニット「変態紳士クラブ」の、20代のメンバーが大麻所持の疑いで逮捕されたばかり。
今回、警察庁がまとめた「令和4年における組織犯罪の情勢」から薬物犯罪の事情を取り上げ、グラフとともにみてみよう。
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/R04sotaijousei/r4jousei.pdf
2022年の覚醒剤事犯の検挙人員は6124人と前年より大幅に減少した。同検挙人員は、第三次覚醒剤乱用期のピークであった98年の1万9722人から長期的に減少傾向にあり、18年以降連続して1万人を下回っている。
人口10万人当たりの年齢層別検挙人員は、60歳以上が1.8人、20歳未満が1.6人と2人未満となっているが、20代では6.1人、30代で9.5人、40代は11.2人、50代が7.9人と増加する。特に、30~50代では21年に比べ減少はしているものの、依然として高い割合が続いている。
一方、学生の覚醒剤事犯の検挙人員は中学生1人、高校生12人、大学生12人となっており、18年以降の傾向を見る限りは、増加に歯止めが掛かっているように見える。
ただし、ここで懸念されるのは再犯者率だ。
覚醒剤は常習性が強く、全体でも68.4%と半数以上が再犯に走る。60歳以上では82.8%、50代で81.5%、40代で74.8%、30代で60.7%、20代で38.0%、20歳未満で20.4%と低下してはいるものの、20歳未満では19年に6.2%だった再犯者率が21年からは20%を超え、高止まりしている。
さらに懸念されるのは、若年層では大麻事犯だ。
大麻事犯の検挙人員は、14年以降増加が続いていたが、22年は5342人と過去最多であった21年をやや下回った。だが、人口10万人当たりの年齢層別検挙人員でみると、20代が最も多く、次いで20歳未満、30代となっており、これらの20歳未満から30代が検挙人員の87.9%を占めている。
特に、30~40代では顕著な増加は見られないものの、20代と20歳未満では20年に大幅に増加し、高止まりが続いている。
学生の大麻事犯の検挙人員は中学生11人、高校生150人、大学生160人となっており、大学生から高校生へと大麻事犯の若年化が進んでいることが見て取れる。覚醒剤事犯の高校生、大学生ともに12人だったことに比べると、大麻事犯の高校生、大学生は10倍以上に上っている。
20歳未満の大麻事犯の年齢別検挙人員を見ると、19歳が圧倒的に多く、18年には185人だったのが19年には294人、20年以降は400人を超えている。その上、18歳以下でも増加傾向が続いており、特に15歳、16歳の中学・高校生の増加が続いていることは、大きな懸念材料だ。
この背景には、大麻事犯の初犯者率が関係している。初犯率は全体では75.9%と大麻事犯の80%近く初犯という高い割合が続いているのだが、中でも20代は77.5%、20歳未満では86.3%と平均を上回る初犯率となっている。
22年10月から11月までの間に大麻取締法違反で検挙された911人のうち、初めて大麻を使用した年齢は20歳未満が52.1%、20代が33.0%と合わせると85.1%を占める。ちなみに最低年齢は12歳で4人となっている。
また、大麻を初めて使用した経緯を20歳未満の80.2%、20代の70.8%が「誘われて」としており、使用した動機を20歳未満の60.5%、20代の59.0%が「好奇心・興味本位」と回答しており、身近な人間から誘われ、好奇心や興味本位で使用したことがわかる。
さらに大麻の入手先については、20歳未満の42.8%、20代の34.1%がインターネット経由としており、インターネットでは90%以上がSNSを利用しての入手となっている。一方、インターネット以外では友人・知人が関係しているケースが半数以上に上っている。
薬物犯罪、特に大麻事犯はネットや友人を通じて、若年層に拡大する傾向が続いており、早急な対策が求められている。
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