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京大とUCLAが共同研究“1日あたり8000歩”で死亡率低下と発表

京大とUCLAが共同研究1日あたり8000歩で死亡率低下と発表の画像1
スマートウォッチにも必ずついている万歩計。歩数は現代人にとって高い関心となっている。(写真/GettyImagesより)

 ウオーキングは健康維持、特に高齢者の健康維持に役立つと言われている。これまでの研究で1日に8000歩以上歩く人は死亡率が低くなることはわかっていたが、週に何日ぐらい歩くのが良いのかは明らかではなかった。京都大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA )らの研究グループは、週に1日または2日だけでも1日あたり8000歩の歩数を達成することで健康に良い影響が得られることを明らかにした。

 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-03-30

 発表によると、運動不足は現代社会における大きな公衆衛生課題の一つであり、毎年320 万人の死亡と5兆4000億円の医療費が発生している。歩数は身体活動量を簡単で有効な測定方法の一つとして使用されており、心血管疾患や認知症などの健康上の結果との関連性が調査され、最近のメタ分析では1日あたり8000 歩まで歩数が増えるにつれて、死亡リスクが低下することが示されている。一方で、毎日8000歩以上歩行するのは困難な人も多く、どの程度の頻度で1日あたりの目標歩数を歩く必要があるかについては明かではなかった。

 研究グループは米国の国民健康栄養調査のデータを用いて、1週間の間に8000歩以上歩く日数と死亡率の関連性を研究した。

 具体的には全米で2年に一度、健康状態や生活習慣、栄養状態などの情報を収集している国民健康栄養調査であるNHANESのデータから、20歳以上の参加者3101人(平均年齢は50.5歳、女性が51%)を対象に、加速度計で測定された歩数の情報を用いて、1日に8000歩以上歩いた日数が0日、1~2日、3~7日であった場合の死亡リスクをそれぞれ解析した。

 その結果、1週間に8000歩以上歩く日数が多い人ほど、全死亡と心血管疾患の死亡リスクが低いことが示された。特筆すべきは、その死亡リスク低下率は初めの数日で大きく、週に1日または2日でも8000歩以上歩いている人は、週に3日以上定期的に歩行している人とほぼ同等の死亡リスク減少を示した。また、1日の歩数目標を6000歩から1万歩まで変化させても同様の結果が得られた。

 これらの結果は、定期的に運動するのが難しい場合では、1週間に数日だけでも800歩以上歩くことが、健康にとって有意義な影響をもたらすことを示唆している。運動の時間を確保できない人や、仕事の都合上定期的な運動が難しい人でも、週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで健康リスクを低減できる可能性があり、現代社会の働く世代や高齢者にと って重要なエビデンスとなることが期待できる。

 研究グループでは、「今回の結果が多くの人々にとって役立つ歩行指針として世の中に貢献できることを期待している」としている。

 研究成果は、国際学術誌「JAMA Network Open」に、3月29日に公開された。

 万歩計などウオーキングを補助する手軽な機器は数多くあり、歩くことを意識して実行している人も多いだろう。ただ、実際には日常生活の中で、定期的にあるいは習慣的に1日1万歩を歩く時間や機会を見つけるのは難しい。

 そんな中で、週に2日程度、8000歩歩くことで毎日8000歩のウオーキングと同程度の健康維持効果が得られることが明かになった。ぜひ、筆者も週に2日程度は8000歩のウオーキングに挑戦してみたいと思う。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

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わしおこういち

最終更新:2023/04/16 12:00
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